マット・デイモンは1970年にアメリカで生まれ、世界屈指の名門ハーバード大学に在学中に映画『ミスティック・ピザ』でデビュー。97年、幼馴染の俳優ベン・アフレックと共同脚本を担当した『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』でアカデミー賞ほか数多くの賞を受賞し、一躍注目を浴びた。その後は「オーシャンズ」シリーズ、「ボーン」シリーズが大ヒットするほか、以降もアカデミー賞を受賞した『ディパーテッド』や『インビクタス/負けざる者たち』『幸せへのキセキ』などアクションに限らず、ヒューマンドラマ、実話モノ、シリアスからコミカルまで様々な役柄をこなし、いまやハリウッド随一の演技派として不動の地位を築き上げてきた。
そんな彼の最新作『スティルウォーター』は、第88回アカデミー賞®︎作品賞受賞『スポットライト 世紀のスクープ』のトム・マッカーシー監督作。仏マルセイユを舞台に、殺人罪で捕まった娘の無実を証明するため、父親が真犯人を探し出すというサスペンス・スリラーだ。異国の地での真犯人探しに奮闘するアメリカ人の父親ビルを、泥臭くもリアルに体現するマットの演技は、海外メディアからは「最高の演技を披露した(NERDIST)」と絶賛されている。今この機会に、様々な役を演じてきた「天才」マットのキャリアを、最新作も含む5本を通してたどってみたい。
記憶を失った工作員、自分探しの逃走劇!
『ボーン・アイデンティティー』(02)
もはやマット・デイモンの代表作のひとつとして名高い本作。主人公ジェイソン・ボーンは負傷して海を漂っているところを発見されるが彼は全ての記憶を失っていた。唯一残されていた手がかりを元に銀行の貸金庫にたどり着くとそこには自分の物と思しき身分証明書や様々な国籍のパスポート、大量の現金と拳銃が。さらに何者かに命を狙われ始め…。一体自分は何者なのか…何故か追われる身となっているのか…。失った記憶への葛藤を抱えながら自身に備わった卓越した戦闘術や判断力で追跡を躱し、自己を取り戻すべく奔走するボーン。追手とのリアルな戦闘シーン、スピード感のある逃走アクションなどが満載のほか、真相が徐々に明らかになる展開にもドキドキのサスペンス・アクション!続く『ボーン』シリーズ(『ボーン・スプレマシー』(04)『ボーン・アルティメイタム』(07)『ジェイソン・ボーン』(16))も必見!
火星に1人取り残されてサバイバルする宇宙飛行士!
『オデッセイ』(15)
アンディ・ウィアーの長編小説「火星の人」を原作としたSF超大作。火星での調査ミッションの最中、猛烈な砂嵐に巻き込まれた宇宙飛行士たちは脱出を試みるが、チームメンバーの1人マーク・ワトニーが事故に逢い行方不明に。マークは死んでしまったと思った他の乗組員たちは火星を去るが、なんと彼は生きていた! 食料もわずかしかない絶望的な状況の中、マット演じるマークが宇宙飛行士でありながら植物学者という強みを生かし、知恵を振り絞り火星での生活を送りながらNASAに連絡を取る手段を見つけようとする。シリアスな状況下でもポジティブに試行錯誤を重ねるマークの姿はコミカルでもあり愛らしさをも感じる。果たして彼は火星から無事生還することができるのか⁈ 応援せずにはいられない!と同時に生きようとする強い意志に勇気をもらえる1作。マットは本作で第73回ゴールデングローブ賞 映画部門 男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞。
実在の元カーレーサーを好演!覇権争いとレースの行方は⁈
『フォードvsフェラーリ』(19)
1960年代のスポーツカー耐久レースの世界で繰り広げられたフォード社対フェラーリ社の覇権争いの実話を元に映画化。フェラーリ社を打倒すべく、フォード社に招聘されレーシングカー開発の指揮を執ることになった元レーサーのキャロル・シェルビーをマット・デイモンが、ドライバーとして「ル・マン24時間耐久レース」に出場したケン・マイルズをクリスチャン・ベールが演じた。才能ある者同士の葛藤やぶつかり合い、男同士の絆と友情も見どころだが、60年代当時の再現にこだわり抜いて撮影された手に汗握る迫力のレースシーンにも胸が熱くなる!
衝撃の歴史ミステリー!被害者の夫を熱演!&脚本も担当!
『最後の決闘裁判』(21)
いまだ真相不明とされている14世紀フランス最後の決闘裁判を、事件を告発した被害者、被害者の夫、訴えられた容疑者という3人の登場人物の視点で描いた話題作。騎士カルージュの妻マルグリットが、夫の旧友ル・グリに乱暴されたと訴えるも、目撃者はおらず、ル・グリは無実を主張。真実の行方はカルージュとル・グリの生死をかけた決闘裁判に委ねられる。果たして決闘裁判の行方は…⁉マットは被害者の夫であるカルージュを演じている。マットをはじめ妻役のジョディ・カマーや容疑者役のアダム・ドライバーの白熱の演技の応酬に、クライマックスの荒々しく迫力のある決闘シーンなど、見どころたっぷり。また、『グッドウィルハンティング/旅立ち』以来24年ぶりのタッグとなる親友ベン・アフレックとの共同脚本も本作の注目ポイント!
2022年1月26日(水)ブルーレイ+DVDセット発売。デジタル配信中。
娘のために奔走する等身大の“普通のお父さん”を演じる最新作
『スティルウォーター』(2022年1月14日公開)
留学先のフランス・マルセイユで投獄された娘アリソンの無実を証明すべく、アメリカから単身フランスへ渡ったビル・ベイカー。しかし異国の地での捜査は難航。言葉の壁、文化の違い、複雑な法制度に阻まれ、手がかりは一向に得られない。果たしてビルは愛する娘を助け出すことができるのか?
ビルは娘のために真犯人探しに奔走するごく普通の等身大のアメリカ人の父親でありながら、娘を想うあまり危険地帯に単身で足を踏み入れたり、一線を越えてしまいそうな危うさも持ち合わせているキャラクター。そんなビルをマットは泥臭くもリアルに体現している。マットは自身の演じるビルについて「ビルは父親失格になるような過ちを繰り返してきた。今、彼は人生を立て直し、娘との関係を修復したいと思っている。これまでの自分の振る舞いを恥じ、強い罪悪感を覚えているんだ」とその人物像を語っている。
スティルウォーター
2022年1月14日(金)、TOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国公開
配給:パルコ ユニバーサル映画
© 2021 Focus Features, LLC.