世界最強のテニスプレーヤー姉妹、ビーナス&セリーナ・ウィリアムズ、そして彼女たちを導いた破天荒な父リチャードの実話に基づく家族の物語『ドリームプラン』。第94回アカデミー賞Ⓡで6部門にノミネートされている同作をノミネート部門ごとにひも解いていこう。

①作品賞

映画作品自体へと賞が贈られるアカデミー賞の最重要部門。『ドリームプラン』は既に31の賞を獲得しており、アカデミー賞のノミネート発表によって驚異の 138 のノミネート(3月1日時点)を果たした。映画賞レースで快進撃を続けており、作品として総合的に評価されていることがうかがえる。

画像: (左から)セリーナ(デミ・シングルトン)、リチャード(ウィル・スミス)、ビーナス(サナイヤ・シドニー)

(左から)セリーナ(デミ・シングルトン)、リチャード(ウィル・スミス)、ビーナス(サナイヤ・シドニー)

製作陣にも是非注目していただきたい。主演と兼任するウィル・スミスを筆頭に、『ウインド・リバー』(17)やスティーブン・スピルバーグ監督のアカデミー賞ノミネート作『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(17)などにも携わったティム&トレバー・ホワイト兄弟が参加。さらに、作品の題材となったビーナス&セリーナ・ウィリアムズ、彼女たちの姉であるイシャ・プライスも製作に加わったことで、リチャード一家のよりリアルな家族ドラマを描き出すことに成功している。

今回のアカデミー賞ノミネートに、プロデューサーのホワイト兄弟から喜びのコメントが到着した。

ティム・ホワイト/トレバー・ホワイト(プロデューサー)

『ドリームプラン』が今年の作品賞候補に選ばれたことを大変光栄に思います!この作品は、ウィリアムズ家のこれまでの道のりと、ひたむきに夢を追い続けるその姿に感銘を受けたことから始まった愛の結晶です。製作過程において、彼らの物語は数多くのキャストやスタッフ、そして世界中の観客に感動を与えました。私たちは、このストーリーを語る機会を得、この作品を可能にした素晴らしいキャストとスタッフとともに彼らの成功を分かち合えることを光栄に思います。

➁脚本賞<ザック・ベイリン>

脚本を手掛けたのは、『クリード3(原題:Creed Ⅲ)』にも抜擢されたザック・ベイリン。「バラエティ」誌の2021年の注目すべき10人の脚本家のひとりに選ばれたこともある実力派だ。製作陣が「彼は、強く前向きな感情を導き出し、読む者が泣いたり笑ったりする脚本を書き上げたんだ。このプロジェクトが実現する足がかりとなったすばらしい脚本だった」と絶賛する脚本にも要注目だ。

ザック・ベイリン Photo by Tim P. Whitby/Getty Images for Warner Bros.

彼からも感謝のコメントが到着したのでご紹介しよう。

ザック・ベイリン(脚本)

アカデミーの皆様、ありがとうございます!素晴らしい脚本家の皆様と並んでノミネートされたことを多いに誇りに思うとともに非常に光栄に思っております。この作品は大勢の方々との共同作業によるものであり、ウィル・スミス、アーンジャニュー・エリス、デミ・シングルトン、サナイヤ・シドニー、ジョン・バーンサル、トニー・ゴールドウィンをはじめとするキャストや(編集の)パメラ・マーティンとこの喜びを分かち合えることを光栄に思います。

そして(監督の)レイナルドは素晴らしい作品を作ってくれ、私たちは皆彼の肩の上に立っています。また、ほんの一部ではあるものの、一家のストーリーを語るチャンスを下さった(製作総指揮の)イシャ・プライスとウィリアムズ家に感謝してもしきれません。最後にティム・ホワイト、トレバー・ホワイト、WBの皆様、そしてこの作品を背負い、実現に向けて強い意志を貫いてくださったプロデューサーの皆様に感謝いたします!今朝この瞬間に、私と同じように誇りに思ってくれることを願っています!本当にありがとうございます!

③編集賞<パメラ・マーティン>

本作で編集を務めたパメラ・マーティンは、あるボクサー兄弟の実話を描いた『ザ・ファイター』(10)の編集で、アカデミー賞と米映画編集者協会エディ賞にノミネートされた実績を持つ編集技師。2006年の米アカデミー賞最優秀作品賞候補となった『リトル・ミス・サンシャイン』(06)や『ルビー・スパークス』(12)、『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』(17)なども手掛けている。

パメラ・マーティン Photo by Monica Schipper/Getty Images for SCAD

本作『ドリームプラン』では、ウィリアムズ一家の日常の描写や、娘の将来をめぐって口論する父と母の姿、そして迫真の試合シーンに姉妹を見守る家族の献身的な姿を重ねるなど、その編集の手腕が冴え渡っている。

④主演男優賞<ウィル・スミス>

ウィル・スミスは、2人の娘を世界最強のテニスプレーヤーに育てる夢を持つ破天荒な父親リチャードを演じた。実在の人物を演じるにあたって、自身の娘との関係性や実在のウィリアムズ氏のファッションなどを参考に徹底した役作りで挑戦。『ALI アリ』(01)、『幸せのちから』(06)に続く自身 3 度目となる【主演男優賞】でノミネーションを果たした。

画像: リチャード(ウィル・スミス)

リチャード(ウィル・スミス)

ウィル・スミスは既に、ゴールデングローブ賞【主演男優賞】(ドラマ部門)、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞、AAFCA アワード(アフリカン・アメリカン映画批評家協会賞)などで【主演男優賞】を総なめしており、オスカー最有力俳優として注目されている。

⑤助演女優賞<アーンジャニュー・エリス>

世界最強のテニスプレーヤー姉妹の母親であり、リチャードの妻として夫をサポートするオラシーンを演じたアーンジャニュー・エリスは、初のオスカーノミネートとなった。仕事に育児にテニスの試合戦略を練るなど、リチャード以上に献身的な愛と情熱を注いだ女性だ。自信をなくした夫への叱咤激励も辞さない強い妻として、迫真の演技を披露している。

画像: オラシーン(アーンジャニュー・エリス)

オラシーン(アーンジャニュー・エリス)

アーンジャニュー・エリスは本作の演技で、ナショナル・ボード・オブ・レビュー《助演女優賞》受賞、パームスプリングス国際映画祭《アンサンブルパフォーマンス賞》受賞、ブラック映画批評家協会賞《助演女優賞》受賞、ネバタ映画批評家協会賞 《助演女優賞》受賞、ワシントン D.C.映画批評家協会賞 《助演女優賞》受賞のほか、ゴールデングローブ賞《助演女優賞》など数々の賞にノミネートされており、初のアカデミー賞受賞に期待が高まっている。

⑥歌曲賞<ビヨンセ「Be Alive」>

世界の歌姫ビヨンセが書き下ろした新曲「Be Alive」で、自身初のアカデミー賞【歌曲賞】ノミネートの快挙を果たした。セリーナ・ウィリアムズの結婚式に出席したり、テニスの試合で姉妹を激励に駆けつけるなど、公私ともに親交があるビヨンセが歌うエンディングテーマは、ウィリアムズ姉妹との強い繋がりから生まれた心に響く楽曲となっている。

画像: ビヨンセ

ビヨンセ

昨年のグラミー賞で計 4 部門受賞、累計 28 回受賞、“女性アーティストとして最多受賞”となったビヨンセが、オスカー授賞式にどんな姿で降臨するのかにも注目だ。

『ドリームプラン』
全国の劇場で大ヒット上映中!
配給:ワーナー・ブラザース映画
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