「重力シンパシー」公演は、2012年に誕生したAKB48を題材としたパチンコ機のために作られた完全オリジナルの公演。そして、この公演で結成されたのが「チームサプライズ」だった。前田敦子、大島優子、高橋みなみなどの元祖神7を含む人気メンバーが作り上げた公演を、向井地美音がキャプテンを務める新時代のチームAメンバーたちが受け継いだのだ。「重力シンパシー」公演が劇場公演として披露されるのは初となる。初日公演には新チームAメンバーのうち、向井地美音、本田仁美、大竹ひとみ、込山榛香、千葉恵里、中西智代梨、福岡聖菜、武藤小麟の8人がステージに立った。
『女神はどこで微笑む?』で幕を開けると、『ハートのベクトル』『重力シンパシー』と、8人の息のあったパフォーマンスが続く。キャプテンの向井地は「今日がキャプテンデビューの日になるのでドキドキしています! 今のチームAで公演の一曲一曲に色をつけていきたいと思ったので、この公演を選びました」と語った。
続くパートは、ユニットステージ。向井地、込山、千葉、福岡による『水曜日のアリス』では、楽曲の世界観に合わせて、ステージのパネルを絵本に見立てた振り付けなど、アイデア満載の演出を見せた。
大竹、中西、本田のトリオで魅せた『そのままで』は、可愛らしい雰囲気から一転、大人っぽい3人のダンスが見どころに。その後、込山、千葉、武藤は王道アイドルソング『君のc/w』を歌唱し会場を盛り上げ、大竹、福岡がバラード『思い出す度につらくなる』でムードを高めた。
そして、昨年4月まで「IZ*ONE」のメンバーとして活動していた本田がソロで登場。5月18日にリリースされる59thシングルの表題曲『元カレです』でセンターを務める本田は、「チームサプライズ」で高橋みなみのソロ曲として発表された『お手上げララバイ』をキレキレのダンスとともに情感たっぷりに歌い上げた。
ユニットステージの締めは、初日公演前に行われたゲネプロで、中西が「この公演で一番の難関。ゆったりしたテンポで歌っているだけに見えるけれど、めっちゃダンスナンバーなんです」と明かしていた『キンモクセイ』を向井地、中西、武藤で披露した。
後半は『1994年の雷鳴』『涙に沈む太陽』『素敵な三角関係』を立て続けに披露。衣裳は、この日解禁された白衣裳だ。動きに合わせてラインストーンがきらめき、8人のパフォーマンスに華を添える。そして本編最後は『デッサン』でしっとりとまとめた。
アンコールは『AKB48フェスティバル』でファンと一緒に大盛り上がり。続いて疾走感溢れるナンバー『キミが思ってるより…』を披露。本公演に向けてメンバーたちは、ダンスを細かく揃えることに特に注力したという。ラストを飾ったのは、『旅立ちのとき』。
「新チームの中で一番最後に初日公演を迎えたのですが、こうして8人で初日公演を終えることができて安心しています。これからもAKB48と向井地チームAの応援をよろしくお願いします!」と向井地が挨拶し、多彩なパフォーマンスで魅せた向井地チームAの初日公演は幕を閉じた。
(以下、公演前の記者会見にて)
──初日公演を迎えての感想は?
福岡「今までは先輩方が作ってきた公演を受け継いでいくっていう感じが強かったんですけど、この公演は、新衣裳を作っていただいたり、新しく振り付けを考えていただいたところもあったりして、私たちが(この公演を)作っているんだなぁという感じがして、本当に嬉しかったです」
向井地「「重力シンパシー」公演という、今まで劇場でやったことがない、形がなかったものを公演にしていただいたので、スタッフの皆さんに感謝しています。よくやっている公演だと先輩たちの色がすでに付いてしまっていると思うんですけど、なかなかやらないようなマイナーな曲もたくさんある「重力シンパシー」公演は、私たちが初めてやっていくことで、私たち自身の、向井地チームAの色をぜひ付けていけたらいいなぁと思っています。その想いが伝わっていたらいいなぁと思います」
本田「準備をする期間はすごく長かったんですけど、いざ本番を迎えると、本当にあっという間に終わってしまいました。初めて話す先輩方や後輩のメンバーもいたんですけど、この準備期間を通してみんなとの仲もすごく深められて、これからチームAがいいチームになっていくんじゃないかなって思いました」
千葉「「重力シンパシー」公演と決まった時、すごくビックリしたんですけど、いざやってみたら、曲のジャンルの幅がすごく広くて、いろんな私たちを見せられるなぁと思ったので、可愛く、カッコよく、これからも私たち色に染めていきたいなぁと思っています」
大竹「私はチームが始まるという時点でチームの中に入っていくのが初めてだったのもあって、どういう風にしていけば先輩と関われるのかとか、そういうことも悩みながらのレッスン期間だったんですけど、そういうことも忘れさせてくれるような先輩方がたくさんいて、パフォーマンス面でも精神的にもすごく助けられたメンバーさんたちだったので、これが初日だと思うと、この先ずっと続いていく公演だったり、チームでの活動がすごく楽しみになっています。これから「最強チームはチームAだ」と言われるように頑張っていきたいと思います」
込山「組閣発表でチームAと発表された時に、大好きな岡田奈々さんと同じチームだったので、嬉しくて、奈々さんに向かってAポーズをしたところ、“こみちゃん、切り替え早いね”と言われたので、確かになと思って。心から“私はチームAなんだ”と思ったらAポーズをしようと心に決めて、そこからはファンの方にお願いされてもしてこなかったんですけど、今日のこのステージで初めてAポーズをさせていただきました。“キミが思ってるより 愛し合うっていいもんだ”をチームAのみんなと歌いながら泣いちゃって、想像以上に私はこのチームのみんなが好きになったんだなと思ったので、こんな大好きなチームのみんなと頑張っていきたいと思います」
中西「「重力シンパシー」公演と聞いた時に、“あれ? 何の曲があるっけ……”っていうパッとしない状態でリハをしていたんですけど、歌詞を読んでみたり、歌ってみたりして、奥深い歌詞だったり、このメンバーそれぞれに合ってるような曲もあったりして。私事なんですけど、26歳ラストの日にチームAのみんなと初日を迎えられるってことがすごく嬉しくて、27歳でも若々しくフレッシュに、そして大人っぽいところは大人っぽく、この公演を続けていく中で成長を見せられたらいいなと思います」
武藤「この公演はチームサプライズさんの楽曲が中心になっているんですけど、人って懐かしくて新しいものが好きっていうのを何かで聞いて、懐かしいAKB48の曲たちを新しい私たちでお届けしたいな、そして新しいAKB48も好きになってもらいたいなという想いを込めて、初日を迎えました。これから初日を超えていけるように頑張りたいと思います」
──「重力シンパシー」公演は、割と少人数での曲が多いですが、曲を並べる時に「これは全体曲、これはユニット曲」とか、どう考えて分けられましたか?
向井地「もともとが、ほとんどがユニット曲の公演で、しかも全部聴いてみると、意外とバラード曲だったり、ゆったりした曲調の曲が多いので、それを全体曲とユニット曲でバランス良く入れて、中だるみしないようなセットリストにするっていうのが難しかったんですけど、『1994年の雷鳴』だったり、普段から全体曲としてやっている曲もあるので、そこは活かしつつ。『涙に沈む太陽』は椅子を使っての8人バージョンという、本当に新しい振り付けを作っていただいたので、そこで盛り上がれるかなっていう。バランスをすごく考えました」
──『女神はどこで微笑む?』を1曲目にした理由は?
向井地「「僕の夏が始まる」公演という、柏木由紀さんがプロデュースした公演で、岡田奈々ちゃんと村山彩希ちゃんの〈ゆうなぁ〉の二人が、『女神はどこで微笑む?』を二人ユニットでやっていたんですけど、それが本当にカッコよくて。イントロでパン!パン!って出てくる感じも、これがもし公演の1曲目だったらすごく盛り上がれるんじゃないかなと思ったので。音に合わせて照明がパン!パン!って点くのも、私が言いました」
全員 えーっ!!
向井地「ダンスの先生に、普段、リクエストってなかなか出来ないことだと思うんですけど、“ここでシルエットになったらカッコいいと思うんですよね"と言ったら、“いいね”って言ってくださったので、本当にわがままを聞いていただいて感謝しています」
──キャプテンとしての向井地さんの仕事っぷりを聞かせてください。
武藤「私は『素敵な三角関係』という曲を、前でやらせていただいているんですけど、みーおんさんはこの公演の中で、一人一人がちゃんと注目される、前に立つように考えてくださって。しかも、その曲は誰が合っているかっていうのもずーっと考えてくださってて。プライベートでもチームAの話がいっぱいで、24時間AKB48のことを考えてくださっている、それぞれのメンバーに期待していただいているんだなってすごく思うので、みーおんさんの気持ちに応えられるように頑張りたいなと思います」
──本田さんは、チーム8(2nd Stage「会いたかった」公演)以来の初日公演となりますが、チームの初日に参加しての感想は?
本田「先輩方も後輩も話したことがないメンバーが結構たくさんいたので、レッスンをしていく中でちょっと気になったところも、“言ってもいいのかなぁ?”って思ったりもしたんですけど、みんなレッスンにも意欲的に取り組んでいて、“みんなで良いものを作ろう!”っていう想いがすごくあったので、“このチームはもっともっと成長していけるな”って思いましたし、私自身もまだまだ未熟なんですけど、もっともっとブラッシュアップしていって、良い公演を作って行きたいなぁって改めて思いました」
──シングル(『元カレです』)のレッスンで、本田さんがだいぶ厳しいという話を聞きましたが、今回はそういうことは?
向井地「〈本田警察〉は、どうですか? 一番捕まったのは……(と込山を見る・笑)」
込山「捕まりまくってたけど、すごく優しく教えてくれたから。自分が間違えてるって気付いてないところを、ひぃちゃんがめちゃくちゃ見つけてくれて、ありがたかったです」
──大竹さんは初めてチームの立ち上げに参加されましたが、いかがですか?
大竹「レッスンの話になると、どうしても〈本田警察〉が先に出てくるような話になりがちですけど(笑)、みーおんさんもそれぞれの曲でものすごくたくさんメモをしてきてくださってて。それも、全体の見栄えもそうなんですけど、一人一人の振りのここがこう違うっていうところまでも全部動画とかで確認していただいていて、次のレッスンでは修正ポイントを言って、訂正してくださっていたところが、私はすごく助かりました。自分のことでいっぱいいっぱいになっていたので、そういうのを助けてくださる先輩が近くにいて、キャプテンさんがそういう感じだから、これからもついて行きたいと思いました」
──警察の二重チェックみたいなことですか?
本田「みーおんさんは動画とかを見てチェックする感じ、私は即座に(笑)」
込山「ここに奈々さんが入るとやばくない?(笑)」
──向井地さんはAKB48グループ総監督とチームAキャプテンという立場になり、大変そうだなと思ってしまうのですが。
向井地「逆に、総監督ではあるけど、キャプテンではなかったという状態で何年もやってきた状態のほうが、どこまでチームのことに干渉していいのか、“自分が引っ張るよ”みたいな感じを出していいのかで、すごく悩んでいたこともあったんです。今回キャプテンになったことで、選抜でいる時もチームでいる時も同じような感覚でできるので、すごく楽しくやらせていただいています」
──全チームの公演がスタートしましたが、チームAが「重力シンパシー」公演で惹きつける武器というものを教えてください。
向井地「組閣があってチームAの一覧を見た時に、“華があるな”ってまず思ったんです。なので、一人一人が持っている華みたいなものをいろんな曲調の楽曲に活かしていきたいです。あとは、振りを揃えたり、パフォーマンスを良くしていくっていうことに集中して頑張れるメンバーが揃っていると思うので、“チームAが一番、クオリティが高い公演だ”と言っていただけるように。チームAって歴代、一人一人が強いからこそ、個人で戦っていくイメージがあったと思うんですけど、過去最高に団結力のあるチームAを見せていきたいと思います」
公演名:向井地チームA「重力シンパシー」公演
日時:2022年5月11日(水)18:30開演
会場:AKB48劇場
出演:向井地美音・大竹ひとみ・込山榛香・千葉恵里・中西智代梨・福岡聖菜・本田仁美・武藤小麟
<セットリスト>
-- Overture
01 女神はどこで微笑む?/ALL
02 ハートのベクトル/ALL
03 重力シンパシー/ALL
04 水曜日のアリス/向井地、込山、千葉、福岡
05 そのままで/大竹、中西、本田
06 君のc/w/込山、千葉、武藤
07 思い出す度につらくなる/大竹、福岡
08 お手上げララバイ/本田
09 キンモクセイ/向井地、中西、武藤
10 1994年の雷鳴/ALL
11 涙に沈む太陽/ALL
12 素敵な三角関係/ALL
13 デッサン/ALL
〜アンコール〜
E1 AKB48フェスティバル/ALL
E2 キミが思ってるより…/ALL
E3 旅立ちのとき/ALL
文/山下悠介