カバー画像:『X エックス』全国公開中 配給:ハピネットファントム・スタジオ ©2022 Over The Hill Pictures LLC All Rights Reserved.
杉山すぴ豊
アメキャラ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
サノスの次は何が来る!?
コミコンでMCU重大発表!
いま、京都で「アベンジャーズ展」が開催されています。そしてアメリカの西海岸ではアメコミ系ポップカルチャーのイベント、サンディエゴ・コミコンが始まっているはず。実に3年ぶりのリアル開催。2019年の時はマーベル・スタジオがマーベル・シネマティック・ユニバース( MCU)のフェーズ4のラインナップを発表し話題になりました。今回のコミコンにもマーベル・スタジオが参加を表明しており、MCUの仕掛人であるケヴィン・ファイギも「これからの展開について明らかにするよ」と明言しています。どんなニュースが飛び出すのか楽しみです。
注目したいのはフェーズ1から3まではインフィニティ・サーガとも呼ばれ、サノスとインフィニティ・ストーンをめぐる戦いという大きなシナリオがあったわけです。そう考えるとフェーズ4・5・6もこれらをぶちぬく大きな軸があると思われます。サノスに匹敵するスーパーヴィラン登場か? そしてインフィニティ・ウォー、エンドゲームの最終決戦なみの大バトルへと向かって行くのか? これらにつながるヒントが見えてくるのかもしれません。個人的にはMCU版X-MENがどのタイミングで出てくるか楽しみです。
これぞ出血大サービス
懐かしさもある『X エックス』
さてXと言えば話題のホラー映画『Xエックス』が絶賛公開中です(このつなげ方、強引でしたね笑)。A24が『サプライズ』等で注目されたホラー映画作家タイ・ウェストと組んだ作品。これが70-80年代に量産されたスプラッター(血しぶき)映画、スラッシャー(殺人鬼)映画のオマージュとも言うべき作品になっています。1979年を舞台にポルノ映画を作って一発当てようとする男女6人組が、ロケ地に選んだテキサスの片田舎で殺人鬼の老夫婦に襲われる、というものです。
この設定からもわかるようにかつてのポルノ文化への言及もあります。テキサスという舞台や部屋を借りたらそこの住人がとんでもない連中だった、という点で『サイコ』(1960)や『悪魔のいけにえ』(1974)を彷彿させますが、実はこの2作はそんなに血が飛び散りません。僕はむしろ『13日の金曜日』に通じる血みどろ感を感じました。この夫婦が牙を向いてからの展開はノンストップ流血バイオレンス。かつてこの手の映画を見まくっていた自分としてはとても懐かしく、ちょっとした罪悪感を覚えながら、この殺人鬼映画を楽しみました。
『Xエックス』は3部作になるそうで、そのうち1作はこの殺人鬼夫婦の若き日を描くそうです。本作には、ある仕掛けがあるのですが、それはエンド・クレジットのキャストを観て気づいてください。僕もここでわかりました。
女性戦士はどう戦うのか?
『プレデター』最新作も来る!
地上の殺人鬼も怖いですが、宇宙からも恐ろしい殺戮マシーンがやってきます。ディズニープラスで8月5日から配信される『プレデター:ザ・プレイ』。タイトルからもわかるようにプレデター最新作。このプレイはPLAY(遊び)、PRAY(祈り)でもなくPREY。獲物、餌食という意味です。
なんと舞台は現代より300年前のアメリカ。ネイティブ・アメリカンの女性戦士ナルがプレデターと戦うというものです。どう考えても彼女の武器は弓とか槍ですよね。どうやってプレデターと戦うのでしょうか?
あとこの話がどう今までのプレデター映画とつながるのか気になります。『プレデター』1作目、つまりシュワちゃん出演作では、彼の部下にネイティブ・アメリカン系の兵士がいましたよね。そして橋の上で山刀でプレデターに向かって行く。彼はなんとなくプレデターの存在を感知していた。
またゲリラの女兵士も中南米系で出身の村にプレデターを思わせる悪魔の言い伝えがあると言っていた。この2人のいずれかが、今回の主人公のナルの血縁かもしれません。『トップガン マーヴェリック』の大ヒットで1986年の『トップガン』が注目されていますが、先に述べたように『Xエックス』は80年代ホラーを踏まえているし『プレデター』も1987年の映画なので、ここにも80年代の映画文化へのリスペクトを感じます。