生後18ヶ月のシモンを受け入れた里親のアンナと夫のドリス。2人の息子とは兄弟のように育ち、幸せな4年半が過ぎようとしていた。ところがそんなある日、実父のエディからシモンを手元で育てたいという申し出が。突然訪れた“家族”でいられるタイムリミット。その時、彼らが選んだ未来とはー。フランスをあたたかな涙で包んだ感動作が誕生した。
本日公開を迎えた『1640日の家族』は、ファビアン・ゴルジュアール監督が子どもの頃、両親が里子を迎え、4年半一緒に暮らした経験を基に生まれた。まず幼少期の記憶をどのように脚本にしたのか尋ねられると、「プロデューサーから、3本の名作を脚本の参考にと薦められました。チャーリー・チャップリンの『キッド』、ロバート・ベントンの『クレイマー、クレイマー』、スティーヴン・スピルバーグの『E.T.』です。それから、里子と里親の実状について福祉関係者や里親にインタビューをしました。その中で実父エディのモデルとなる人物の話を知ったのです。子どもが誕生した後すぐに母親が亡くなってしまい、打ちのめされた父親は赤ちゃんと引き離されてしまった。しかし、彼は生活を建て直して、父親として息子に寄り添う場所を見つけたというのです。このエピソードは父親と里親、両方の愛情が伝わり、私にインスピレーションを与えてくれました。」と振り返る。
フランスで映画が公開されたときの反響について次のように語る。「この映画を見た人は、多くの感情が湧き上がったと思います。フランスでは自分の家族や親戚、友人に、こうしたできごとがあるからです。叔父や叔母に里子がいたとか、養子に出された人を知っているとか、親でなく親戚に育てられたとか、そういったことが身近にあるのです。家族の絆が生まれ、そして解体していくストーリーは、多くの人の心を揺さぶりました。大人だけでなく、当事者である子どもたちの心を揺さぶったのです。そして、彼らがまだ経験していない理想を知ってもらえたのではないかと思っています」。
続いて、実際に家族が映画を見た際の反応を尋ねられると「家族は本作の製作段階から内容について知っていました。しかし、たとえ知っていたとしても、過去の傷に触れる私たちの物語を観ることは、彼らには動揺を与えるだろうとは想像していました。もちろん、本作の内容と私たち家族の体験には多くの違いがありますが、里子への愛と感情をめぐるストーリーである点は同じです。実は、母と兄は里子と過ごした記憶をずっと閉じ込めていたので、観てもらうのを心配していたのです。初めて鑑賞した時の母の反応は意外でした。ラストシーンに涙を流し、私に「この監督の映画は2度と見たくない!」とジョークをいってくれたのです。ホッとしました。」とエピソードを明かした。
あわせて監督から日本の観客へ、メッセージ映像が到着!「フランスの里親家庭を描いてはいますが、国境を越えてどんな家族にも響くよう、普遍性をめざして語りました」と話し、日本でも幅広い観客に届いてほしいとメッセージを送った。
里親と“息子”の幸せな日々に、突然訪れた“家族”のタイムリミット。愛と葛藤の先に、彼らが選んだ未来とはー。フランスをあたたかな涙で包んだ『1640日の家族』はいよいよ本日公開。
1640日の家族
7月29日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給:ロングライド
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