イメージフォーラムでは、商業性にとらわれず先鋭的・実験的な映像作品、話題作を世界中から集めて、映像アートの最新動向を紹介する「イメージフォーラム・フェスティバル2022」を開催する。

アンダーグラウンドを再想像する

36回目となる今年度は、「アンダーグラウンドを再想像する」と題し、表現の自由が大幅に制限されている中国で生まれるつつある新世代による映像を紹介する特集プログラム「“青年特快”―中国インディペンデント映画の新しい声とヴィジョン」、コロナ下での制限された映画制作状況を逆手に取って今しか撮れない映像的表現を試みたミゲル・ゴメス(『熱波』、『アラビアンナイト』)の新作、ミャンマーで初めて芽生えつつある実験映像集、1960年代のアンダーグラウンド・カルチャーの洗礼を受けつつ現代美術家としてますます世界的に評価が高まっている田名網敬一の軌跡をたどる特集など、注目作から歴史的プログラムまで幅広くラインナップします。また、昨年に引き続き、渋谷のランドマークである展望施設・SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)と連携し、ROOFTOP “LIVE” THEATERを実施。オープニング上映として『シスターズ・ウィズ・トランジスターズ』を上映。
スパイラルホールでの恒例となったライブ演奏つき上映は、蓮沼執太&ユザーンが今年生誕140年となる女性映画作家のパイオニア、ジェルメーヌ・デュラックの『貝殻と僧侶』とコラボレーション。シュルレアリスムの古典的名作に新たな解釈で挑む。2018年より現体制となった「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」は過去最大の461作品の応募があった。一次、二次の予備審査を経て、ノミネート作品を決定。新進作家からベテランまで、同地域の今を映し出す作品が賞を競う。

「イメージフォーラム・フェスティバル2022」東京会場
シアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区渋谷2-10-2)9月17日(土)~23日(金)
スパイラルホール(東京都港区南青山5-6-23)9月17日(土)~19日(月)
SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)(東京都渋谷区渋谷2-24-12)9月16日(金)、18日(日)、24日(土)、25日(日)

[東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション]
「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」は日本、中国、香港、台湾、韓国の東アジア地域を対象とした公募部門であり、同地域出身または在住の作家による2020年以降に制作された作品を対象としている。本年は461作品の応募があり、一次審査、二次審査を経て東アジアの「今」を映し出す注目作品がノミネートされた。
また、本コンペティションは新しい才能を発掘する場であるとともに、ベテランと新進作家が互いに賞を競う場でもある。最終審査は会期中に行われ、9月23日にシアター・イメージフォーラムで行われる授賞式で入賞6作品と観客賞を発表する。

[エクスペリメンタル・パノラマ]
○特集:“青年特快”―中国インディペンデント映画の新しい声とヴィジョン
ビー・ガン、フー・ボーなど日本でも新たな作家が続々と紹介されている中国のインディペンデント映画界。様々な都市にまさに「群雄割拠」する若手作家たちは国際映画祭でも注目の的だ。「青年」をキーワードに、知られざる最新の動向を5プログラムに渡り紹介する。

○香港最新エクスペリメンタル映像特集「虚な地からの歌」
香港在住のアーティストたちによる、香港についての映像作品集。コンピューターのアルゴリズム・ビジョン、手描きアニメーション、実験的ドキュメンタリーと様々なアプローチで、香港の“今”が表象される。(キュレーション:イップ・ユック=ユー)
『不確定性原理:雨』監督:ヘクトル・ロドリゲス/デジタル/5分/2018(香港)
『連続する平行線』監督:マックス・ハトラー/デジタル/9分/2019(香港)
『機密記録:執行』監督:ヴヴゼラ・クック/デジタル/4分/2019(香港)
『彼の屍を越えて』監督:エドウィン・ロー・ユンティン/デジタル/10分/2022(香港)
『店を見る』監督:ジョリーン・モク/デジタル/15分/2015(香港・日本)
『喘鳴する洞窟』監督:ジェス・ロー・チン=ワ/デジタル/11分/2021(香港)
『パパは誰』監督:ウォン・ピン/デジタル/9分/2017(香港)
『革命は空調されていない』監督:ワン・ボー/デジタル/27分/2022(香港)

○『ツガチハ日記』監督:ミゲル・ゴメス+モーレン・ファゼンデイロ/デジタル/102分/2021(ポルトガル+フランス)

画像: ツガチハ日記(ミゲル・ゴメス)

ツガチハ日記(ミゲル・ゴメス)

新型コロナウイルスのロックダウン期間に静かな農村で映画撮影をするクルー。ポルトガルの眩い陽光の中、思い思いに親密な日々を過ごす男女。作品のタイトルが示すごとく、彼らの日記が逆順に語られてゆく。夏真っ盛りの月である八月への賛歌であると同時に、作品づくりにおける創造性についての賛歌でもある本作は、『熱波』などで知られる注目の映画作家ミゲル・ゴメスの最新作。

○『コルシーニ、ブロンベルグとマシエルを歌う』監督:マリアノ・ジナス/デジタル/100分/2021(アルゼンチン)

IFF2021で上映された868分の大作『ラ・フロール花』のマリアノ・ジナスの最新作。イタリア生まれのアルゼンチンの歌手イグナシオ・コルシーニについての映画で、アルゼンチン・タンゴを切り口に、19世紀のアルゼンチンの歴史を紐解いていく。名曲の再レコーディング風景と、曲の歌詞に描かれた場所を訪れて曲の背景を調べる過程を挟み入れるなど『ラ・フロール花』同様、メタ映画的な手法が見る者を楽しませる。

○『大いなる運動』監督:キロ・ルッソ/デジタル/85分/2021(ボリビア+カタール+フランス+スイス+イギリス)

画像: 大いなる運動(キロ・ルッソ)

大いなる運動(キロ・ルッソ)

標高3,600メートルに位置するボリビアの首都ラパス。1週間をかけてこの街にやって来た若い鉱山夫が謎の病に冒される。薬草や呪いで青年を癒そうとする医者たち。青年の悪夢は都市と混濁し、観客もその超自然的な意識に幻惑される。ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門審査員特別賞を始め多くの賞に輝く、ラパスを主題とした都市交響曲的作品。

■オン・スクリーンLIVE 『貝殻と僧侶』×蓮沼執太&ユザーン

生誕140周年、没後80年、最初期の女性映画作家のひとり、ジェルメーヌ・デュラックによる世界最初のシュルレアリスム映画『貝殻と僧侶』が蓮沼執太&ユザーンのライブ演奏により新たな魅力を放つ。この時にしか出会えない1回限りの映画体験!
『貝殻と僧侶』ジェルメーヌ・デュラック/35ミリ(デジタル版)/40分/1928(フランス)ライブ演奏:蓮沼執太&ユザーン

画像: 蓮沼執太&ユザーン

蓮沼執太&ユザーン

■<フィルムメーカーズ・イン・フォーカス>田名網敬一特集
グラフィックデザイナー、美術家としても国際的な評価の高い田名網敬一の映像作品を大特集!近年アーカイブされた初期の実験映画/実験アニメーションから最新アニメーション作品『赤い陰影』まで、60年近くに及ぶ創造の軌跡をたどる。

オープニング上映9月16日(金)19:00
『シスターズ・ウィズ・トランジスターズ』

渋谷上空229mの音楽映画体験
ROOFTOP “LIVE” THEATER
会場:SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)

https://www.shibuya-scramblesquare.com/sky/rooftop_live_theater/

世界の音楽映画を屋上の開放感と大音量で自由に楽しむ屋外上映プログラム。
渋谷から映画で世界とつながる。いま見られるべき世界の音楽映画をセレクトし、360度のオープンエアの空間を自由に楽しむ上映イベントを昨年に続き今年も開催。本フェスティバルのオープニング上映として、日本初公開の『シスターズ・ウィズ・トランジスターズ』を上映する。その他、ROOFTOP “LIVE” THEATERとして全4作品を4夜に渡り上映。イメージフォーラム・フェスティバルとSHIBUYA SKYが音楽映画の新たな楽しみ方を提示する。

ROOFTOP “LIVE” THEATER上映作品

『シスターズ・ウィズ・トランジスターズ』9月16日(金)19:00/ 9月24日(土)18:20
監督:リサ・ロヴナー、ナレーション:ローリー・アンダーソン/デジタル/84分/2020(アメリ
カ)
エレクトロニック・ミュージックにおける偉大な女性のパイオニアたち。電子機器に魅了され音楽の伝統的な限界を乗り越える可能性を見出し、音楽の作り方と考え方に大きな革新をもたらした彼女たち名前は一般的にほとんど知られていない。音楽史を読み直す刺激的なドキュメンタリーとして高く評価された本作は、アメリカで独自のイベントやプログラミングで注目されている映画館メトログラフによって配給され話題となった。

『響け!情熱のムリダンガム』9月18日(日)19:00/ 9月25日(日)20:00
監督:ラージーブ・メーナン、音楽:A.R.ラフマーン/デジタル/132分/2018(インド)配給:テンドラル
映画オタクの青年が、ある日伝統楽器ムリダンガムの魅力に目覚め、一流のプレイヤーを目指す。階級差別、師匠と弟子の相克、恋物語、迫力の音楽バトル、インド各地の伝統音楽を訪ねるロード・ムービー、そしてインド映画おなじみのダンスシーンと、映画のあらゆる魅力をてんこ盛りにした激アツ作品。10月1日公開予定の本作を特別上映。*2018年東京国際映画祭にて『世界はリズムで満ちている』として公開。

『トラララ』9月24日(土)20:00
監督:ジャン=マリー+アルノー・ラリュー、出演:マチュー・アマルリック、メラニー・ティエ
リー、メイウェン、ドニ・ラヴァン/デジタル/2021(フランス)
パリのストリート・ミュージシャン、トラララ(マチュー・アマルリック)は、街で出会った美しい女性に「ルルドへ行け」と告げられる。“とにかく、自分自身であることをやめること”。不思議なメッセージに導かれ奇跡の町へと流浪していくが、そこで待ち受けていたのは夢のような自らの過去だった…。ノスタルジックなディスコやロックにのせて、過ぎ行く人生の儚さをコミカルさと人情味で描き出すミュージカル作品。2021年カンヌ映画祭アウト・オブ・コンペティション出品。

『ロアリング・アビスエチオピア初源のサウンド』9月25日(日)18:20
監督:キノ・ピニェロ/デジタル/86分/2015(エチオピア、スペイン)
80もの民族が独自の文化を形成し、多様な音楽文化を保っているエチオピア。先祖の代から連綿と続く伝統的な音楽だけでなく、エレキギターやシンセなど現代的な楽器を取り入れて進化を続けているものもある。人類の起源の地であり、あらゆる音楽が始まった地でもありながら新たな融合が生まれているエチオピアの音楽世界を、2年をかけフィールドレコーディングした貴重なロード・ムービー。

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