ベルモンド作品を数多く翻訳している松浦氏より、ベルモンド映画は、説明台詞が多くなく、見せる映画が多いことや、今回の上映作品の『薔薇のスタビスキー』翻訳の際には、時代背景や人名などの日本語資料がなく、苦労したという話、名脚本家が脚本や台詞を担当しているベルモンド映画のフランス語はスラングが少なく美しいという翻訳者ならではのエピソードも明かした。
また、ベルモンド28才の『勝負をつけろ』は、ベルモンド39才の『ラ・スクムーン』と同じ暗黒街映画の巨匠ジョゼ・ジョヴァンニの原作であり、この2作を見比べるのが面白いという、傑作選3の楽しみ方が語られた。その後は、松浦氏からは「ベルモンド映画は、ロングショットでアクションをしっかり撮り、スターだから、必ずベルモンドがアップになる。もうそれで満足」「『怪盗二十面相』のベルモンドは植木等みたい」、江戸木氏からは「『パリ警視J』なんか、警視なのに法律破りまくりで、あれはほぼ犯罪者でしょう」「『怪盗二十面相』と『薔薇のスタビスキー』はベルモンドが全編嘘をつきまくる嘘とホラ吹きのスペクタクル」と、笑える見どころについて盛り上がった。最後は「何をやっても、ベルモンドの演技が上手いから、ベルモンド映画全部面白い」と2人の絶賛で締めくくられた。
9月2日より新宿武蔵野館はじめ全国5か所でスタートしている「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選3」。フランスの”至宝”と呼ばれ、世界中の映画ファンから愛され、あのジャッキー・チェンやトム・クルーズも彼の映画から学んだと言われるアクション映画界の伝説(レジェンド)、ジャン=ポール・ベルモンド。惜しまれつつ、この世を去ってから1年、コロナ禍にもかかわらずスマッシュヒットを続ける大好評企画「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」もこの第3弾でファイナルとなる。公開館の新宿武蔵館には、ベルモンドディスプレイ前に献花台が設置され、来場したファンによる折り紙の花が飾られている。
【ジャン=ポールベルモンド傑作選3】 上映作品
9/2(金)より新宿武蔵野館、テアトル梅田、名演小劇場ほか全国順次公開中
*全作品、完全新訳日本語字幕版
『華麗なる大泥棒』
LE CASSE (1971年/仏・伊 合作映画/125分)ベルモンド総選挙第3位
【監督】アンリ・ヴェルヌイユ 【音楽】エンニオ・モリコーネ
【共演】オマー・シャリフ、ロベール・オッセン
※アテネを舞台に繰り広げられる3億フランのエメラルドの争奪戦!ジャッキー映画の原点にして、まさに実写版「ルパン三世」ともいうべきベルモンド・アクションの決定版!! これまでビデオ化、TV放映されてきた英語版より11分長い“フランス語オリジナル完全版”を上映!★未ソフト化(フランス語完全版) ★HDリマスター版による51年ぶりの劇場公開
『ラ・スクムーン』
LA SCOUMOUNE (1972年/仏・伊 合作映画/106分)ベルモンド総選挙第10位
【原作・脚本・監督】ジョゼ・ジョヴァンニ 【音楽】フランソワ・ド・ルーベ
【共演】クラウディア・カルディナーレ、ミシェル・コンスタンタン
※<死神>と呼ばれた男の壮絶な生き様! 『勝負をつけろ』から11年、巨匠ジョヴァンニが自作「ひとり狼」を自らリメイクした、男泣きノワールの最高傑作!
★未ブルーレイ化、HDリマスター版による49年ぶりの劇場公開
『勝負をつけろ』
UN NOMMÉ LA ROCCA (1961年/仏・西独 合作映画/106分)
【監督】ジャン・ベッケル 【原作】ジョゼ・ジョヴァンニ
【共演】クリスチーネ・カウフマン、ミシェル・コンスタンタン
※28歳のベルモンドがクールに演じた<死神>と呼ばれた伝説のギャングの愛と友情。ジャン・ベッケル監督が初めてメガホンを取った「ひとり狼」最初の映画化にしてフレンチ・フィルム・ノワールの傑作!! ★未DVD&ブルーレイ化、HDリマスター版による60年ぶりの劇場公開
『冬の猿』
UN SINGE EN HIVER (1962年/仏映画/104分)
【監督】アンリ・ヴェルヌイユ 【音楽】ミシェル・マーニュ
【共演】ジャン・ギャバン
※ジャン・ギャバン&ベルモンドが、最高の演技で魅せる愛すべき酔っ払いたちの挽歌。冬のノルマンディを舞台に、迷える男たちが人生最大の花火をあげる哀愁の感動作!
★未ブルーレイ化、4Kリマスター版による26年ぶりの劇場公開
『薔薇のスタビスキー』
STAVISKY... (1974年/仏・伊 合作映画/117分)
【監督】アラン・レネ 【音楽】スティーヴン・ソンドハイム
【共演】シャルル・ボワイエ、アニー・デュプレー
※フランスを震撼させた実話を名匠アラン・レネが華麗に描く傑作犯罪サスペンス!野望とロマンに生きた謎の実業家スタビスキーの実像。★HDリマスター版による47年ぶりの劇場公開
『ベルモンドの怪盗二十面相』
L’INCORRIGIBLE (1975年/仏映画/100分)
【監督】フィリップ・ド・ブロカ 【音楽】ジョルジュ・ドルリュー
【共演】ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド
※変装、変装、また変装。ベルモンドが稀代の詐欺師を豪快に演じ、ノンストップの口八丁手八丁で無責任に暴走する“陽気なベルモンド映画”の究極点! 日本初公開以来、VHSにもなったことがない幻の1本!★国内未ソフト化、HDリマスター版による46年ぶりの劇場公開
『パリ警視J』
LE MARGINAL (1983年/仏映画/102分)
【監督】ジャック・ドレー 【音楽】エンニオ・モリコーネ
【共演】ヘンリー・シルヴァ
※ベルモンド式スタント&アクションのすべてを網羅したポリス・アクションの到達点! フランスでオープニング興行新記録樹立、1983年フランス興行成績第3位、ベルモンド後期最大のヒット作品して、最後のハード・アクション!
★未ブルーレイ化、HDリマスター版による37年ぶりの劇場公開