1966年6月、4人はやって来た。ビートルズ最初で最後の来日公演である。しかし、その道のりは必ずしも平坦ではなかった。50年代からビートルズ登場までの日本ポピュラー史を紐解きながら、ビートルズ来日、さらには彼らが日本音楽界に及ぼした影響までを追う渾身のドキュメンタリー。
ビートルズに触れた衝撃や、彼らから受けた影響を語る日本人ミュージシャンの生々しい言葉、リアルな体験談は、異国の地においても絶大なる存在感を放ったビートルズを証明する。
ビートルズとの出会いを「全然違っていた」と表現する松本 隆(元はっぴいえんど・作詞家)、一瞬でサウンドに引き込まれ「ビートルズに溺れちゃうと思った」財津和夫(チューリップ)は、実際溺れてその影響を自身の音楽にたっぷり反映させた。
もちろんビートルズからのインスピレーションは、現在シーンのど真ん中で活躍するミュージシャンにも及んでいる。『ザ・ビートルズ 1』(2000年)を「狂ったように聴き続けた」と語る井口 理(King Gnu)や、父親が大のビートルズ・ファンで幼稚園の頃には「目覚めていた」と振り返る峯田和伸(銀杏BOYZ)。奥田民生は、小学生時代の夏休み、テレビで放映された『アニメ・ザ・ビートルズ』をカセットで録音して曲を覚えたという。超人気漫画家にしてバンド活動も行なう浦沢直樹の“観せてもらえなかった武道館テレビ放映”話に共感する同世代ファンも少なくないだろう。ビートルズへの深いリスペクトが、それぞれの言葉から熱となって放たれる。
また、ビートルズ武道館公演で、尾藤イサオとブルー・コメッツとして前座を務めた尾藤は、同じく前座で出演した内田裕也との思い出を懐かしみ、武道館公演に足を運んだ黒柳徹子はそこで目の当たりにした衝撃の光景を明かす。祖母の一声で(!?)4人に対面し、一緒にすき焼きを囲んだ加山雄三の有名な話も、本人の口から語られる。
その他、メジャー・デビュー曲「帰ってきたヨッパライ」がオリコン初のミリオン・ヒットとなったザ・フォーク・クルセダーズのきたやまおさむや、ロカビリー三人男のひとりミッキー・カーチスが振り返る、ビートルズ前夜の日本の音楽シーン、ビートルズの新しさなども興味深い。
第二弾の豪華な出演者は以下の通り。(敬称略・五十音順)
井口 理(King Gnu)/浦沢 直樹(漫画家)/奥田 民生/加山 雄三/きたやま おさむ(元ザ・フォーク・クルセダーズ)/黒柳 徹子(女優・ユニセフ親善大使)/財津 和夫(チューリップ)/尾藤 イサオ/松本 隆(元はっぴいえんど・作詞家)/ミッキー・カーチス/峯田 和伸(銀杏BOYZ)
「ミスタームーンライト~1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢~」
2023年1月27日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給:KDDI/WOWOW
©「ミスタームーンライト」製作委員会