11月30日よりディズニープラスでオリジナルシリーズ「ウィロー」が好評配信中。ジョージ・ルーカス製作総指揮×ロン・ハワード監督による1988年の映画『ウィロー』の正当な続編となる本作。その第1話・第2話のレビューをお届けします!(文・平沢薫/編集・SCREEN編集部)

世界が夢中になったあの世界が帰ってきた!

 小さな体の魔法使い見習いウィローが、悪の女王を倒すと予言された"運命の赤ん坊"を守るため、無法者の剣士や、動物に姿を変えられた善の魔女と一緒に旅をする、魔法と剣の冒険ファンタジー映画『ウィロー』。その1988年の劇場公開から34年という年月を経て、リメイクでもリブートでもない、前作に直結する続編となるドラマシリーズが登場。同じ世界を舞台に同じ人物たちが登場し、20年後の出来事が描かれる。

画像: 34年の時を経た映画『ウィロー』の続編!

34年の時を経た映画『ウィロー』の続編!

 まず驚かされるのは、この世界の雰囲気が変わらないこと。もちろん、特殊効果技術の飛躍的な進歩を経て、異世界を描く映像は、前作とは比較にならない緻密な描写が可能になった。邪悪なものを運んでくる魔風(まふう)の霧のような雲のような質感。その中から出現する、なかなか姿をはっきりとは見せない異形の者たち。また、"予言の子"を守るために創られた、王国をまるごと覆う"バリア"の滑らかなオーロラと澄んだ水の中間のような手触り。ファンタジー世界の構築に不可欠な、現実には存在しないものの表現力は、格段に進化している。にも関わらず、この世界の空気は変わっていないのだ。

画像: 王国を覆うバリア。映像技術の進化も感じさせる

王国を覆うバリア。映像技術の進化も感じさせる

 馬で駆け抜ける緑の平原。まっすぐな樹木が立ち並ぶ明るい森。前作と同じウェールズで撮影された風景は、前作以上に壮大な景観を映し出すのだが、そこにときおり降り注ぐ暖かな光の感じ、古き良きおとぎ話の世界にどこかで繋がっていると感じさせる雰囲気は、前作と共通。ときどきユーモラスなシーンがあるのも前作と同じ。こうした雰囲気こそが『ウィロー』の魅力の根源であることを、本作のクリエイター、製作総指揮と脚本を手掛けるジョナサン・カスダンは知っているのだろう。彼は、9歳だった彼が劇場でこの映画に夢中になった時に彼の目に映っていた世界を、このドラマで描こうとしているのではないか、そんな気もしてくる。

躍動する新世代、そして“謎解き”要素。新たな魅力にも注目!

 一方で、このドラマには、幾つもの新たな要素が盛り込まれている。まず、若者たちの群像劇であり、成長ドラマでもあること。前作の主人公ウィローや、悪の女王の娘ソーシャは本作でも主要登場人物だが、彼らの子供たちとその同世代の若者たちが多数登場し、ドラマの大きな要素になっていく。

 しかも、彼らはみな個性的で、それぞれに希望も悩みも持っている。女王ソーシャの双生児の子供たちの性格はかなり違い、娘キットは剣術が好きで「自分の求めるものはここにはない」と家出を考えるつつ、旅に出て不在の父については複雑な思いを抱いている。息子エリクは遊び人だが、実は妹想い。彼と恋に落ちる台所メイドのダヴは、自分に自信が持てない。親が決めたキットの婚約者、隣国の王子グレイドンは語学堪能な文系男子で、キットに「僕らが統治するときは、親のやり方を踏襲しなくてもいい」と言ったりもする。このように登場人物それぞれの思いと心理の動きが細かく描かれて、前作にはなかった新たな魅力になっている。

画像: トニー・レヴォロリ(左端)、ルビー・クルス(右から3人目)、エリン・ケリーマン(右端)

トニー・レヴォロリ(左端)、ルビー・クルス(右から3人目)、エリン・ケリーマン(右端)

 そんな若者たちを演じるのが、気鋭の若手俳優たち。キット役はケイト・ウィンスレット主演のサスペンス・ドラマ「メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実」で注目のルビー・クルス。その親友ジェイド役はドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』のエリン・ケリーマン。グレイドン役は『スパイダーマン』シリーズのトニー・レヴォロリと、注目俳優たちが顔を揃える。

 もう一つ、新たに加わったのが"謎解き"の要素。ストーリーの中心は、悪の陣営にさらわれた王子エリクを救うため、その妹の王女キットたちがウィローの協力を得て旅をするファンタジー・アドベンチャーだが、その中で次から次へと謎解きが続く。自分の素性を知らずに育った"予言の子"は今、どのように成長しているのか。牢に入れられている、女王がよく知っているらしい男は何者なのか。女王が旅に出たと語るマッドマーティガンは、現在はどこでどうしているのか。さまざまな謎が次々に登場し、少しずつ答が見えてくるので、早くドラマの続きが見たくなる。

 また、デスドッグ、魔法が宿る指を当てる"指当てテスト"、"豚を消す魔法"など、映画版を見ているとニヤリとしてしまうアイテムが登場するのも続編ならではの楽しさだ。

親子共演を果たしたワーウィック・デイヴィスの姿もグッとくる!

 しかし、映画版ファンにとって何より感動的なのは、20年後のウィローの姿ではないだろうか。大人になった彼の娘を、ウィロー役ワーウィック・デイヴィスの実娘アナベルが演じているのも感慨深い。前作の若いウィローは、ただまっすぐに自分の思う道を進んだが、本作のウィローは違う。彼は過去の判断を悔やみ、未来の予兆を恐れ、それらを胸に秘めている。しかし、それでも希望を失わない。ウィローのそんな姿を見ていると、静かな感動が湧き上がってくるのだ。

画像: ウィロー(ワーウィック・デイヴィス)の娘も本作では登場!

ウィロー(ワーウィック・デイヴィス)の娘も本作では登場!

『ウィロー』
ディズニープラスで独占配信中
©2022 Lucasfilm Ltd.

画像: ウィロー|日本語吹替版 本予告|Disney+ (ディズニープラス) www.youtube.com

ウィロー|日本語吹替版 本予告|Disney+ (ディズニープラス)

www.youtube.com

This article is a sponsored article by
''.