『別れる決心』は、『オールド・ボーイ』『お嬢さん』のパク・チャヌク監督にとって6年ぶりの最新作となる“大人のためのサスペンスロマンス”。本年度のアカデミー賞国際長編映画賞部門の韓国代表に選出、カンヌ国際映画祭コンペティション部門では監督賞を受賞。第 80回ゴールデン・グローブ賞《作品賞-非英語作品(旧・外国語映画賞)》にもノミネートされるなど高い評価を得ている作品だ。
物語は、刑事ヘジュン(パク・ヘイル)が、崖から転落死した男の妻ソレ(タン・ウェイ)の調査を開始することから始まる。取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしか刑事ヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたヘジュンに特別な想いを抱き始める・・・。
チャヌク監督“楽しい作品になるようにベストを尽くしました”
日本でも多くの映画ファンが公開を待ち望む中開催された本日のジャパンプレミア。上映前の舞台挨拶に登場したチャヌク監督は、「寒いなか映画館に足を運んでくださり、ありがとうございます。本作は『お嬢さん』以来の劇映画になります。また、コロナ禍を経ての初の作品でもあります。なので映画館で見ていただくのに即した楽しい作品になるようにベストを尽くして作りました」と本作に込めた思いを明かした。
ゴールデングローブ賞へのノミネートをはじめ賞レースでも大きな話題を呼ぶ本作。本国韓国では若い世代のインフルエンサーからも大きな支持を得ており、特にBTSのRMは「なんで試写会に呼んでくれなかったんだ」と言うほど本作にハマっていることをゲストの古家が解説すると、監督は「BTSのRMさんとは共通の友人がいるので、以前一緒に仕事をしたことがあります。試写会にお招きしたのですが、何か手違いがあったようでそれが伝わらなかったようです。実際にRMさんがお金を出して何回も観て下さったということはすごくありがたいなという風に思います」と感謝の気持ちをコメント。
続けて「本作は古典的なスタイルの映画を作ろうと考えて作った作品です。ですから、現代のよくある刺激的な作品に慣れている若者が退屈がったらどうしようと思っていました。しかし、以前作っていた刺激的な作品よりもむしろこの作品の方が好評を博しています。とても興味深いなと感じました。やはり人を愛する感情や、また愛する人との別れ、それが非常に残念だ、辛いという気持ちに関してはどの国のどの世界の人にでも共通することなんだなということを改めて確認することができました」と語った。
また、古家が本作で印象的な韓国歌謡の「霧」を知っていると作品をさらに楽しめると解説する一幕も。監督からは「私は以前『リトル・ドラマ―・ガール』というドラマをイギリスで製作していた際に、韓国の昔の歌を検索する中で、私が子どもの頃によく聞いていた『霧』という曲を耳にすることになりました。昔の感情が蘇って、この曲を使える映画が作りたいと思ったんです」と「霧」から映画が動き出したという逸話が明かされた。