メキシコでは誘拐犯罪の99%が解決されない
麻薬カルテルなど犯罪組織による誘拐ビジネスが横行するメキシコでは、年間約6万件にもおよぶ誘拐事件が頻発していると推定されている。身代金目的の誘拐という犯罪は、極めて成功率が低いうえに刑罰が重いことから、俗に“割に合わない犯罪”と言われているが、中米のメキシコではそのような常識は一切通用しない。しかも、家族を誘拐された被害者家族の多くが組織の報復を恐れ、警察に相談することもできずに泣き寝入りを強いられているという。
日本でも年間8万人が行方不明となっているが、警察に届けが出されたのち、その多くが所在確認され95~98%は解決している。しかし、メキシコでは誘拐犯罪の99%が解決されないまま闇に葬られるといわれ、日本との差は歴然としている。そんな誘拐ビジネスが深刻な社会問題となっているメキシコの誘拐事件をテーマにした映画3作品をご紹介。これらの作品を観て、依然として解決の糸口が見えないメキシコの誘拐ビジネスに対峙してみてはいかがだろうか。
『母の聖戦』 1月20日より公開
メキシコ北部の町で暮らすシングルマザー、シエロのひとり娘である十代の少女ラウラが犯罪組織に誘拐された。冷酷な脅迫者の要求に従い、20 万ペソの身代金を支払っても、ラウラは帰ってこない。警察に相談しても相手にしてもらえないシエロは、自力で娘を取り戻すことを胸に誓い、犯罪組織の調査に乗り出す。そのさなか、軍のパトロール部隊を率いるラマルケ中尉と協力関係を結び、組織に関する情報を提供したシエロは、誘拐ビジネスの闇の血生臭い実態を目の当たりにしていく。人生観が一変するほどのおぞましい経験に打ち震えながらも、行方知れずの最愛の娘を捜し続けるシエロは、いかなる真実をたぐり寄せるのか……。母の深い愛情と強い怒りを描いた衝撃作であり、並外れた緊迫感がみなぎるクライム・スリラー。
『息子の面影』 (22)
メキシコの貧しい村に暮らすマグダレーナ。貧困から抜け出すため仕事と夢を求めた息子は、友人とアメリカへ向けて旅⽴ち、そのまま消息を絶つ。多くの若者が国境を越えようとして命を失うことが多い中、マグダレーナは、息子を探す為に一人、村を出発する。やっとの思いで得た情報を頼りに、ある村へと向かうマグダレーナは、道中で息子と同じような年齢の⻘年ミゲルに出会い、彼が母親を探していることを知る。息子と母、それぞれが大切な存在を探している二人は共に旅を始める。荒涼としたメキシコの大地を美しく切り取りつつ、今なおメキシコに残る貧困問題をはじめとした問題を鋭く描き出したヒューマンドラマ。
『マイ・ボディーガード』 (04)
米軍の対テロ部隊で長年暗殺任務に従事し、心と体に大きな傷を負ったジョン・クリーシー(デンゼル・ワシントン)は、生きる希望を失っていた。そんな彼を見かねた部隊の先輩レイバーンは、クリーシーに誘拐事件が多発するメキシコシティに住む、実業家ラモスの娘ピタ(ダコタ・ファニング)の護衛の仕事を紹介する。はじめは仕事に対して乗り気でなく無愛想なクリーシーだったが、無邪気で優しく聡明なピタに少しずつ心を開いていく。そしてピタが誘拐犯に拉致されたとき、クリーシーの過激な追跡が始まる―。A・J・クィネルのベストセラー小説『燃える男』をトニー・スコット監督が映画化したアクションドラマ。
『母の聖戦』
1月20 日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA ほかにて全国ロードショー
【監督】テオドラ・アナ・ミハイ
【出演】アルセリア・ラミレス、アルバロ・ゲレロ、アジェレン・ムソ、ホルヘ・A・ヒメネス
【配給】ハーク
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