男性同性愛を禁ずる「刑法175条」下で、「愛する自由」を求め続けた男の闘い
Bunkamuraル・シネマの編成担当が「見過ごされてはならない映画」だとして、自社買付・初の全国配給を決めた本作は、第二次大戦後ドイツで男性同性愛※を禁ずる「刑法175条」のもと、「愛する自由」を求め続けた男の20余年にもわたる闘いを描いた、静かな衝撃作。
※刑法175条は男性のみを対象としており、女性同性愛については違法と明記されていなかった。
1871年から1994年までの123年間施行された刑法175条はナチス時代に厳罰化され、処罰者は14万人にも及んだ。自身の性的指向を理由に繰り返し投獄される主人公ハンスを演じたのは、ミヒャエル・ハネケ監督『ハッピーエンド』(17)やドイツ映画賞主演男優賞に輝いた『希望の灯り』(18)、現代ドイツ映画を代表する作家クリスティアン・ペッツォルト監督の『水を抱く女』(20 )などで大きな印象を残した次世代スターで、ダンサー・振付師でもあるフランツ・ロゴフスキ。
非人道的な法に踏み躙られながらも愛を諦めないハンスの、消えない炎のような魂を、少ない言葉と雄弁な身体で表現している。当初は同性愛者であるハンスを嫌悪しながらも、次第に心をほどいていく殺人犯ヴィクトールを演じたのは、「BrightNights」(17・未)で第67回ベルリン国際映画祭最優秀男優賞を受賞した演技派ゲオルク・フリードリヒ。
刑務所という特殊な環境下で育まれる唯一無二の関係性を、絶妙な距離感で具現化した二人のケミストリーは、海外メディアから「言葉はいらない。この二人がいればいい」(DEUTSCHLANDFUNK KULTUR) 、「傑出した俳優たちによる、力強く忘れがたい物語」(POLYESTER FRANCE)などと称賛されている。
監督・脚本は、オーストリア人監督のセバスティアン・マイゼ。各国映画祭で高く評価された長編デビュー作「Still Life」(11・未)以来の劇映画となる。撮影監督は『燃ゆる女の肖像』(19)のセリーヌ・シアマ監督が『トムボーイ』(11) や『ガールフッド』(14)などでタッグを組んだクリステル・フルニエが務めた。
「レンブラントの絵画のような美しさ」(SCREEN DAILY) 、「深遠なる官能」(Little White Lies)と評され、映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では97%フレッシュという高評価を獲得(2月7日時点) 。その後日本公開に先んじて同タイトルで上映された2022年レインボー・リール東京でも「超絶大傑作」「あまりに衝撃的なラスト」「どっと涙が出て困った」など絶賛が相次ぎ、劇場公開を望む声が多く寄せられていた。
【Bunkamuraル・シネマ編成担当のコメント】
パンデミック下、2021年5月のカンヌ国際映画祭。現地参加を見送りオンラインで試写した本作には、編成チーム一同ぜひ上映したい!と魅了されました。公開方法を模索するなか、昨年7月にレインボー・リール東京で再見。スクリーンで、そして日本語字幕付きで観ると、ますます「見過ごされてはならない映画」だと確信し、自分たちで全国配給することを決めました。
『大いなる自由』
7月7日(金)、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開
<STORY>この手に自由を、消せない愛を。
第二次世界大戦後のドイツ、男性同性愛を禁じた刑法175条の下、ハンスは自身の性的指向を理由に繰り返し投獄される。同房の殺人犯ヴィクトールは「175条違反者」である彼を嫌悪し遠ざけようとするが、腕に彫られた番号から、ハンスがナチスの強制収容所から直接刑務所に送られたことを知る。己を曲げず何度も懲罰房に入れられる「頑固者」ハンスと、長期の服役によって刑務所内での振る舞いを熟知しているヴィクトール。反発から始まった二人の関係は、長い年月を経て互いを尊重する絆へと変わっていく 。
監督・脚本:セバスティアン・マイゼ/共同脚本:トーマス・ライダー/撮影監督:クリステル・フルニエ/編集:ジョアナ・スクリンツィ/音楽:ニルス・ペッター・モルヴェル、ペーター・ブロッツマン/出演:フランツ・ロゴフスキ、ゲオルク・フリードリヒ、トーマス・プレン、アントン・フォン・ルケ ほか
2021年/オーストリア、ドイツ/116分 /1:1.85/カラー/原題:GroßeFreiheit/英題:GreatFreedom
配給:Bunkamura
■公式サイト: https://greatfreedom.jp/
■公式Twitter: https://twitter.com/greatfreedomjp
■公式Instagram: https://www.instagram.com/greatfreedomjp
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