カバー画像:© 2021 ESTHER HOLDINGS LLC and DC ESTHER HOLDINGS, LLC. All rights reserved.
杉山すぴ豊
アメキャラ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
人気シリーズに名監督作! 話題の恐怖映画が彩る春
桜舞う春休みシーズンですが3月下旬から4月上旬にかけてホラー系の映画が立て続けに公開(笑)。『エスター ファースト・キル』『ダークグラス』『ノック 終末の訪問者』『ハロウィン THE END』と、エスター、ハロウィンは人気ホラーキャラの復活、他の2つの作品はダリオ・アルジェント、M・ナイト・シャマランという人気ホラー監督の最新作です。
この4作に共通するのはちょっと捻りのあるストーリーがポイント。特に『エスター ファースト・キル』はそうくるか! という展開。本作はなんと2009年に作られた『エスター』の続編ですが、物語的には前日譚。前作は完成度が高くかつドンデン返しがあっただけに、それ以上の驚きを用意しなければならない。単なる焼き直しではなく、前作のファンも今回初めて観る人にとっても楽しめる作品となっています。
>>『エスター ファースト・キル』関連ページはこちらから
『ノック〜』の出演はデイヴ・バウティスタ。そう『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのドラックスです!シャマラン×バウティスタという組み合わせ? と思ったのですが、考えてみればシャマランは『ダイ・ハード』(1988〜)のブルース・ウィリスを『シックス・センス』(1999)等、『リーサル・ウェポン』(1987)のメル・ギブソンを『サイン』(2002)に起用。当時の人気アクション映画スターを自分の不気味映画に使う傾向がありました。今後もアメコミ・ヒーロー役者を自作に招いていくかもしれませんね。
『BTTF』のオマージュが伏線に? 『アントマン&ワスプ:クアントマニア』
さてアメコミ映画×ホラーと言えば、実は『アントマン&ワスプ:クアントマニア』です。もう公開から2ヶ月経っているのでネタバレを書きますが、考えようによってはとても怖い話を一つ。本作ではスコットがケーキを食べる時、あきらかに不味そうなリアクション(ケーキの味がいつもと違う)をして映画が終わる。わざわざこの場面をオチに持ってくる意味は? またなじみのカフェがそれまで無料サービスだったコーヒーに対し12ドルとるようになる。
つまりスコットの日常が微妙に変わってしまったことを示唆。ここは僕もずっと気になっていたのですが、もしかするとスコットは元の世界に戻れず別のバースに行ってしまった? ないしカーンを倒したことで歴史=世界が変わった?
『アントマン&ワスプ:クアントマニア』は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985〜)を意識したとも言われており、例えばピザを大きくするシーンは『バック・トゥ〜』のパート2へのオマージュです。そして『バック・トゥ〜』1作目ではマーティが元の時代に戻るとやはり日常が少し変わっていましたよね。
この解釈については海外のファンの間でも議論になっており、本作の脚本家であるジェフ・ラブネスはそれについて否定も肯定もしていません。スコットたちが本当は元の世界に戻れていないのだとすれば、ちょっとゾッとしますよね。
バットマン俳優がさらに参戦!? DC映画『ザ・フラッシュ』
アメコミでバースを変える作品といえば、日米同時公開が決まったエズラ・ミラー出演の『ザ・フラッシュ』。すでにお伝えしている通り、フラッシュがマルチバースを混乱させ、ベン・アフレックのバットマンの世界から飛び出しマイケル・キートンのバットマンに会うという話ですが、さらにここにジョージ・クルーニー版バットマンが登場するとの噂も! クルーニーはシュワちゃんがヴィランを演じた『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲!』(1997)のバットマン。本作は失敗作と言われ(個人的にはすごく好きですが)、クルーニー自身にとっても黒歴史っぽい。
ただ最近公開された『チケット・トゥ・パラダイス』(2022)でまさかのバットマン・ネタあったし、本人としてもバットマンをまた受け入れる気分になってきたのでしょうか? クルーニーのバットマンにもまた会いたいなあ。
会えると言えば今年のGWに大阪コミコンが開催されますが、ゲストがすごいことになってきました。現時点でマッツ・ミケルセン、ミリー・ボビー・ブラウン、マイケル・ルーカー、カール・アーバンらの参加が決定! この号が発売される頃にはさらにすごいゲストが決まっているかもしれません。