本年度アカデミー賞2部門(主演男優賞/メイクアップ&ヘアスタイリング賞)受賞の映画『ザ・ホエール』(キノフィルムズ配給)がTOHOシネマズ シャンテほか全国公開中。本作でアカデミー賞主演男優賞を初受賞したブレンダン・フレイザーが初日舞台あいさつを行った。

ファンがいてくれたから僕はここにいる

『ハムナプトラ』シリーズなどでスター俳優として活躍するも長らくハリウッドの表舞台から遠ざかっていたブレンダン・フレイザーは、本作での圧巻のパフォーマンスに絶賛、称賛の声が寄せられた。数多の賞のノミネート&受賞を重ね、ついに本年度アカデミー賞で〈主演男優賞〉を初受賞!!!メガホンを取ったのは、幾度となく主演俳優をオスカーノミネートの場に引き上げてきた鬼才ダーレン・アロノフスキー。活躍目覚ましい若手女優セイディー・シンク(「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シリーズ)、とアカデミー賞〈助演女優賞〉のノミネートを果たしたホン・チャウ(『ザ・メニュー』)ら実力派俳優陣が脇を固める。
恋人を亡くし過食により体重272キロとなったチャーリー(ブレンダン・フレイザー)が自らの余命が幾ばくもないことを悟り、長らく押し込め続けたトラウマと向き合うこと決意し、疎遠だった娘との絆を取り戻そうとする“最期の5日間”を描く。心をえぐるような喪失と絶望を抱えながら生きてきた、彼の人生最期の願いとは―。
日本公開を祝して、15年ぶりに緊急来日を果たしたブレンダン・フレイザーが登壇、4月7日、初日舞台挨拶を行った。

画像1: ファンがいてくれたから僕はここにいる

初日を迎えたこの夜、オスカー俳優となったブレンダンの舞台挨拶付き上映ということで、満席の会場で観客たちの期待が高まる中、ついにブレンダン・フレイザーが笑顔で登場!万雷の拍手の中、「コンバンハ、トウキョウ!」と呼びかけ、場内の観客ひとりひとりの顔を見るようにゆっくりと舞台の中央へ。

「『ハムナプトラ3』以来、15年振りにまた日本へ来られたことを本当にうれしく思います。運が良ければまた1本作れるかな(笑)」と一言。この度、本作でブレンダン演じるオンライン授業の講師でもあるチャーリーの役どころにちなみ、劇中のオンライン授業を模し、一般抽選で募られたZoom参加者もスクリーンに投影され、会場と日本全国の“インターネットフレンズ”、双方の観客とともに舞台挨拶がスタート。

観客との交流に重きが置かれ、Zoom参加者より寄せられたブレンダンへの質問をひとつずつ投げかけることに。
スクリーンへ映し出された参加者へ向け「ありがとうございます。Zoomの皆さん、パンツとか洋服・・ちゃんと着けていますか?(笑)」とおどけてみせ和やかな雰囲気に。

画像2: ファンがいてくれたから僕はここにいる

―15年ぶりの来日ですが、前回は『ハムナプトラ3』のPR来日でミッシェル・ ヨーさんと来日されていましたね?久しぶりの日本で行ってみたい場所や、食べたいものはありますか?
「桜が散ってしまって悲しい思いではありましたが、少し見ることができてうれしかった。とても美しかったです。今回は京都や大阪に行きたいと思っています。美味しいラーメン屋などだれかご存知であれば教えてほしいな。あと、カメラ屋さんに行ってカメラを買いましたよ。ミシェル・ヨーさんとはこの6カ月間、様々な授賞式などで沢山会う機会がありました。いい友達だし、ミシェルとともに歩めたことをとても誇りに思うし、うれしく思います。」

―特殊メイクでの撮影でしたが印象的だったことを教えてください。どんなところが特に大変でしたか?また逆に、面白い/ 楽しかったことはありますか?
この映画は努力をしてやっと手に入れる“希望や贖罪”の物語です。愛に対して決して諦めないことを描いています。自分を傷つけるように過食をし、疎遠になってしまった家族がいる。私が演じたチャーリーは、外見では分からないもっと沢山のものを持っているキャラクターです。今回そんなチャーリーを作り上げるためには、特殊メイクが必要でした。私はその過程にも興味があって撮影はとても面白かったです。そして特殊メイクをしてくれたエイドリアン・モロットも共にメイクアップ&ヘアスタイリング賞でオスカーを受賞しました。デジタルでの表現ではなく、身体的な表現が今回は必要で物理的な重力の法則に則った作りをしています。チャーリーと出会うことで観客の皆さんはきっと彼が好きになると思います、僕がそうであったようにね」

―共演の俳優さん達の素晴らしさについて繰り返し話されていたことが印象的でした。共演者の方々との印象に残っているエピソードを教えて頂けますか?
「コロナ禍で制作した作品でした。再び人と集まり、楽しめるという事は本当に素晴らしい。これは忘れてはいけない事だと思いました。この映画には、〈5人の共演者が演じるキャラクター〉という秘密の材料があるんです。皆がそれぞれ慎重に、お互いの事を思いやりながら作りました。それがこの作品を特別なものにしていて、その思いがスクリーン越しに溢れています。2020年から22年に作られた他の作品にも、きっとそういうものがあると思います」
映画ではめずらしく、監督のダーレン・アロノフスキーの発案により本番前に3週間のリハーサル期間を設けられ、その期間に共演者同士のより親密な交流、絆が生まれたという。
「じつはホン・チャウは撮影の前に出産したばかりでした。彼女が赤ちゃんの面倒を見られるように、皆で時間をとれるように思いやりをもっていました。セイディー・シンクは、・・・ワォ!です。本当にすばらしい才能の持ち主で、32年キャリアがある私からみても驚異的。怒りを表現するキャラクターですが、観客の皆さんに忘れないでほしいのは、彼女は心に痛みを抱えている若い女の子ということです。彼女が大好きなんです。タイ(・シンプキンス)は、この作品で何かを成し遂げ成長していくのを見届けられたような気がします。それはとても素敵なことでした。偉大なるサマンサ(・モートン)は、映画の中では私の元妻役です。素敵な共演、楽しかっただけに(劇中で)夫婦関係が上手くいかなかったことを少し残念に思う自分がいます(笑)」

―大好きな作品が『ハムナプトラ』です、もう一度アクション映画に出演する機会 はありますか?
「今回アカデミーをいただいたのでユニバーサルの方(『ハムナプトラ』制作)がまた僕をキャスティングしてくれることをみなさんも祈ってください!(笑)」

最後に、目の前の観客、Zoom参加者へ向けてブレンダンは「今日は、足を運んで下さって心の底から感謝しています。ファンの皆さんの事を心から愛しています。私がこうしていられるのも皆さんのおかげだから」と、言葉ひとつひとつゆっくりと感謝と万感の思いを伝えた。寄せられた質問に対して時にユーモアを交えながらも真摯に答えるブレンダンへ沢山の拍手が送られ、舞台挨拶は終了した。

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