韓国を代表する俳優として圧倒的な存在感を放つチェ・ミンシクが3年ぶりに帰ってきた。難しい公式もすらすら暗唱する天才数学者の顔から悩める若者の背中を押す大人の姿まで、貫禄の演技で魅せ『シュリ』以来、22年ぶりに北朝鮮の方言まで完璧に使いこなしたことでも話題を呼んだ。そして250倍の競争率を勝ち抜いて抜擢されたキム・ドンフィ、信頼のベテラン俳優パク・ビョンウンとパク・ヘジュン、新進気鋭のチョ・ユンソと実力派俳優がここに集結した。
脱北した天才数学者と挫折寸前の劣等生。現実に失望しかけた2人が出会い、数学を通して人生を見つめ直していく物語は単なる数式上の正解だけが全てではなく、正解を見つけるための過程の大切さが描かれ、今を生きる私たちに共感と希望、励ましのメッセージが込められた温かな感動作となっている。さらには数学の美しさを証明するために円周率から作られた「π(パイ)ソング」のピアノ演奏など、数学を音楽で表現した圧巻のシーンも見どころ。
「グッド･ウィル･ハンティング／旅立ち」や「ビューティフル･マインド」などの過去の名作に並び、数学を架け橋にして人生に勇気を伝えるヒューマンドラマとなっている本作。監督のパク・ドンフンは撮影現場でチェ・ミンシクに何度も驚かされたと語る。
監督は「文化財に指定すべきだ」と称えるほど俳優としてチェ・ミンシクを尊敬しており、「警備員の制服を着たミンシクさんが高校生に数学を教えたり、どことなく抜けた姿を見せたり。そんな姿を想像しただけで、一緒に撮影するのが楽しみでした。」と語るように自らを「熱烈なファン」と公言している。
「チェ・ミンシクさんは本作への出演を決めるまでに、少なからずの時間を要したようです。それだけ悩んだということでしょう。」と明かす。それでも最初のミーティングで、「シナリオの文章より楽しく、エネルギーを際立たせたい」と三年ぶりの主演作が決まった。監督は何となく怖いイメージを持っていたそうだが、「ミンシクさんは冗談が上手で、いたずら好き。若い俳優やスタッフたちと和気あいあいと過ごしていました。」と撮影現場の様子を振り返る。「怖い人ではなかったのですが、筋が通っていないと感じたことには容赦なく意見してくれました。」と感謝。
劇中には、チェ･ミンシクのアイデアで生まれた名場面が多いと明かす。例えば「映画の中で、バッハ、ヘンデル、ベートーベンにまつわる軽快なやりとりがあります。最初にミンシクさんからそのアイデアを聞いたときは“ハクソンにしてはふざけすぎかな”と思ったのですが、実際に撮影現場でやってみたらとてもよかったんです。そのとき、“洞察力とはこういうことなんだな”」と驚かされたと話す。
また撮影現場でチェ･ミンシクはムードメーカーだったという。緊張感が漂う現場で冗談を言ってみんなを笑わせるチェ･ミンシクに監督は舌を巻いたそうだ。「表には出しませんが、私は自分のことで精いっぱいでした。チェ･ミンシクさんはそれを察して、緊張をほぐしてくれようとしたんだと思います。驚いたのは、バラエティー番組の話で談笑していたのに、“本番ですよ”と声がかかると表情が180度変わるんです。大げさではなく、モニターを見ながら何度も感心させられました。」と主演として現場と監督への気遣いを忘れない一面も。
監督は「チェ･ミンシクさんはよく“熱い俳優”や“虎”などと表現されますが、ごく普通の日常生活の演技がとても上手な俳優だと思います。なので本作では、チェ･ミンシクさんの穏やかで温かく、誰かを優しく励ます表情を引き出したかったのです。」と撮影に臨み、出来上がった作品について「確実に保証できるのは、今まで見たことのないチェ･ミンシクの表情を本作で見られるということです。」と自信たっぷりに語ってくれた。
チェ・ミンシクが脱北した天才数学者を演じ、落ちこぼれの学生ジウとの不思議な出会いがもたらす深い感動と、人生を豊かにしてくれる数学の素晴らしさを同時に味わえる『不思議の国の数学者』をぜひ大きなスクリーンで堪能してみよう。
『不思議の国の数学者』
4月28日(金)より、シネマート新宿ほか全国ロードショー
配給：クロックワークス
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