『ジョンベネ殺害事件の謎』(2017)で知られるドキュメンタリー映画作家のキティ・グリーンが、2017年、ハリウッドを発端に巻き起こった<#MeToo運動>を題材に、今⽇の職場における⼤きな問題を掘り下げた『アシスタント』が6月16日(金)に公開される。同作より、無意識の痛みに晒されるジュリア・ガーナーを切り取った本編特別映像、そして、「デヴィッド・フィンチャーの『ゾディアック』(07)、『セブン』(95)などのスリラー映画にインスパイアされた」と、意外なタイトルを明かすグリーン監督のインタビューが到着した。

“無意識の痛み”に晒される主人公を捉えた本編特別映像

名⾨⼤学を卒業したばかりのジェーン(ジュリア・ガーナー)は、映画プロデューサーという夢を抱いて激しい競争を勝ち抜き、有名エンターテインメント企業に就職した。業界の⼤物である会⻑のもと、ジュニア・アシスタントとして働き始めたが、そこは華やかさとは無縁の殺⾵景なオフィス。早朝から深夜まで平凡な事務作業に追われる毎⽇。常態化しているハラスメントの積み重ね・・・・・・しかし、彼⼥は⾃分が即座に交換可能な下働きでしかないということも、将来⼤きなチャンスを掴むためには、会社にしがみついてキャリアを積むしかないこともわかっている。ある⽇、会⻑の許されない⾏為を知ったジェーンは、この問題に⽴ち上がることを決意するが――。

画像: 映画『アシスタント』特別映像② www.youtube.com

映画『アシスタント』特別映像②

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映像は、何の疑問も感じないまま、空の⾷器をジェーンに無意識に押し付けていく先輩スタッフの姿を捉えたもの。「異動できないかな 本気よ」と⾃分の将来を悲観しているが、彼⼥たちは同時に、⾃分が他⼈を傷つけていることにも、全く気づいていない。そして、ジェーンは、何も⾔わず、汚れた⾷器をただ黙々と⽚付けていく。

グリーン監督は「この映画を練り始めた時は、⼥性たちから直接聞いた、具体的な話を基にしたノンフィクションの作品の脚本を考えていた」と語る。続けて「しかし、やがて脚本は、私が聞いた何千もの話が混ざり合い、1⼈の⼥性の⽬を通して⾒たものに進化していきました。⽬的は変わらないまま、このプロジェクトは独⾃の発展を遂げたんです。本作は、ドキュメンタリー作品のようなリサーチに基づいたフィクション映画になった」と話す。

<ジェーンの1⽇>にフォーカスを当てる、というユニークな着想で描かれた本作。その理由については、「(いろいろ調査していくうちに)会社でハラスメントや暴⼒が⾏われているとき、なぜ⼈々は気がつかないのか︖何年も⾒過ごされてきたのか︖という疑問が沸きました」「⼤きな問題から気を逸せるような習慣や<加害者を守るためのシステム>があることが、1⽇に集中して描くことによって、明確にみえてくるのではないかと考えたんです」そのことによって「観客は短い時間であってもジェーンの⽴場になり、彼⼥の視点からこの世界を⾒ることができるんです」と振り返る。

続いて、『アシスタント』を制作するにあたって、およそジャンルが違うように⾒える「デヴィッド・フィンチャーの『ゾディアック』(07)、『セブン』(95)などのスリラー映画にインスパイアされた」と、意外なタイトルを明かすグリーン監督は「セクハラが蔓延っているオフィスには、どことなく恐ろしさが漂っているからです」とも⾔う。

そして「ジェーンがこなす⽇々のルーティンは、シャンタル・アケルマンの『ジャンヌ・ディエルマン、ブリュッセル 1080、コメルス河畔通り23番地』(75)を参考にしましたね。フェミニスト映画としての初期の代表作だと思いますし、⼦供の世話をしていろんな家事をこなしていく、間接的に家⽗⻑制を表現している、という部分でも影響を受けています」「本作は、ダークでスリラー的なスタイルと、退屈で単調なスタイルの融合です」とも語っている。

『アシスタント』
6月16日(金)新宿シネマカリテ、恵比寿ガーデンシネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
配給:サンリスフィルム
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