『リベリアの白い血』『アイヌモシリ』の福永壮志監督の最新作『山女』が、6月30日(金)よりユーロスペース、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開。本作と同じく、閉塞的で独特な社会を形成している「村社会」を舞台にした映像作品の中から、観る者の動悸が止まらなくなる衝撃の3作品を紹介。
画像: 映画『山女』本予告|6月30日(金)全国順次公開 www.youtube.com

映画『山女』本予告|6月30日(金)全国順次公開

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『山女』の舞台は大飢饉に襲われた東北の寒村。先代の罪を負った家の娘・凛は、村人から蔑まれながら息をひそめて生きていた。そんなある日、凛の父・伊兵衛が盗みを働いてしまう。村人達から糾弾される父をかばい、自ら村を去り禁じられた山に入る凛を待ち受けていたのは、伝説の存在として恐れられる”山男”だった…。

本作は、柳田國男の名著「遠野物語」から着想を得たオリジナルストーリー。自然を前にしてあまりに無力な人間の脆さ、村社会の持つ閉鎖性と同調圧力、身分や性別における差別、信仰の敬虔さと危うさを浮き彫りにしながら、一人の女性が自らの意思で人生を選び取るまでを描く。自分らしく生きること、人間らしさとは、何なのか。凛の物語と彼女が下した決断は、時代を超えて、こだまとなって私たちの明日に響く。国際共同製作となる本作の監督・脚本は、民族やルーツにフォーカスを当ててきた福永壮志。ニューヨークで映画を学んだ後、グローバルな制作体制で独自の作品世界を追求してきた。共同脚本に劇作家で、NHK連続テレビ小説「らんまん」を手がける長田育恵を迎え、現代につながる社会の歪みとそこに生きる人々の物語を作り上げた。

18世紀後半、日本各地が天明の大飢饉に見舞われる中、17 歳の凛(山田杏奈)が住む山に囲まれた小さな村も、延々と続く冷害に苦しんでいた。わずかに採れた農作物を共同の蔵に収め、助け合いながら糊口を凌ぐ村人たち。しかし凛の一家は、彼らからも蔑まれ、疎まれていた。乏しい米の配給も露骨に量を減らされ、差別される。先先代が火事を起こした責任から、田畑を奪われ、家族全員が卑しい身分に貶められていたのだ。心ない言葉を吐き捨てられ、汚れ仕事をし、父親である伊兵衛(永瀬正敏)にもこき使われる凛は報われない日々を過ごしていた。ある日、村の蔵から米が盗まれる。飢えに耐え切れなくなった伊兵衛が持ち出したのだ。犯人探しを迫る村人たちの前で、凛は咄嗟に父親の罪を被り、伊兵衛は自らの非を娘になすりつける。そして凛は自ら村を去ることになるー。

世界各地の村々の中で、独自の村社会が形成されている。法律とも、宗教とも異なる、明文化されているわけでもないのに、村の中では法律より強い強制力を持ち、時には命よりも重きを置かれる“しきたり”。狭い社会の中で、有力者を中心に厳しい秩序を保ち、長い歳月をかけて培ってきたしきたりを守る村人たち。彼らにとっては生きるため、“しきたり”こそが全てなのである。

そんな閉塞感漂う村社会の中で生きる人々を描いた「村社会作品」の中から、観る者の度肝を抜く、驚愕の3作品をピックアップ。作品の中で描かれる村独自の息苦しさに身悶えながら、不条理で歪な村社会の構造とそこに生きる人々の姿に動悸が止まらない…。

『ミッドサマー』(2020年)

妹の無理心中により家族を失い悲しみにくれるダニーは、大学で民俗学を学ぶ恋人の誘いを受け、恋人の友人たちと5人でスウェーデンを訪れることに。彼らの目的はスウェーデンの村で夏至祭として開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈まないその村は、青々とした草原に美しい花々が咲き誇り、白い民族衣装に身を包んだ住人たちが陽気に歌い踊る、楽園のような場所だった。しかし、夢と現実の狭間のような楽園でダニーが目撃したのは、命をかけて“しきたり”を守る村人たちによる、想像を絶する悪夢だった…。

“ホラーの最高傑作”とも称される『ヘレディタリー/継承』を手掛けたアリ・アスター監督がメガホンを取った本作。「明るいことが おそろしい」という従来のホラーの歴史を覆す斬新さで、口コミで話題となり公開当時にロングランを記録したが、その人気は公開から3年以上経った現在も衰えることを知らない。なんと、今年の夏至の日に当たる6月21日には全国50館の劇場で1日限りの一斉上映が決定。昨年は都内劇場だけで実施され、チケットが完売した人気を鑑み、全国へ拡大しての上映となった。小さな楽園のような村の中で起こる、悪夢のような9日間から目が離せない。

画像: 2020.2.21(金)公開『ミッドサマー』予告編 www.youtube.com

2020.2.21(金)公開『ミッドサマー』予告編

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『ヴィレッジ』(2023年)

とある美しい集落・霞門村。神秘的な「薪能」の儀式が行われている近くの山には、巨大なゴミの最終処分場がそびえ立っている。幼い頃から霞門村に住む片山優(横浜流星)は、美しい村で異彩を放つこの施設で働いているが、母親が抱えた借金の支払いに追われ希望のない日々を送っている。父親はかつてこの村である事件を起こした「犯罪者」であり、その汚名を背負い、罪を肩代わりするようにして生きてきた優は、人生の選択肢などなかった。村人たちにも忌み嫌われ、村長の息子からは執拗にいびられ、苦しい日々を生きていた。そんなある日、幼馴染の美咲(黒木華)が東京から戻ったことをきっかけに物語は大きく動き出していく―。

『新聞記者』『ヤクザと家族 The Family』など社会派作品をいくつも手がけ、2022年に亡くなった河村光庸プロデューサーの最後のプロデュース作品。『余命10年』などの藤井道人監督がメガホンを取り、横浜流星を主演に迎え、閉鎖的な村に生きる若者の過酷な日常を描いたヒューマンサスペンスとなっている。

画像: 映画『ヴィレッジ』本予告 | 4月21日(金)公開 www.youtube.com

映画『ヴィレッジ』本予告 | 4月21日(金)公開

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「ガンニバル」(2023年)

都会から遠く離れた山間の“供花村”に、妻・娘と共に駐在として赴任した阿川大悟(柳楽優弥)。長閑な空気、温かく迎えてくれる村人、美しい山々の緑…しかし、美しい村には、ある噂があったー。「この村では人が喰われるらしい…。」 警察官としての信念で真相を探る大悟だが、やがて村の穏やかな日常が恐ろしい顔を見せ始める。次々と起こる不可解な出来事に、温かくもどこか不気味な村人たち…大悟はすべてに疑心暗鬼になり、狂気の淵へ追いつめられてゆく。

主演にカンヌ国際映画祭にて最年少で男優賞を受賞した柳楽優弥を迎え、映画『岬の兄妹』『さがす』等国内外から評価される鬼才・片山慎三監督、『ドライブ・マイ・カー』にてカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した脚本家・大江崇允が贈る、村社会の恐ろしさがこれでもかと描かれたヴィレッジ・サイコスリラー超大作。ディズニープラスで独占配信中。

画像: ガンニバル|本予告|Disney+ (ディズニープラス) www.youtube.com

ガンニバル|本予告|Disney+ (ディズニープラス)

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『山女』
6月30日(金)ユーロスペース、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
配給:アニモプロデュース
©YAMAONNA FILM COMMITTEE

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