「韓流映画祭2023《第2弾》」が、シネマート新宿・シネマート心斎橋にて7月21日(金)より開幕する。この度、第2弾上映作品のおすすめ作品&みどころを映画ライターの佐藤結氏が解説するコラムが到着した。

おすすめ7作品のみどころをご紹介!

多彩なラインナップが並んだ「韓流映画祭2023」。特に旧作が充実しているのが映画ファンにはうれしい限りです。第2弾も「こんな作品が!」と驚くような隠れた秀作から一度は見ておきたい名作まで、いろいろな作品が揃いました。今回上映される7作品をご紹介します。

監督のエッセンスが詰まっているといわれるデビュー作。ホン・サンス監督以外にも、演劇界から映画界に進出したチャン・ジン監督の1998年のデビュー作『あきれた男たち』が上映されます。初老の泥棒2人と自殺未遂を繰り返す若者、車のセールスマンら4人は、運悪く国会議員連続殺人事件の容疑者となってしまいますが、自分たちの状況をあまり深刻に感じていない様子。そんな彼らを取り調べる刑事たちも、どこかピントがずれていて奇妙です。

『あきれた男たち』©Hyun Jin Cinema Co., Ltd. 

本作では、自殺を図って泥棒たちに助けられる若者役でシン・ハギュンがデビューを飾りました。演技派として活躍する彼は、その後も『ガン&トークス』や『拍手する時に去れ』など、様々な作品でチャン・ジン監督と組んだほか、監督が原作・脚本・製作を手がけたヒット作『トンマッコルへようこそ』にも出演。また、彼以上に監督作への出演が多いチョン・ジェヨンもタクシー運転手役で顔を出しています。シニカルでどこか哀愁も漂う、監督特有のおかしみを体感してみてください。

そして、今回のラインナップで特に目を引かれるのは、パンソリの唄い手のドラマチックな半生を描く1994年の『フィモリ 名唱イムレの沈清歌』です。同じく国楽をテーマとした『風の丘を越えて-西便制』の影に隠れた感はあるものの、小説の映画化である同作に対して、本作は当代きっての名唱として知られる光州市無形文化財のイ・イムレの実人生に題材を採っているのが興味深い点です。

『フィモリ 名唱イムレの沈清歌』©Daeil Pilgrim Co., Ltd

しかも、彼女の息子で、本人も一流の鼓手であるイ・テベクが、イムレの才能を磨いて夫となったイ・ビョンギ、つまり自身の父親役を演じているのです。主人公の若きイムレに抜擢されたキム・ジョンミンは初の映画出演で、第32回大鐘賞映画祭新人女優賞を獲得しました。ただ、もともと芸術高校の国楽講師だった彼女は映画界には入らず、パンソリの道に邁進。現在は公演をはじめ様々な活動によってパンソリを広め、イ・テベクともたびたび共演しています。ちなみに“フィモリ”とは鼓の拍子で、追い込むようにテンポを早めていくため、通常クライマックス場面に使われるそうです。芸道に人生を懸けた人々をその道のプロが演じる、なんとも贅沢な一作です。

実話に基づいた作品としてはほかに、オリンピック開幕後の1988年にソウルで起きた脱獄囚による立てこもり事件を描いた『ホリデー 有銭無罪/無銭有罪』があります。主犯格の男を演じたイ・ソンジェがソフトなイメージを生かして、紳士的だったと伝えられる犯人を体現した一方、彼を追う刑務所副所長に扮したチェ・ミンスが、悪役とも言える役のため金歯を入れて熱演。2人の演技対決が楽しめます。

『ホリデー 有銭無罪/無銭有罪』©HYUNDAI CINEMA

イ・ソンジェ主演作は2002年のサッカーW杯を背景にした『夢は叶うオン・ザ・ピッチ』も今回公開。サッカー好きの北朝鮮軍人を演じてコミカルな演技を披露しています。また、詐欺師と検事の攻防を描いた『ドゥ・ザ・ライト・シング!』、名脇役イ・ムンシクが刑事役で初主演を飾った『刑事コン・ピルドゥ』といったコメディの佳作が揃いました。いずれもここでしか見られない、期待値の高い作品ばかりです。

text:小田香(ライター、編集者)

韓流映画祭2023《第2弾》

7月21日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋にて開催

<鑑賞料金>
一般:2,000円/大学生:1,500円/TCG会員1,400円
高校生以下:1,000円/シニア(60歳以上)1,300円
※各種サービス、利用可

公式HP:https://www.cinemart.co.jp/dc/o/hanryu-2023.html
Twitter:@hanryu_2023

<おうちでCinem@rt同時開催>
[視聴料金]550円
[視聴期間]48時間
HP:https://www.cinemart.co.jp/vod/

『小説家の家族』半券割引キャンペーン

6月30日(金)より公開中のホン・サンス監督作品『小説家の映画』の鑑賞チケットの半券を提示すると、『豚が井戸に落ちた日』を<1,200円>にて鑑賞できる割引キャンペーンも実施される。『小説家の映画』鑑賞済みの方は要チェックだ。

※他サービス、割引併用不可 
※半券は有料で鑑賞したものに限ります。

『小説家の映画 』
ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開中
監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽:ホン・サンス
出演:イ・へヨン、キム・ミニ、ソ・ヨンファ、パク・ミソ、クォン・ヘヒョ、チョ・ユニ 、ハ・ソングク、キ・ジュボン、イ・ユンミ、キム・シハ
2022年/韓国/韓国語/ 92 分/モノクロ・カラー/ 1.78:1 /モノラル 原題: 소설가의 영화 英題: The Novelist s Film 字幕:根本理恵 配給:ミモザフィルムズ
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【公式サイト】http://mimosafilms.com/hongsangsoo/

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