最新インタビューを通して編集部が特に注目するキーパーソンに光をあてる“今月の顔”。今回は実写映画「トランスフォーマー」シリーズの最新作で新たな主人公・ノアを演じるアンソニー・ラモス。激しいアクションに挑んだ感想や映画の舞台となった地元ブルックリンのこと、アクションとミュージカルの共通点などについて語ってくれました。(インタビュー、文・斉藤博昭/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:Photo by Annice Lyn/Getty Images for Paramount Pictures
画像: Photo by Annice Lyn/Getty Images for Paramount Pictures
Photo by Annice Lyn/Getty Images for Paramount Pictures

アンソニー・ラモス

1991年11月1日、ニューヨーク・ブルックリン生まれ。俳優、シンガーソングライター。

2014年にリン=マニュエル・ミランダが手掛けた14分のミュージカル「21チャンプ・ストリート」で初主演を飾った。その後も同じくミランダによるミュージカル「ハミルトン」(2015-2016)のほか、映画では『アリー/スター誕生』(2018)、『イン・ザ・ハイツ』(2021)、『バッドガイズ』(2022/声のみ)などに出演し世界的に知名度を上げる。

今後の出演作にマーベル・スタジオのドラマシリーズ「アイアンハート(原題)」がある。

一歩間違えれば大事故や大ケガにつながるので、つねに100%の集中力が要求されました

──「トランスフォーマー」の世界はアニメや映画、さらに「ビーストウォーズ」シリーズなどで幅広く親しまれてきましたが、あなた自身はファンだったのですか?

もちろん実写版をリアルタイムで観ていましたし、アニメシリーズも好きでした。とくに「ビーストウォーズ」は毎週、放映開始の何分か前にテレビをつけて、今か今かと楽しみにしていたくらいです。それくらい「ビーストウォーズ」は僕にとって特別な作品でした。

一人のファンとして「なんで実写化されないんだろう?」と思ってたら、まさか自分が主役に選ばれるなんて……。最高にラッキーな経験になりましたね。

──これだけのアクション大作での主役は、肉体的にタフだったことが想像されます。

そうですね。これまでヒーロー映画やアクション大作は経験したことがなくて、俳優としてどう肉体作りをすればわからなかったのは事実です。

今回、たとえば5週間ぶっ続けて夜間の撮影が組まれていたり、過酷なスケジュールだったので、僕の体力が試されると感じ、きっちりトレーニングして挑みました。

でもそれ以上に、後からCGで加えられるオートボットたちを相手にする演技の方が苦労したかも。だって目の前は、からっぽの空間なんですよ(笑)。何事も新しい経験だと思って、がんばりました。

──映画にもなった『イン・ザ・ハイツ』や舞台の「ハミルトン」と、ミュージカルでの豊富な経験は、こうしたアクション作品でも生かされたのでしょうか?

ミュージカルとアクションは共通点が多いことを改めて実感しました。今回のアクション撮影でも、『ここから足を踏み入れて、こう動いて』と、きっちり決まっていて、まるでミュージカルの振付を覚える感覚だったからです。

とくに相手と格闘する場合は、足を出す方向や、ジャンプの角度、その相手の受け止め方など、ダンスナンバーを覚えるのとほぼ一緒のプロセス。

さらに今回は爆発など危険なシーンも多く、一歩間違えれば大事故や大ケガにつながるので、つねに100%の集中力が要求されました。この集中力は舞台での仕事でも同じです。下積み時代の経験に感謝しましたね。

──つまりミュージカルでもアクション映画でも、作り上げるプロセスはかなり似ているということですね。

はい。映画では何度もテイクを繰り返しますよね。とくにアクションシーンでは、少しでもしっくりこないと、同じ動作を最初からやり直すわけですが、そこがミュージカルに近いんです。

1曲のシーンを、何度も何度も歌って踊らされていくうちに身体になじんでいき、慣れてくると新しいテイクごとに自分なりにひとひねり加えたりします。そうやって演じながら新鮮味を保つわけです。

それって体力がないと難しいんですが、これまでミュージカルでは、かなりのスタミナが要求され、それを自分でうまく配分し、キープすることを学んできました。そんな体力との向き合い方が今回、生かされたと思います。

──演じたノアは、NYのブルックリン育ちですが、あなたもブルックリンの出身。その意味で共感しながら演じた部分はありますか?

ブルックリンを訪れたり、少しでも時間を過ごした人なら実感できると思いますが、あそこはNYでも、かなり特殊な場所なんです。『あなたはNYの出身ですか?』と聞かれたブルックリン出身の人は『いいえ、ブルックリンです』と、はっきり答えます。もちろん僕も(笑)。

そのうち“ブルックリン自治区”としてアメリカから独立するかも……というのは冗談として、地元のレストランや食べ物、言葉遣いに至るまで、ブルックリンのカルチャーは特殊。それが僕の身体にもしみついています。

今回の撮影では、子供の頃、よく遊んでいたストリートなんかも使われて、ちょっとシュールな気分でしたが、同時につねに自然体でいられた気がします。

共演のドミニク(・フィッシュバック)もブルックリン育ちなので、阿吽の呼吸で空気感や役の関係性を表現できたので、演じるうえでは地元出身という点が大きなプラスでしたね。

──ドミニクとは今回の共演の前から知り合いだったとか……。

僕は子供の頃、野球選手になりたくて少年野球に夢中だったんですが、そのチームメイトの友達がドミニクで、僕も彼女と友達になりました。今回のキャスティングでは僕が最初に決まっていたので、ドミニクのことを猛プッシュしましたよ。

その成果があったかどうかはわかりませんが(笑)、彼女とは地元の小さな劇団でもいいから一緒に仕事をしたかったので、こんな特大スケールの映画で共演できたのは夢のようです。

──あなたは俳優であると同時にミュージシャンとしても活躍しています。両方の仕事が影響し合っていると感じますか?

僕のキャリアは小さな劇団の舞台から始まり、『ハミルトン』でブロードウェイの舞台に立ったことで、レコードレーベルと契約することができました。

現在は作曲も手がけるシンガーソングライターになれましたが、一曲のパフォーマンスでは、歌い出しからエンディングまでで、ひとつのストーリーを紡いでいる感覚です。歌詞にはメッセージを込めていますし、それがメロディとともに中盤で盛り上がり、クライマックスへと至るわけで、これって一本の映画と同じじゃないですか?

音楽の場合はスタジオにこもって試行錯誤しながらレコーディングして、ライブ会場で観客の前で披露する、という二段階の楽しみがあります。そこで観客とつながる喜びは、僕が映画で演技をしてみんなを喜ばせるプロセスと、かなり近いと思っています。

ですから僕は、キャリアの流れも含めて、音楽活動と俳優の仕事はあまり分けて考えていません。

──では最後に『トランスフォーマー/ビースト覚醒』で、日本の人たちにいちばん観てほしいシーンを教えてください。

あまり詳しくは話せませんが、やはりクライマックスの壮大なバトルシーンです。肉体的に本当に辛かったので(笑)。でもその分、最も誇らしく、素晴らしく、そしてスリリングな映像に仕上がったと自信をもって言えます。

僕の味わった達成感を、そのシーンから受け止めてもらえたら最高にうれしいです!

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』いよいよ公開!

画像: 『トランスフォーマー/ビースト覚醒』いよいよ公開!

舞台はオプティマスプライム率いるオートボット達が地球に来て間もない1994年。あらゆる星を丸呑みにして食べ尽くす「ユニクロン」が地球を次の標的に動き出していた。

オプティマスは、意図せず巻き込まれた人間の青年ノア(ラモス)やエレーナ(フィッシュバック)、そしてゴリラ型のトランスフォーマーであるオプティマスプライマルが率いるビースト戦士“マクシマル”と共に立ち上がる。

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『トランスフォーマー/ビースト覚醒』
2023年8月4日(金)公開
監督: スティーブン・ケイプル・Jr.
出演: アンソニー・ラモス、ドミニク・フィッシュバック
配給: 東和ピクチャーズ

©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO

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