韓国の名匠の本格的な特集上映『イ・チャンドン レトロスペクティヴ 4K』が2023年8月25日より、ヒューマントラストシネマ有楽町他、全国順次開催。8月9日、レトロスペクティヴ開催を前にイ・チャンドン監督が来日した。

仲野太賀、憧れの韓国の巨匠・イ・チャンドン監督初対面に感無量!

長編デビュー作『グリーンフィッシュ』から『バーニング 劇場版』までの全6作品が4Kとなってスクリーンで上映。さらにイ・チャンドン監督の制作会社パインハウスフィルム全面協力のもと自身が水先案内人として本作に深く携わったフランス人ドキュメンタリー映画監督アラン・マザールによる新作ドキュメンタリー映画『イ・チャンドン アイロニーの芸術』が組み込まれ、イ・チャンドンの映像世界を存分に堪能できる本格的なレトロスペクティヴとなる。
レトロスペクティヴ開催を前にイ・チャンドン監督が来日、『シークレット・サンシャイン 4Kレストア』の先行上映会の舞台挨拶に特別ゲストの俳優・仲野太賀とともに登壇した。

上映作品は、配給元の事前アンケートで「劇場で 番観たいイ・チャンドン作品」に選ばれた『シークレット・サンシャイン 4Kレストア』。即日完売、満席となった場内で大きな拍手で迎えられたイ・チャンドン監督は「わたしは映画館で観客の皆さんにお会いするのがとても久しぶりなのでとても胸がいっぱいでうれしく思っています。皆さんにとってよい時間になってくれたら」と挨拶。続いて、かねてよりイ・チャンドン監督の大ファンを公言する俳優の仲野太賀さんが花束を携え、特別ゲストとして登壇!

画像1: 仲野太賀、憧れの韓国の巨匠・イ・チャンドン監督初対面に感無量!

仲野は「初めて(イ・チャンドン)監督の作品に触れたのは『オアシス』でした。本当に素晴らしく美しいラブストーリーです。そこから監督の作品の虜です」と熱い思いを伝える。それに対し、イ・チャンドン監督は「わたしの映画は、観客の皆さんにとって少し居心地の悪さを感じる作品かもしれません。それでも観客の皆さんが(居心地の悪さに)打ち勝って登場する二人の愛を受け入れてくれたらうれしい、そんな気持ちで作りました。仲野さんはわたしの願う通りに、“美しいもの”として受け入れてくださった。俳優でもある仲野さんがそれを感じてくれたことが尚更うれしく、わたしにとっても意味のある事だと思います」

舞台挨拶後に上映される『シークレット・サンシャイン4K レストア』について、イ・チャンドン監督は、タイトルは劇中の舞台でもある「密陽(ミリャン)」という韓国の地方都市からとっており、“謎めいた日差し”という詩的な意味も込められているこの地名に子供の頃から惹かれ、一見平凡な人生のように見えても秘密の意味が隠されている――「一体それは何なのかを探し続けるような、わたしたちにとっての人生を象徴しているように感じていた」と明かす。

仲野は同作を『究極の人間ドラマ』だと述べ、「人間のあらゆる側面をまざまざと見せつけられる。主人公が絶望の淵に追いやられる姿、藁をもつかむ気持ちで神様を受け入れる姿、その先にある究極の決断だったり……人間って、聖なるものと俗的なものを行ったり来たりするなと思って。信じたり疑ったり、人間の複雑さに心を揺さぶられて……しゃべりすぎですか?!(笑)」と、作品への思いが一度話し出したら止まらない。それを受けて「“聖”と“俗”、この2つは、まさに映画のスタート地点で、ノートにメモをした言葉でした。言い当ててくれたのでとても驚きながらも、感謝しています。でも、これから初めて観る方のためにそれ以上は言わないでください」とにこやかに微笑みながら静止するイ・チャンドン監督。徐々にヒートアップする仲野は、「ネタバレになるか‥‥いや、絶対越えていくから、大丈夫だから!」と観客へことわりを入れつつ、この作品でいちばん好きなシーンを挙げると、そこに込められているであろう、自分なりの思いの丈をぶちまけ「こちらからは以上です!」とファン全開のトークがさく裂!!会場を沸かせていた。

画像2: 仲野太賀、憧れの韓国の巨匠・イ・チャンドン監督初対面に感無量!

そして話題は、レトロスペクティヴで初上映となる監督を追ったドキュメンタリー『イ・チャンドン アイロニーの芸術』へ。意外にもイ・チャンドン監督は「じつは最後までちゃんと見れていないんです。(自身が出ていることが)あまりにぎこちなく、恥ずかしくてバツが悪い」と告白。今までのフィルモグラフィをなぞりながら、ロケ地を訪れ、あまり語られることのなかった映画監督になる前の小説家として、幼少期のエピソードが織り込まれたドキュメンタリーに「ファンならこんな言葉を聞けるのかと、うれしい事ばかり」と仲野は必見作として観客へアピールする。

最後にイ・チャンドン監督へ1つだけききたい事を、と水を向けると「映画を撮る上で、脚本を書く上で、人間を描く上で大切にしていることは何ですか?」と熟考した仲野が問いかけ。「あえていうならば、本物の人生を描きたい。作られたものではなく、ありのままの人間の姿を見せることだと思っています。観客がそれを本当のように感じられたら、自分の人生と重ねて結びつけてくれると思う。そういう映画を作って、わたしは皆さんとコミュニケーションを取りたいです」とゆっくりと真摯に応えるイ・チャンドン監督の言葉に仲野は「本当にすてきな言葉をいただけて。大事にしたいと思います」と感無量。その姿に から監督の作品に「出たいですか?」と聞かれると「そりゃそうです!(笑)日本の映画もイ・チャンドン監督に多大な影響を受けています。ぜひ多くの皆さんに見ていただきたいです」と伝え舞台挨拶は和やかに終了した。

『イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K 』8月25 日(金)より全国順次開催 【配給】】JAIHO

This article is a sponsored article by
''.