第34回柴田錬三郎賞を受賞した朝井リョウによる小説「正欲」を、監督・岸善幸、脚本・港岳彦、出演者に稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香を迎えて映画化した映画『正欲』が11月10日(金)より公開となる。本作の原作者である朝井リョウは、数々の名誉ある賞に輝き、『桐島、部活やめるってよ』や『何者』など映画化のたびに話題をさらう注目の作家。今回はそんな朝井リョウの小説を映画化した作品たちを振り返りつつ、劇場公開を控える映画『正欲』の見どころについてもご紹介しよう。

若者を中心に絶大な支持を集める作家・朝井リョウとは?

「桐島、部活やめるってよ」(2010)で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。その後「チア男子!!」(2010)「星やどりの声」(2011)「もういちど生まれる」(2011)など次々と話題作を発表し、2012年に出版された「何者」で第148回直木三十五賞を、2013年に出版の「世界地図の下書き」で第29回坪田譲治文学賞を受賞した。

部活動や就職活動など、青春時代に誰しもが経験してきたことを題材にするなど、現代の若者の心理をリアルに描き出し、多くの共感と支持を獲得。小説は立て続けに映像化されており、作家生活10周年記念作品として2021年に発表された「正欲」は第34回柴田錬三郎賞を受賞、累計約38万部突破のベストセラーとなっている。

朝井リョウの名を映画ファンに広めるきっかけに
『桐島、部活やめるってよ』(2012)

画像: 桐島、部活やめるってよ youtu.be

桐島、部活やめるってよ

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朝井のデビュー作を映画化した『桐島、部活やめるってよ』では、男子バレーボール部のキャプテンだった桐島がある日突然、部活をやめたことで周囲に起きる変化を、同じ時間軸の中でキャラクターごとの視点で描く。出演者には主人公である映画部の生徒役を演じた神木隆之介のほか、橋本愛、東出昌大など現在も実力派として支持される注目俳優たちが揃った。様々な反響を呼んだ本作は多くの映画賞を受賞し、朝井リョウの名が世に広く知れ渡るきっかけとなった。

就活で一喜一憂する悩める若者たちを描く青春群像劇
『何者』(2016)

画像: 何者 www.youtube.com

何者

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『愛の渦』の三浦大輔が監督を務め映画化した本作では、就職活動を通して自分が“何者“かを模索する大学生たちの姿を描き出す。佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生といった世代を代表する若手キャストが集結し、現代を生きる若者たちの一筋縄ではいかない悩みが描かれ、就活で葛藤する若者たちの心情に響く朝井ならではの作品として、映画も大きな評判を呼んだ。

アニメや舞台にもなった小説を映画化!
『チア男子!!』(2019)

画像: 映画『チア男子!!』予告編 youtu.be

映画『チア男子!!』予告編

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朝井の母校に実在する男子チアチームをモデルにした青春スポーツ小説を映画化。これまでは主に女子がやるものとされてきたチアリーディングについて、男子大学生が本気で打ち込んでいく挑戦を熱く描き出している。キャストは横浜流星と中尾暢樹のW主演で、クランクインまで3か月以上の特訓を重ねた本格的なパフォーマンスも話題となった。

少女たちが恋にさよならをする青春恋愛映画
『少女は卒業しない』(2023)

画像: 2.23(木・祝)公開 映画『少女は卒業しない』|本予告 youtu.be

2.23(木・祝)公開 映画『少女は卒業しない』|本予告

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朝井の2012年に単行本化された連作短編小説を原作に、廃校前の高校を舞台に4人の少女の卒業式までの2日間を描いた青春恋愛映画。原作の持つ瑞々しさと甘酸っぱさをそのままに群像劇へと構成を変え、繊細な少女たちの心の機微を丁寧に描き出している。キャストには映画初主演となった河合優実をはじめ、小野莉奈、、小宮山莉渚、中井友望、窪塚愛流、藤原季節など若手注目株の俳優たちが揃い、話題を呼んだ。

小説が「読む前の自分に戻れない」と評される話題作
『正欲』(2023年11月10日 公開)

画像: 映画『正欲』30秒予告 youtu.be

映画『正欲』30秒予告

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朝井リョウ作品から新たに映画化される小説「正欲」は、作家生活10周年で書き上げた渾身の一作。自身が「小説家としても一人の人間としても、明らかに大きなターニングポイントとなる作品です」と語り、2021年3月に発売されるやいなやその内容が波紋を呼び、第34回柴田錬三郎賞を受賞した。

家庭環境、性的指向、容姿――様々に異なった”選べない”背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく衝撃的なストーリーを描く。「この衝撃は読んでみないとわからない」「もう読む前の自分には戻れない」と、続々と読者が増え続けている。

映画版には、メインキャストとして稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香たち豪華キャスト5名らが出演。映画の監督を務めた岸善幸は、朝井リョウの原作作品の魅力について「朝井さんの視点で描かれる群像劇は、衝撃でした。“普通”ではないと片付けられてしまう人間と“普通”という価値にこだわる人間の、それぞれの苦しみに胸を抉られ、共鳴しました。『多様性』という言葉の意味を鋭く問いかけられているようで、とにかく、衝撃でした」と、本作が昨今世の中で叫ばれる“多様性”の意味について深く切り込んでいくような作品であると語っている。

少しずつ交差していく、それぞれの人生を歩んできた5人。誰ともつながれない、だからこそ誰かとつながりたい。つながり合うことを希求する彼らが我々に提示するものとは――。朝井リョウファンや原作ファンだけではなく、多くの映画ファンにとって必見の一作となりそうだ。

『正欲』
11月10日(金) 全国ロードショー
配給:ビターズ・エンド
© 2021 朝井リョウ/新潮社 © 2023「正欲」製作委員会

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