徐々に引き剥がされていく夫婦をイメージしたビジュアル
『理想郷』は、都会を離れて田舎で過ごすスローライフに夢を抱き、スペインの山岳地帯ガリシア地方の小さな村に移住したフランス人夫婦ふたりを主人公に、2010年の発覚から裁判が終わるまでの8年間多くの新聞が報道するなど、スペイン全土に激震が走った実際の事件をベースに映画化した心理スリラー。“田舎と都会の対立”を扱い、人間の暗部に潜む、独りよがりな思考、憎悪、凶暴性に深く迫っていく。
本作は2部構成となっており、主人公夫婦の夫が主となる第1部で観客はガリシアの村に引き込まれるような緊張感漂う心理スリラー、妻が主となる第2部での展開により、本作が実はラブストーリーであることが提示される。
今回発表された日本版ビジュアルでは、主人公であるフランス人夫婦のアントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)とオルガ(マリナ・フォイス)の対照的な表情を大きく捉え、移住先の村人との対立が加速していくアントワーヌがうつむきながら見せる苦悩の表情と、それとは打ってかわり強い決意を感じさせるオルガのまっすぐなまなざしが切り取られている。
このデザインは『WKW 4K ウォン・カーウァイ 4K』『アシスタント』『熊は、いない』『国葬の日』などの日本版デザインを手がけるグラフィックデザイナーの成瀬慧がてがけたもの。ティザービジュアルから引き続き担当となる。
成瀬は「原題(AS BESTAS=野獣たち)と本国ポスターは苛烈な暴力描写を突き付けるイメージだったので、映画の入り口としては狭く、かなり絞った印象を受けていました。日本版では『理想郷』という邦題に決定した時、この映画の核を掴んだタイトルが生まれたと確信しました。ティザーポスターで『理想郷』に辿り着いたある夫婦の恍惚から一転、本ポスターでは、その理想的な空、風景が失われてしまうかもしれない恐怖を、分断された森のシルエットに夫婦の顔を映し出しました。直接的な暴力ではなく、心理的な恐怖、徐々に引き剥がされていく夫婦の姿をイメージしています。信念と憎悪が交錯する、驚愕の心理スリラーの入り口は完全に整いました。固唾を飲んで観てほしいです」と本ビジュアルに込めた意図を語っている。
今回、アントワーヌを演じたドゥニ・メノーシェから日本の観客に向けてのメッセージ動画も到着。『ジュリアン』(17)、『悪なき殺人』(19)、『苦い涙』(22)など話題作に続々と出演するメノーデェ。動画では「すばらしい映画が出来上がりました」という映画への自信を見せるだけでなく、日本語で「映画を観てね!」とメッセージを送っている。
『理想郷』
11月3日(金・祝)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネマート新宿ほか全国順次公開
配給:アンプラグド 後援:駐日スペイン大使館、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
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