第35回東京国際映画祭にて最優秀作品賞にあたる東京グランプリ(東京都知事賞)のほか、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞の主要3部門を獲得したスペイン・フランス合作映画『理想郷』が、11月3日(金・祝)より、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネマート新宿ほか全国順次公開される。ちょうど100年前に起こった関東大震災後の混乱に乗じて起こった惨たらしい虐殺を描いた森達也監督作『福田村事件』の大ヒットも記憶に新しいが、今秋も実話をもとにした<実話モノ>の注目作が続々と公開される。

<田舎と都会の対立><企業をめぐる大スキャンダル><同時多発テロの被害者家族><国家機密の漏洩>とテーマもジャンルも多彩。実は、これらの作品には<同じ名のキャラクター><同じ俳優>といった共通点も存在する。ぜひそれぞれ見比べながら、真実から導かれた物語の数々に打ちのめされてほしい。

『理想郷』<11/3(金・祝)公開>

都会を離れて田舎で過ごすスローライフに夢を抱き、スペインの山岳地帯ガリシア地方の小さな村に移住したフランス人夫婦ふたりが主人公となる心理スリラー『理想郷』。物語のベースとなっているのは、1997年にスペインの小さな村サントアラに移住したオランダ人夫婦マーティンとマルゴに起きた実際の事件。

その事件は、2010年の発覚から裁判が終わるまでの8年間多くの新聞が報道するなどスペイン全土に衝撃を与え、2016年には、妻のマルゴがナレーションを務めたドキュメンタリー『サントアラ』(16)が作られたほど。“田舎と都会の対立”を扱い、人間の暗部に潜む、独りよがりな思考、憎悪、凶暴性に深く迫っていく。

画像: 【予告編】『理想郷』2023.11.3 ROADSHOW youtu.be

【予告編】『理想郷』2023.11.3 ROADSHOW

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2部構成となっており、主人公夫婦の夫アントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)が主となる第1部で観客はガリシアの村に引き込まれるような緊張感漂う心理スリラーを体験することになる。妻オルガ(マリナ・フォイス)が主となる第2部では、ある展開から本作が実はラブストーリーであることが提示され、ジャンルの上書きとすら言える驚きの“転換”を見せていく。

監督・脚本を務めたのは、ヴェネチア国際映画祭で高く評価された前作『おもかげ』(19)でスペインの新たな才能として名を知らしめた新鋭ロドリゴ・ソロゴイェン。監督は「ガリシア州で、外国人夫婦と地元住民が衝突する事件があったというニュースを聞き、私と共同脚本のイザベル・ペーニャは、この出来事には人の心を強く揺さぶる映画を作るために必要な要素があるのではないかと直感的に思ったんです。そしてこの事件について調べ始め、一旦その内容から少し距離を置くことで自分たち独自のフィクションへと変身させていきました。実際にあった物語をそのまま描くのではなく、それによって感化された物語として語りたかったからです」と語っている。

第37回ゴヤ賞で最優秀映画賞、最優秀監督賞など主要9部門受賞し、スペインにて2022年に公開された独立映画の興行収入1位を獲得。その後も、第48回セザール賞最優秀外国映画賞をはじめ、世界で56の賞を獲得(2023.8.25時点)するなど高い評価を受けてきた必見作だ。

11月3日(金・祝)より、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネマート新宿ほか全国順次公開
配給:アンプラグド
© Arcadia Motion Pictures, S.L., Caballo Films, S.L., Cronos Entertainment, A.I.E,Le pacte S.A.S.

『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』<10/20(金)公開>

世界最大のフランスの原子力発電会社で、秘密にされた大スキャンダルが明るみに。会社とその未来、従業員5万人の雇用を守るため、その内部告発者となった会社の労働組合代表モーリーン・カーニー(イザベル・ユペール)が、被害者から容疑者へという真逆の立場に追い込まれながら、屈することなく6年間闘い続け、無罪を勝ち取るまでを描いた実話を描く社会派サスペンス。

画像: Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下 10/20(金)よりロードショー予定『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』予告編 www.youtube.com

Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下 10/20(金)よりロードショー予定『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』予告編

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容赦ない暴力と権力の中枢にある闇の真相やそれがもたらす政治的・経済的危機よりも、女性であるモーリーンが内面に得た傷、その家族が直面したことなどひとりの人間の生きざまに着目していく。
フランスの至宝イザベル・ユペールが全身全霊でモーリーンを演じ、監督は、ユペール主演作『ゴッドマザー』を手掛けたジャン=ポール・サロメ。彼は、襲撃事件後のモーリーンに寄り添い、警察も見出すことのできなかった事実を探し出して無罪に導いた仏雑誌記者による著書と出会い、本作の企画を立ち上げたという。

10月20日(金) Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下他にて 全国順次公開

『ぼくは君たちを憎まないことにした』<11/10(金)公開>

2015年11月に起こったパリ同時多発テロ事件で最愛の妻を失ったジャーナリストのアントワーヌ・レリスが、事件発生から2週間の出来事をつづった同名の世界的ベストセラーを映画化。最高の母であり最愛の妻が、突然いなくなってしまった。そんな時でも息子はお腹を空かせ、遊び、絵本の読み聞かせをねだる。誰とも共有できない苦しみと、これから続く育児への不安をはねのけるように、アントワーヌ(ピエール・ドゥラドンシャン)は手紙を書き始めた。妻の命を奪ったテロリストへの手紙は、息子とふたりでも“今まで通りの生活を続ける”という決意表明でもあり、亡き妻へのメッセージでもあった。

画像: 11.10公開『ぼくは君たちを憎まないことにした』本予告 www.youtube.com

11.10公開『ぼくは君たちを憎まないことにした』本予告

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最愛の人を予想もしないタイミングで失ったとき、その事実をどう受け入れ、次の行動に出るのか。悲しみと希望を情緒豊かに綴る感動の実話。監督・脚本は『陽だまりハウスでマラソンを』のキリアン・リートホーフ。

11月10日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国公開

『リアリティ/REALITY』<11/18(土)公開>

トランプ政権下の2017年、米国家安全保障局(NSA)の契約社員だった25歳のリアリティ・ウィナーが<国家機密の漏洩>という罪状で逮捕され、一躍<第ニのスノーデン>として注目の的となった。平凡な25歳の若者だったはずの彼女を、”政府の敵”へと変貌させたものとは――?

画像: トランプ政権最大のリーク事件―実際のFBI尋問録音データを<一言一句>完全再現!映画『リアリティ』11/18(土)公開|特報 www.youtube.com

トランプ政権最大のリーク事件―実際のFBI尋問録音データを<一言一句>完全再現!映画『リアリティ』11/18(土)公開|特報

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米国家機密リーク事件で世界中を騒然とさせた女性の実際のFBI尋問音声記録を、ほぼリアルタイムという異常なまでの緊張感で完全再現してみせるという衝撃の試みで人間の真実と嘘に迫っていく。
主演は「ユーフォリア/EUPHORIA」『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』などで大ブレイクを果たした今最も注目される若手俳優シドニー・スウィーニーが務め、監督はニューヨークの現代演劇シーンで“超新星”と評され、本作が映画監督デビューとなる新進気鋭の劇作家ティナ・サッター。

11月18日(土)シアター・イメージフォーラム、シネ・リーブル池袋ほか全国公開

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