021年7月号から「月刊プリンセス」で連載が続くnaked ape(ネイキッド エイプ)の漫画、2023年9月24日に大千穐楽を迎えた舞台、そして10月27日に公開される映画と、3つのメディアを通して一つの物語を紡ぐ一大プロジェクト『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』。人魚の子孫の命とひきかえに死から救われ、不老不死となった二人の男の数奇な運命と宿命が、平安時代から現代まで千年に渡り描かれていく。映画版では、記憶を失った男・草介と彼に寄り添う光蔭、そして二人の前に現れた舞の、残された30日間が紡がれる。そこで、舞台版と映画版の両作品で草介と光蔭を演じた辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)と浜中文一、舞を演じた小西桜子に、映画『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』の撮影話などを伺った。
画像1: 映画『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』
辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)・浜中文一・小西桜子 インタビュー
画像2: 映画『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』
辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)・浜中文一・小西桜子 インタビュー

素敵やなって思いながら見ていました

──この作品の脚本を読んでの感想から聞かせてください。

浜中「僕は初めていただいた時、子どもにもすごく優しい“紙”だなって……」

辰巳「素材感の話か!(笑)触り心地を話すとは思わなかった」

浜中「違うの?」

辰巳「違う! 内容!(笑)」

浜中「内容のことですか。すいません(笑)」

辰巳「僕は先に連載中の漫画を読んでいたんですけど、そこから(物語の舞台が)現代になるにあたり、“どういう風になるんだろう……”と想像していた中で、まさか、草介が記憶を失っているとは。まず、そこに驚きました。(草介が)1000年生きているという設定の中で、さらに記憶を失っているというスタートに、まずビックリしました」

小西「1000年という長い時間の、スケールの大きな物語だなとは思ったんですけど、私が演じた舞、とわだったりの等身大の魅力とかをそれぞれキャラクターに感じましたし、私も漫画を読んでいたので、漫画からこういうお話になるんだなって、すごく楽しく拝見できました」

浜中「1000年という時間を(役として)生きていないと、この話は成り立たないので、そこを自分の中でどう埋めていくかっていうところが、一番謎というか。どうやっていけばいいんやろうって、台本を読んだ時に思いました」

──それぞれの役を演じる上で意識されたことを教えていただけますか。

辰巳「草介は、記憶がないという部分。記憶がなかった、まるまる抜けていたっていう部分をどう表現しようかと考えた時に、“しゃべるトーンとかにちょっと違和感を”という話に監督となって。1000年生きている中で、100年抜けている。そこで腑に落ちないところがたくさんあったんですけど、それを撮影前に監督と話したり、それこそ二人とも話して、いろいろすっきりしてから撮影に臨んだんです。現場では常に違和感を自分の中でも持ちながら、というか、現代の草介は自分に疑問を持って生きているので、そういう部分で、スクリーンで初号を観た時に、普通に役を演じていると出ない妙な間とか、逆に普通だったらちょっとためらうことをふと言えるところが草介っぽくスクリーンに残ったなと思えて。それがいい違和感になっていたらといいなと思います」

小西「舞は、後半に別の人格がどんどん出てくるから、そこの差というか、変化みたいなものは意識していました。最初は何かに楽しいとか嬉しいという感情は持たずに、結構ローな感じで生きていた舞だと思うんですけど、そこから草介や光蔭さんに出会って、本来の楽しい気持ちとかを取り戻していくみたいなところを意識しながら演じていました」

辰巳「僕らの役って、“覚えているのか、覚えていないのか”みたいなことがたくさんあるので、自分が口にした時に気づくみたいなことも、お互いにあって。“なんで今、こんなこと言っちゃったんだろう……”っていうことも台本にあるので、二人のシーンで不思議と“何だろう、この時間……”ということはありました」

浜中「1000年生きている人の思考やったり心の動きって、僕らとあまり変わらないのかもしれないけど、1000年いろんなことがあったから、心はあるけどないように見えたりとか。気持ちが揺れ動くみたいなことってきっとないんだろうな、そこまで色味がないようにやっていくほうがいいのかなとか。でも、草介に対する想いというのは、1000年前からずっと変わらないところがあるので、そのバランス、良いようで悪いみたいな感じが出たらいいなとは思っていました」

──辰巳さん、浜中さんから見た小西さんの魅力、小西さんから見たお二人の俳優としての魅力をお聞かせください。

辰巳「小西さんは、自分の心を揺さぶられる相手役だったんですけど、(草介の心が)すごくナチュラルに引き出されていった部分はたくさんあります。小西さんが演じるからこそ、ぐっと持っていかれている時間がたくさんあったし。しかも、気づいたらすごく懐に入ってくれているというか。芝居をやっていて引き出してくださるし、心を動かしてくれる。スクリーンにいる舞を観た時に、素敵な女優さんだなって改めて思いました。しっかりしたものが自分の中にあるんだろうな、芯のある女優さんだなって思いました」

小西「こちらこそたくさん助けていただきました。私は本当に難しい役で、監督とも話したんですけど、最終的にはフィーリングでしかない部分がこの映画では結構多かったので、そこでどっしりと構えてくださってたおかげで、私がいろんな感情をぶつけたり、もらったりっていうのをさせていただけたなと思うし。本当にいろんな部分で頼りにしながら演じさせてもらいました」

辰巳「台本には書かれてなかったんですけど、海の夕日をバックに舞があまりにもいい表情されていたので、泣いちゃって。そこもスクリーンに残せたんです。その瞬間に生まれたものを。監督も“あそこ、好きなんだよね”って言ってくださいます」

──浜中さんはいかがでしょうか。

浜中「小西さんは、毎回生まれ変わるというところで、どうやっていいかわからないような役をすごく自然に演じられていたんです。また二人が(物語の中で)いちゃいちゃしてるんですよ。それを僕は端から見ているんですけど(笑)。でも、それがすごく微笑ましく見える。素敵やなって思いながら見ていました」

──お三方揃っているシーンはいい雰囲気でしたよね。

浜中「本当ですか? よかったです」

辰巳「壮大な三角関係だもんね」

浜中「二人(草介と舞)で楽しそうにポップコーン食べて、寝て。光蔭はその間、ずっと下で、暗い所で……っていうシーンは、正直つらかったですけど(笑)」

辰巳「しかも、光蔭さんの家でね(笑)」

画像1: ──お三方揃っているシーンはいい雰囲気でしたよね。
画像2: ──お三方揃っているシーンはいい雰囲気でしたよね。
画像3: ──お三方揃っているシーンはいい雰囲気でしたよね。

運命的なものを感じました

──お三方のこの空気感もすごく素敵だなと思ったんですけれども、撮影現場ではどんなコミュニケーションを取られていたのでしょうか。

浜中「でも、三人で空き時間を過ごすことは、スケジュール的になかったりして」

辰巳「三人で会う機会も、後半にちょっとまとまっていたぐらいで」

浜中「だから、何かをしてたってことはないよね」

小西「たしかに。“浜中さんって、こんなにボケてたっけ……”って思ったんですよね」

浜中「ちょいちょいボケてたよ(笑)。“この人たち、なんか嫌や。変な絡みしてくる”みたいなこと、思ってない?」

小西「思ってないです」

浜中「よかった〜(笑)」

──最初からこういう優しい空気感だったんですか。

辰巳「最初は結構、ピリピリまではいかないですけど、脚本の埋めなきゃいけない部分、余白がたくさんあって。時間がないまま入ったので、緊張感があるというか、最初からこういうふわっとした空気ではなかったんです。でも、食卓のシーンぐらい。舞さんがご飯を作ってくれて、みんなで食べるシーンで、光蔭さんはニコニコできないんだけど、幸せな食卓に見えるみたいな時に、僕ら、アドリブで光蔭さんにツッコんだんです。その辺りから空気が変わっていきましたね」

浜中「二人は笑えるんですけど、僕、(役として)笑ったらあかんから、悔しかったです。僕もいっぱいボケたいけどできない。しかも、ちょうど(カメラが)僕向きやった。本当、“最悪”と思いました(笑)」

辰巳「ソフトクリームを食べるシーンで、撮影が終わった後に、文ちゃんが「桜子ちゃんとタッちゃん、スクリーンで楽しみにしててな。二人が幸せそうなところでいろいろやってるから、楽しみにしててな」って言ってて。カットになってましたけど(笑)。監督も最後まで使おうか迷っていたみたいなんですけど、“可愛すぎるか……”って(笑)。結局、観れていないんだよね」

小西「観れてない。唯一(アドリブを)入れられたところなのに」

浜中「そうですよ。僕、どうしても入れたくて、何とか入れたアドリブが綺麗にカットされてました。見事でした(笑)」

──心に残っているシーンは?

小西「平安時代の海のシーンです。お月さまが……皆既月食?」

辰巳「皆既月食と天王星食が同時に起こる、何百年に一度みたいな日あったじゃないですか。この日、海で撮影だったんです」

小西「442年ぶりだったんですよね」

辰巳「その442年ぶりの月を収めてるんです。幻想的な月。本当の月で」

小西「それがすごく長い時間を描いた物語で収められている。すごく長い時間って想像が及ばない部分があったけど、そこで運命的なものを感じたというか。実感が湧いたじゃないけど、この月を442年前に見ている人がいてとか考えたら、腑に落ちる感覚がちょっとあって、すごく思い出に残っています」

画像: ──心に残っているシーンは?

『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』

〈STORY〉

長い眠りから目覚めると記憶喪失になっていた草介(辰巳雄大)は、何も語ろうとしない光蔭(浜中文一)と共に暮らし始める中 カウンセラーである水島(筒井真理子)のアドバイスで、繰り返し見る自分の夢を舞台化することに。 その舞台のオーディションにヒロイン候補として現れた舞(小西桜子)。自分が何者かわからない草介は、芯の強い舞に惹かれる。一方で、舞の正体を疑う光蔭は複雑な感情を抱いていた。
三人の身の回りで起こる不可解な殺人事件。隠さねばならない草介の「正体」。舞が背負っている因縁と彼女に残された30日間。逆らえない運命に翻弄される彼らが選んだ答えとは……。
平安時代から現代まで、千年を生き抜いた二人の男たちと輪廻転生を繰り返す女の壮絶な物語。

10月27日(金)から新宿バルト9ほか全国公開

監督:菊地健雄
脚本:保坂大輔
主題歌:ふぉ〜ゆ〜「心つないで」
出演:辰巳雄大(ふぉ〜ゆ〜) 浜中文一 小西桜子 筒井真理子
配給:東映ビデオ

©️僕らの千年プロジェクト
©️2023映画「僕らの千年と君が死ぬまでの30日間」製作委員会

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