史上最高に野心的なインディ映画を作ろうとしている
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』『GODZILLA ゴジラ』を手掛け、世界中で高い評価を得たギャレス・エドワーズ監督の最新作にして、『TENET テネット』でも主演を務めたジョン・デヴィッド・ワシントン、『インセプション』などハリウッド大作への出演が続く日本を代表する俳優・渡辺謙が豪華共演を果たす、感動のSFアクション超大作『ザ・クリエイター/創造者』。
舞台となるのは、近未来の世界”ニューアジア”。元特殊部隊の主人公ジョシュア(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、人類を滅ぼす兵器を創り出した“クリエイター”の潜伏先を見つけ、暗殺に向かうが、そこにいたのは、純粋無垢な超進化型AIの少女・アルフィー(マデリン・ユナ・ヴォイルズ)……。そして彼は“ある理由”から、少女を守りぬくと誓う。やがてふたりが辿りつく、衝撃の真実とは…。
エドワーズ監督はVFXアーティストとして経験を積んだのちに、1万5千ドルという破格の低予算でインディペンデント映画『モンスターズ/地球外生命体』(11)で、監督・撮影・脚本・視覚効果などを自ら手掛けると、各国の映画祭で高い評価を獲得。2作目にして、早くも渡辺謙の出演でも話題となった『GODZILLA ゴジラ』(14)の監督に大抜擢され、見事に大ヒットに導いた。3作目には、世界中に多くのファンを持つ「スター・ウォーズ」シリーズの1作目『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の前日譚に当たる『ローグ・ワン』(16)の監督を担当。目の肥えたファンからも“シリーズ最高傑作”という声が上がるほどの成功を成し遂げると、世界中から一目置かれる人気映画監督の一人となった。
そんなエドワーズ監督の最新作である本作は、1作目に続き自ら監督に加え脚本も担当したという意欲作だ。しかし、彼のこだわりはそれだけにとどまらない。プロデューサーのジム・スペンサーは、「ギャレスは私が知る限り最もハードに働く監督で、フィルムメイキング・プロセスのあらゆる分野を手がけています。この映画のセリフも視覚効果ショットも衣装も小道具もそして映像の一コマ一コマも、彼が携わっていないものは一切ありません。衣装デザイン、セット・デザイン、小道具に深く携わっただけでなく、撮影に使用するカメラ・システムの開発にさえやっていますからね」と語るほど。細かな部分にも、ギャレス自身の想いや意図が反映されている。彼がこの作品に注いだ時間と労力は計り知れない。
特に彼がこだわったのは、本作の撮影の部分だ。「映画の作り方は、映画のアイディアそのものと同じくらいに大切なものだと私は思っています。他とはまったく違うアプローチでこの映画を作ることを重要視し、そうでなければ作る意味はないとさえ思っていました。」と語るギャレスは、本作を作るうえで、他の映画ではやっていないようなやり方で、「少ない予算でこの映画を作ること」を目指した――。「私たちが作ろうとしているのは低予算のブロックバスター作品ではない、史上最高に野心的なインディ映画を作ろうとしている」と、エドワーズ本人がプロデューサーに語ったというエピソードもあるほどだ。
多くの映画制作現場では、ある程度どんな画を撮影するのかのデザインを決めた後にそのロケーションを探し、それに会う場所がないとなると、撮影所に巨大なセットを作ったりすることがよくある。しかしエドワーズが目指したのは、その正反対のやり方だ。「リアルな国々のリアルなロケーションでリアルな人々をまず撮影します。その上で、それらの撮影素材を編集してまとめた段階で、はじめてデザイナーらと話し合いをし、それらのショットの上から絵を描くようにSF世界を創作するという方法です。」まず世界各国で撮影を先に終わらせてしまい、その後その撮ったものにVFXの処理を施す。
一から作品の世界を作り出すために知恵や費用を使うのではなく、実際に撮ったものにどんな演出をつければこの作品ならではの世界を作れるのか、そこにスタッフたちの労力を費やすという方法だ。インディペンデント映画の世界で培われたギャレスのアイディアや手法は、今後、ローコストでハイクオリティなオリジナル作品を作るための手法として浸透していくのかもしれない。
『ザ・クリエイター/創造者』
10月20日(金) 全国劇場にて公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2023 20th Century Studios