1955年8⽉28⽇にアメリカ合衆国ミシシッピ州マネーで実際に起きた「エメット・ティル殺害事件」。アフリカ系アメリカ⼈による公⺠権運動を⼤きく前進させるきっかけとなったこの事件をもとに、初めて劇映画化した『ティル』<12月15日(金)公開>より、きっかけはただ<⼝笛を吹いたこと>だったーー⽇常的に⿊⼈差別のはびこる南部で起こった、これからエメットに起こる悲劇の発端ともなる本編シーンを切り取った特別映像が解禁された。

口笛が悲劇の発端に…

初めて⼀⼈で故郷を離れ、⿊⼈差別の根強い南部ミシシッピ州マネーの親戚宅を訪れたエメット(愛称︓ボボ)。親戚たちと⾷料品店を訪れたエメットは「映画スターみたい」だと店頭に⽴つ⽩⼈⼥性キャロリンの美しさを褒め、気軽に話しかけ、そして店を出る際に名残惜しそうに⼝笛を吹くが、それは、彼⼥にとって殺意を覚えるほどの侮辱的な⾏為だったー。⼀瞬で凍りつく周囲の⿊⼈たち。⾔葉も出ないほど怒りに震え、彼に向かって銃を取るキャロリン。今回の本編特別映像で解禁するこのシーンは、⽇常的に⿊⼈差別のはびこる南部でこれからエメットに降りかかる悲劇の発端となっている。

画像: 12/15(金)公開『ティル』より 特別映像「悲劇のきっかけ」 youtu.be

12/15(金)公開『ティル』より 特別映像「悲劇のきっかけ」

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エメットの祖⺟アルマを演じ、同時にこの映画のプロデューサーを務めるウーピー・ゴールドバーグは「事件当時、私は、JET 誌に掲載されたエメットの写真(⺟メイミーが公開したエメットの遺体)を⾒たのを覚えています。そのとき、それが何なのか理解できませんでした。すると⺟が⾔ったんです、『あれは⼩さな男の⼦よ』ってね」と振り返る。

そして「この映画を現代の⼈々に観てもらうことを⾮常に重要なことだと考えています」「私たちはこの映画をもっともっと早い時期に観るべきだったのです。そうすれば、もしかしたら、今のような状況にはなっていなかったかもしれません。こうして今、私たちはこの物語を世界に届けることを実現しました。これは、私たち全員にとっての教訓であり、戒めでもあります。私たちは皆、公認の⼈種差別がなくなったと思いたいのですが、そうではありません。ですから、この映画は⾮常に重要です」とこの物語を劇映画として残していく意義を述べている。

製作には⿊⼈俳優として世界的な⼈気を誇るウーピー・ゴールドバーグ、「007」シリーズのスタッフら超⼀流プロデューサー陣が名を連ねる本作。公開されるやいなや、各国の映画祭で賞賛の嵐が巻き起こり、主要な60の映画祭で計21部⾨受賞86部⾨ノミネートを果たしている。なかでも、主⼈公メイミー・ティルを演じたダニエル・デッドワイラーは、ゴッサム・インディペンデント映画賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー、サテライト賞など数々の映画賞で⼥優賞を総なめにした。この賞賛の嵐は映画祭のみならず、映画批評サイトRotten Tomatoesで批評家96%・観客97%の⾼スコアをたたき出している。

1955年、イリノイ州シカゴ。夫が戦死して以来、空軍で唯⼀の⿊⼈⼥性職員として働くメイミー・ティル(ダニエル・デッドワイラー)は、⼀⼈息⼦で14歳のエメット︓愛称ボボ(ジェイリン・ホール)と平穏な⽇々を送っていた。しかし、エメットが初めて⽣まれ故郷を離れ、ミシシッピ州マネーの親戚宅を訪れた際に悲劇は起こる。エメットが飲⾷雑貨店で⽩⼈⼥性キャロリン(ヘイリー・ベネット)に向けて「⼝笛を吹いた」ことが⽩⼈の怒りを買い、1955年8⽉28⽇、彼は⽩⼈集団にさらわれ、壮絶なリンチを受けた末に殺されて川に投げ捨てられた。我が息⼦の変わり果てた姿と対⾯したメイミーは、この陰惨な事件を世に知らしめるため、常識では考えられないある⼤胆な⾏動を起こす。そんな彼⼥の姿は多くの⿊⼈たちに勇気を与え、⼀⼤センセーションとなって社会を動かす原動⼒となっていく――。

14歳の⿊⼈少年エメット・ティルの犠牲と⺟メイミーの存在は、60年以上の時をかけてアメリカ社会に変⾰をもたらした。これは、息⼦を愛する⼀⼈の⺟親の愛と正義の物語であり、同時に、⾃由と⼈権を求めて世界を変えた⼀⼈の⼈間の魂の実話である。

エメット・ティル殺害事件が及ぼした現代社会への影響

1955年8⽉28⽇にアメリカ合衆国ミシシッピ州マネーで実際に起きた「エメット・ティル殺害事件」は、アフリカ系アメリカ⼈による公⺠権運動<※1>を⼤きく前進させるきっかけとなったことで知られている。14歳⿊⼈少年エメットが⽩⼈⼥性に対して「⼝笛を吹いた」という理由で拉致され、激しいリンチを受けて殺されたあげく、遺体は川に投げ捨てられた。愛息を失った底知れぬ絶望を胸に、多くの⿊⼈の⽣活を脅かすアメリカ社会にたった⼀⼈で⽴ち向かった⺟メイミーの⼤胆な⾏動⼒は⼈々に勇気を与え、キング牧師らが率いた公⺠権運動を⼀気に加速させる原動⼒となったのである。

そして21世紀に⼊り、2020年「ジョージ・フロイド殺害事件」<※2>を契機に、BLM(ブラック・ライヴズ・マター)運動<※3>がアメリカ国内のみならず、SNSを通じて⽇本を含む全世界に拡⼤したことは記憶に新しい。⿊⼈をはじめ著名⼈、セレブ、Z世代にいたるまで実に多くの⼈々が声を上げた⼤規模なこの抗議運動のうねりは、2022年3⽉、⼈種差別に基づくリンチを連邦法の憎悪犯罪(ヘイトクライム)とする「エメット・ティル反リンチ法」成⽴へと繋がっていくのである。

※1︓1950年代〜1960年代に活発となったアメリカの⿊⼈の基本的⼈権を要求する運動
※2︓2020年5⽉25⽇、ミネソタ州ミネアポリスで⽩⼈警官が、路上で⿊⼈男性フロイドさんの⾸を9分29秒間、膝で押さえつけ死亡させた。
※3︓2013年にアフリカ系アメリカ⼈コミュニティから始まった構造的な⼈種差別や⿊⼈への暴⼒、特に警察による⿊⼈への暴⼒と戦う国際的な社会運動

『ティル』
12/15(⾦)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
配給︓パルコ ユニバーサル映画
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