最新作『VORTEX ヴォルテックス』を引っ提げ、ギャスパー・ノエ監督の来日が遂に実現!
盟友・塚本晋也監督とともに登壇し、2023年11月14日、先行プレミア上映 舞台挨拶を実施した。

「これを観て全員に泣いてもらいたいね」

新作のたびにその実験的な試みと過激描写で世界中を挑発し続けてきた鬼才ギャスパー・ノエ監督が、「暴力」「セックス」を封印、「病」と「死」をテーマに自身の経験を経て新たな世界を作り上げた最新作『VORTEX ヴォルテックス』が2023年12月8日(金)より全国公開。

本作は、人はどう死んでいくのか?誰もが目をそむけたくなる現実を、真正面から冷徹なまでにまざまざと描いたギャスパー・ノエ監督の新境地にして最高傑作。主演は、80歳にして初主演を果たしたホラー映画の帝王ダリオ・アルジェントと、『ママと娼婦』の娼婦役で鮮烈な映画デビューを飾り伝説的な女優となったフランソワーズ・ルブラン。演技とは思えないふたりの奇跡の名演に目を奪われずにはいられない。スプリットスクリーンの画面分割によって、老夫婦の日常が2つの視点から同時進行で映し出されていく。心通わぬ家族、不測の出来事、やがて訪れる死。我々は、暴力なき恐怖の渦に吸い込まれ、“死ぬまで”を追体験する。

昨年の『フランス映画祭 2022横浜』にて、体調不良により惜しくも叶わなかった、ギャスパー・ノエ監督の来日が11月14日(火)にヒューマントラストシネマ渋谷で遂に実現。満席の場内の中、最新作『ほかげ』の公開が控え、ノエ監督とも親交の深い塚本晋也監督とともに登壇。二人の鬼才監督が、新たな衝撃作を心待ちにしているファンを前に、トークセッションを行った。

画像1: 「これを観て全員に泣いてもらいたいね」

昨年行われたフランス映画祭2022横浜での来日を自身の持病によるドクター・ストップによって泣く泣くキャンセルしたノエ監督は、念願のリベンジ来日に喜色満面。『VORTEX ヴォルテックス』の上映を待ちわびるクレイジーな日本の観客に向けて「久々に来日が叶って本当に嬉しい。日本のみんなにこうして出会えて、そして映画まで上映してもらえて…。今回の映画は今までのようにセックス&バイオレンスはテーマにしていなくて、センチメンタルな映画だよ。これを観て全員に泣いてもらいたいね」と期待を込めて挨拶した。

イタリアンホラーの鬼才ダリオ・アルジェントを起用して完成させた『VORTEX ヴォルテックス』。2021年のコロナ禍での撮影を振り返り「当時はコロナ禍で誰も自分が感染したくないと怖がってとても緊張感のある独特な撮影だった。ダリオからは『俺はセリフなんて覚えられないぞ』と言われたけれど、役者全員にはシークエンスのみ教えて会話はすべてアドリブだった。それゆえに、ある種ドキュメンタリーに近い形に見えると思う」と紹介した。

1992年に『鉄男II BODY HAMMER』で訪れたアボリアッツ国際ファンタスティック映画祭でノエ監督と初めて出会ったという塚本監督。「映画祭に到着して最初に会ったのがギャスパーで、その映画祭で観た『カルネ』があまりにも素晴らしくて度肝を抜かれた。それから映画祭に行くたびに彼と再会して親睦を深めた」と交流歴を回想。フランス映画祭2022横浜で『VORTEX ヴォルテックス』を鑑賞しており「本当に絶句するというか…。自分の両親を亡くした時の感情が生々しく蘇ってきたハードな映画でした。ギャスパーのこれまでの映画とは違い暴力もセックスもないけれど、歯ぎしりするような恐ろしさと深い愛を感じる作品だった」と感想を述べた。

画像2: 「これを観て全員に泣いてもらいたいね」

奇しくも11月25日には塚本監督の新作『ほかげ』が公開される。すでに本作を鑑賞しているノエ監督は「塚本監督作の中で最も真面目で怖い映画だと思う。趣里さんをはじめ、俳優陣が信じられないくらい素晴らしい。晋也のスタイルはとても印象深くて、日本の戦後という厳しい時代を描いていて強烈な印象を受けた。『ほかげ』も『VORTEX ヴォルテックス』もお互いの監督作の中で最も真面目であり、心理的ホラーの要素があるね」と共通点を挙げながら絶賛した。

またノエ監督はアルジェントを俳優として起用した理由について「彼はとてもフレンドリーで優しくて面白く、カメラにも慣れている。カリスマ性があり、そして私の父同様に喋るときに身振り手振りが激しい男だ。そこに僕は親近感を覚えた。だから今回の役は彼以外頭に思い浮かばなくて、間を取り持ってくれたダリオの娘さんには『暴力もセックスシーンもないから安心してね!』と伝えてもらった」とベストキャスティングだと胸を張った。

画像3: 「これを観て全員に泣いてもらいたいね」

アルジェント監督作『シャドー』が『鉄男』に強い影響を与えたという塚本監督は「あの当時のアルジェントは怖い顔というイメージがあったけれど、『VORTEX ヴォルテックス』では親しみ深いおじいちゃんになっていてビックリ。そして演技があまりにも素晴らしい。妻を演じたフランソワーズ・ルブランも本当に病気を患っている人を出演させたのか?と思うくらいにリアルだった」と舌を巻いていた。

塚本監督は映画監督のみならず俳優としても活躍しているだけに、ノエ監督×主演・塚本の座組も見てみたいが…。ノエ監督は「僕はマーティン・スコセッシ監督の『沈黙-サイレンス-』が大好きで、中でも晋也はスコセッシ映画で十字架に縛り付けられた俳優としては最高の演技を見せていた」と評し「将来的に日本で映画を作る機会があったら、是非とも晋也に出てほしい」とラブコール。これに親友・塚本監督も「その時はぜひお願いします!」と満面の笑みで、会場を盛り上げていた。

日仏の鬼才マブダチトークもあっという間に終了のお時間に。最後にノエ監督は「映画が終わった時に、全員が泣いてくれることを期待しているよ。もし泣かない人がいたら、それは失敗作だということになるので…是非とも泣いてください!」とユーモアを交えて日本公開への期待を口にしていた。

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