人の心を魅了する、美しくも冷酷なサイコパス。亀梨和也3年ぶりの主演映画『怪物の木こり』は、弁護士でありサイコパスという二面性のある主人公と、正体不明の連続殺人鬼との死闘を描いたサスペンス。繊細な心理表現にダイナミックなアクション。そして亀梨自身の豊かな感性が、しっかりとスクリーンに刻まれている。より高いレベルを意識し、自身のハードルを上げながら撮影に臨んでいたという亀梨。そこには、現場から受けた熱量と、“この作品に尽くしたい”という思いがあった。
(文・山村祥子/デジタル編集・スクリーン編集部/写真・久保田司)

亀梨和也

1986年2月23日生まれ。東京都出身。B型。2006年、KAT-TUNとしてCDデビュー。

俳優として『映画 妖怪人間ベム』(2012)『ジョーカー・ゲーム』(2015)『PとJK』(2017)『事故物件 恐い間取り』(2020)や、ドラマ「FINAL CUT」(2018)「正義の天秤」シリーズ(2021、2023)など俳優として多数の作品に出演。

2010年より「Going! Sports&News」(日本テレビ系)でスポーツキャスターを担当しているほか、コンサートの演出も手掛けるなど、幅広く活動している。

──今回『怪物の木こり』で亀梨さんが演じた弁護士の二宮彰は、殺人も躊躇わないサイコパスという裏の顔を持っています。

三池崇史監督がサイコパスを描く、と聞いた時は“間違いなく面白い作品になる”と思いました。サイコパスというキャラクターは、過度に役を作ろうと思えば作れるし、演じていて心地良くなるところがあると思うんです。

監督とお話して、今回は過度な表現をせずに演じました。その分、気を遣ったのは目の演技です。視線だけを動かすのか、顔の動きを付けるのか、会話をしている時の視線の動きはどうか…といったディテールにこだわって、心の動きを表現していきました。

彰は幼い頃に起こったある出来事の影響で、サイコパスとして生きているものの、根底には人としての純朴さもある。サイコパスとして人に笑顔で接している時と、人としての温もりと優しさが内からにじみ出ている時は、意識して演じ分けていました。

──彰は、怪物の姿に扮した連続殺人鬼に命を狙われます。ダイナミックなアクションにも目を奪われますね。

彰が初めて怪物に襲われる地下駐車場のシーンは、濡れながら撮影したので苦労しました。でも、怪物さんはマスク姿で視界も良くない状態でしたし、より動くのが大変だったと思います。

撮影当日にアクションの動きを確認して臨んだのですが、怪物さんと呼吸を合わせるのが難しかったです。

──高い身体能力が求められますね。監視カメラを壊すために、遠くからバスケットボールを投げて一発で命中させるシーンもありました。

実際の撮影では何回も投げてますよ(笑)。“CGでやるのかな”と思っていたら、現場で監督に『あのカメラに当ててください』ってボールを渡されて、もう頑張るしかないですよね。

カーチェイスのシーンも自分で演じていますが、チキンレースのようで怖かったですし、“いま死んでも後悔ないな”と思いながら臨みました。アクションが得意かどうかは分からないけど、両親に感謝だな、って思います。

──亀梨さんといえば色気、というイメージがありますが、映画ではそれがさらに割増されているように見えます。

僕自身はモテないですけど(笑)。監督が巧く切り取ってくれたんだと思います。

でも役として色っぽくいるべき場面では、美的な部分も意識しましたし、あえて何か抑えることはせず、“亀梨くん”として湧き出るものを使うというか。洋服や髪型が整っているのに動きが鈍いのも変だし、表現や見せ方の加減は意識していました。

──スーツや髪型も、完成された美しさがあって素敵ですね。

そう。今回はキャラクタースーパーバイザーや衣装、髪型も含めて、チームで“二宮彰”という役柄を作り上げていただきました。そうして皆で作った土台の上に、最後、自分がお芝居という形で味付けをしたような感じです。

──三池崇史監督とお仕事をされた感想を教えてください。

お会いする前は厳しくダメ出しされるようなイメージもあったのですが、実際は優しくて、柔らかい雰囲気の方です。

監督の作品はバイオレンス描写やハードな作風も多いですけど、撮影現場はすごく温かかったですね。良い作品を作ろうという熱量と、手作り感がある現場でした。

スタッフの皆さんもプロフェッショナルで、動き方や見せ方の一つとっても、皆で悩んで、議論しながらベストを追求するんです。だからこそ作品にも血が通うし、演じ手としても皆さんを信頼して身を委ねて、無茶ができる。

監督の指示に応えるだけでなく、自分がギアを上げることで、想定していたラインを超えられるなら頑張ろう、尽くそう、そんな思いにさせていただいた現場でした。

──誰が怪物で、何が目的なのか、先の読めないストーリー展開も魅力ですね。

怪物の正体、騙されました? 僕は脚本で知っていたから、ちょっと損しているんですよね(笑)。

日常ではありえないような展開が淡々と描かれていくんですけど、ラストの怒涛の種明かしと、人の温かみや切なさが肝になっている作品だと思います。

柚希礼音さんが演じた東間翠(31年前の連続殺人犯)のビジュアルや、彼女の館の雰囲気は、監督のセンスが出ていてかっこいいなと思いました。

『怪物の木こり』2023年12月1日(金)公開

画像1: 『怪物の木こり』2023年12月1日(金)公開

被害者を殺した後に犯人が脳を奪う、猟奇的な連続殺人事件が発生。怪物のマスクを被った犯人の次なるターゲットは、弁護士の二宮彰だった。

だが彼の裏の顔は、目的のためなら人を殺すことも躊躇わない、冷徹なサイコパス。殺人鬼の目的を探りながら、虎視眈々と返り討ちにする機会を狙う二宮だったが、人の感情を持たないはずの彼に、奇妙な変化が訪れる。

「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した倉井眉介の同名小説を、『悪の教典』(2012)や「土竜の唄」シリーズ(2014~2021)の三池崇史監督が実写映画化。

主人公の二宮彰を亀梨和也が演じるほか、警視庁プロファイラー、戸城嵐子役に菜々緒、二宮の婚約者・荷見映美役に吉岡里帆、二宮に協力するサイコパスの脳外科医・杉谷九朗役を染谷将太、過去に起きた殺人事件の容疑者・剣持武士役を中村獅童が演じるほか、柚希礼音、みのすけ、堀部圭亮、渋川清彦らが出演。

二宮彰(亀梨和也)

画像2: 『怪物の木こり』2023年12月1日(金)公開

頭脳明晰で容姿端麗な弁護士。目的のためには手段を択ばないサイコパスという裏の顔を持つ。

『怪物の木こり』
2023年12月1日(金)公開
日本/2023/1時間58分/配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:三池崇史
脚本:小岩井宏悦
出演:亀梨和也、菜々緒、吉岡里帆、柚希礼音、みのすけ、堀部圭亮、渋川清彦、染谷将太、中村獅童

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