ABOUT MOVIE
ブンミラゲット・シネマティック・ユニバース(BCU)から誕生した、インドネシア初のスーパーヒーローが登場するアクション・ムービー。インドネシアの人気女優、ペフィタ・ピアースが女神スリ・アシィの化身となり、スクリーンで躍動する。インドネシアのトップスター、レザ・ラハディアンや、映画界で活躍する大御所女優クリスティン・ハキムなど豪華俳優陣が集結。メガホンを取ったのは、インドネシア映画界を代表する女性監督、ウピ。本作は数々の映画祭に参加し世界で注目を集めている。
"すべてが明瞭でシームレスに見えるようにしたかった"
ウピ監督インタビュー
――「スリ・アシィ」は70年近く前にコミックで登場したヒーローで、過去に映画化もされています。現代を舞台に描くにあたりアレンジされたポイントもあると思いますが、キャラクターとしてはどういった部分を大事にしましたか?
「この映画の原作は1954年に制作されたもので、ページ数が非常に少なく、要点がとてもストレートに書かれているものでした。そのため、それを映画化するためには多くの事を新たに創作、変更する必要がありました。私たちが忠実に再現した部分は、スリ・アシィという存在の芯の部分と、彼女が何のために戦うのかという事です。漫画でも映画でも、スリ・アシィは勇敢で優しく、家族や仲間を大切にする心の持ち主であり、誰がスリ・アシィの仮面を被っても、常にそのような特性が備わります」
ーー本作は一人のスーパーヒーローの目覚めを描くとともに、現在のインドネシアが抱える社会問題(警察の不正や再開発に伴う強制退去など)も描いています。物語の核としてはどういった点を大切にしましたか?
「社会問題は、物語の核心と関連していると思います。物語の核となるのは、フィクションらしい超悪役だけでなく、"ビッグマン"、つまり腐敗したお金持ちや、警察の不正や強制退去といった形で現れる"大きな悪"に立ち向かう事です。正義を守るためにこのような困難に立ち向かう人物は、強く勇敢ではあっても、私たち一般人と変わらない人物であることが重要なのです」
ーー今作の脚本は、BCUの前作『グンダラ』の監督と一緒に書かれたそうですね。スーパーヒーロー映画監督の先輩として何かアドバイスはありましたか?
「ジョコ・アンワル(『グンダラ』の監督兼、脚本家兼、プロデューサー)は、私にアドバイスをくれただけでなく、プロセス全体を通して私を引っ張ってくれ、とても助けてくれました。ストーリーを作るために、私は彼と話し合いました。ジョコさんは、スリ・アシィの世界のバイブルを作ってくれたので、私はその内容に基づいてストーリーを展開させるだけでした。そのバイブルは、スリ・アシィを上手く表現するために映画に必要な重要事項が記されており、私たちの映画製作のプロセスにおいてとても大きな役割を果たしました」
ーーインドネシアの神話を取り入れた設定やコスチュームなどはインドネシアの文化を強く感じるポイントでした。一方でスリ・アシィの着地シーン(膝と片手を地面につけるポーズ)などは、欧米のスーパーヒーロー映画からの影響も感じました。スーパーヒーロー作品に限らず、どういった作品からインスピレーションを受けましたか?
「私自身それほどスーパーヒーローの大ファンではないので、インスピレーションのほとんどはスーパーヒーロー映画から得たものではありません。以前にもアクションジャンルの要素を取り入れた映画を撮ったことがあるので、この映画でも主に同じものを参考にしました。欧米のアクション映画とインドネシアの伝統的な武術をミックスし、今作のアクションチームである(イコ)ウワイス・チームと協力してスリ・アシィの完璧な戦闘スタイルを作り上げました」
ーースピーディなアクションシーンも見ごたえ満点でした。見せ方として注力した点はありますか?
「事前にデザインした振り付けと、その振り付けの周りでカメラがどのように動くべきかに注力しました。魅力的でダイナミックでありながら、すべてが明瞭でシームレスに見えるようにしたかったのです」
"もしまた機会があるならば、
もっと挑戦的なアクションシーンのあるヒーローになりたい"
主演ペフィタ・ピアース インタビュー
ーー「スリ・アシィ」というキャラクターはインドネシア初のスーパーヒーローとのことですが、ペフィタさん自身はスーパーヒーローにどのように慣れ親しんできましたか?また、この映画のお話を聞いた際、最初にどんなことを思いましたか?
「小さいころ、漫画を読んだりスーパーヒーロー映画を観たりしていて、スーパーヒーローには馴染がありました。そしてその時の途方もない夢の一つは、自分もスーパーヒーローになることでした。しかし、最初にこの役のオファーが来た時、私には彼らが想像しているものが見えませんでした。それは彼らを疑っているわけではなく、『なぜ私が?』という疑問があったのです。でも、これはインドネシア映画界では全く新しい事だと思っていたので、とてもワクワクしていました」
ーースリ・アシィはスーパーヒーローであるとともに、男性社会に挑んでいく強さを持ったキャラクターです。役づくりではどういった点を大切にされましたか?また、監督とはどんなことを話されましたか?
「私にとって重要なことは、スリ・アシィは女性ですが、すべての人にとってのスーパーヒーローであることを示すことです。彼女の力にふさわしい人物、勇敢で正義を守る準備が出来ている人物、自分よりも他人の事を優先する人物を表現することを心掛けました。また、ウピ監督と、読んだ本の私の考えを共有し、アラナのキャラクターと性格をどのように作成するかを一緒に話し合いました」
ーー数多くの映画に出演されていますが、今回のアクションシーンは相当激しかったのではないでしょうか。トレーニングなどもかなり積まれたのでしょうか。また、大変だったことなどありましたらお教えください。
「私自身、格闘技の経験はゼロです。格闘技もやったことがないし、格闘シーンの振り付けもやったことがないので、本当にゼロからのスタートでした。でも、本作のアクションチームであるウワイス・チームに助けられ、指導してもらったので、大丈夫だと思いました。また、アクションシーンの準備をするにあたって、シラットの基礎を学び、体を作り、他の種類のスポーツを通じて持久力を鍛えました。ウワイス・チームと一緒にVコンも準備したので、どういう画を撮りたいか正確に把握することが出来ました」
ーー前作『グンダラ』にも同役でカメオ出演されています。スリ・アシィは今後もBCUの中心キャラクターになるかと思うのですが、ペフィタさんはどんなヒーローと共演してみたいですか?また、スーパーヒーロー映画を通して実現したいことなどあれば教えてください(例:もっと激しいアクションに挑戦するなど。)
「BCUのすべてのスーパーヒーローのキャラクターと仕事をしてみたいです。スリ・アシィも本当に興味深いスーパーヒーローだと思うし、この映画で彼女を演じることが出来て光栄でした。もしまた機会があるならば、もっと挑戦的なアクションシーンのあるヒーローになりたいです。なぜなら、この映画を通して自分の限界に挑戦する方法を学んだので、もっとアクションの詰まった映画で、自分がどこまでいけるのかを知りたいです」
『スリ・アシィ』
12月15日(金)公開
配給:ライツキューブ
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