『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーンが再集結した話題作『哀れなるものたち』が全国公開中。第96回アカデミー賞では美術賞にもノミネートされて話題を呼んでいる本作。ヨルゴス・ランティモス監督による壮大な世界観を美術面で支えたのは二人のプロダクション・デザイナーだった。

歩き回るのに30分かかる巨大なセットも!
エマ・ストーンも「今まで見た中で最も美しい」と絶賛

『哀れなるものたち』の眩いほどの色彩を散りばめた壮麗かつ緻密な美術は、『パディントン2』のジェームズ・プライスと映画初参加ながらファッションフォト界美術の第一人者として知られるショーナ・ヒースが手掛け、リアルでもありおとぎ話のようでもある不思議な街と建物全てを見事に構築している。

製作陣は当初、ブダペストやプラハといった歴史的建造物の多い都市をロケ地として探し始めたが、1930年代の映画にインスピレーションを受けたランティモス監督は、ゼロから自分たちの世界を作り上げることを模索し始めたそうで、「ベラが住む世界を作り上げる必要がありました。それは単に現実的なものではだめです。私たちは時代を押し広げ、特定の時代をほのめかす要素を入れつつも、さらにおとぎ話や物事のメタファーとなるようなものを目指しました。ですから、SF的であったり、時代錯誤的であったり、空想的であったり、様々な要素が入り混じっているのです」と語っている。

この壮大な世界観をゼロから作り上げるという難易度の高い課題にふさわしいプロダクション・デザイナーとして二人の人物に白羽の矢が立った。一人は、著名な写真家ティム・ウォーカーとのコラボレーションがランティモスの心を掴んだショーナ・ヒース。そしてもう一人は、プロデューサーのエド・ギニーが『不都合な理想の夫婦』(19)で共に仕事をしたジェームズ・プライスだ。最終的には二人の専門性をコラボレーションさせるという決断が下された。

画像1: 歩き回るのに30分かかる巨大なセットも! エマ・ストーンも「今まで見た中で最も美しい」と絶賛

プライスはヒースとの共同作業について「他のデザイナーとのコラボレーションを依頼されることは極めて稀ですが、ヨルゴスのビジョン自体がユニークです。類まれな才能が集結しました。一人がすべてをこなすのは不可能で、二人分の頭脳は間違いなく一人よりも優秀です」と振り返る。

ヒースも「ジェームズと私の関係性は完璧でした。こんなに上手く進んだなんて信じられません。私たちは互いに全く違いますが、驚くほど上手く行きました。私たちは自ずと異なる要素をデザインするよう引き寄せられていましたが、必ずそれを自然に結びつけることができました」とタイプの違う二人だからこそ補い合い作り上げることの出来た美術について回顧している。

チームはブダペストのオリゴ・スタジオで多くのサウンドステージを駆使し、ロンドン、バクスターの家、遠洋定期船、パリの広場、売春宿、アレクサンドリアのホテルとスラム街といった世界を作り上げた。さらに、リスボンの街にはヨーロッパ大陸最大のサウンドステージであるブダペストのコルダ・スタジオを使用したという。

本作の壮大かつ美しいセットについて、主人公ベラ役のエマ・ストーンは「圧倒されました。すべてのセットを歩き回るのに、30分はかかります。レストランやホテルがあり、まるで完全な街を作り上げたかのようでした」と絶賛。続けて、ウィレム・デフォーが演じる天才外科医ゴッドウィン・バクスターの邸宅についても「今になってみれば、あれが一番のお気に入りです。ゼロから作り上げられ、家として建てられたのですから。ジェームズとショーナはこれまでなかったようなセットを作り上げました。今まで見た中で最も美しいものです」とこれ以上ない賛辞を贈っている。

画像2: 歩き回るのに30分かかる巨大なセットも! エマ・ストーンも「今まで見た中で最も美しい」と絶賛

本作『哀れなるものたち』は、第96回アカデミー賞にて美術賞のほか作品賞、監督賞(ヨルゴス・ランティモス)、主演女優賞(エマ・ストーン)助演男優賞(マーク・ラファロ)、脚色賞、撮影賞、編集賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、作曲賞と計11部門でノミネートされている。ランティモス監督をはじめ、世界中の才能を集めて構築された本作。オスカー有力候補作品としての期待は高まるばかりだ。

『哀れなるものたち』全国公開中
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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