第74回ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式招待が決定した『夜明けのすべて』<全国公開中>の公開記念舞台挨拶が2月10日(土)に実施され、松村北斗、上白石萌音、りょう、光石研、三宅唱監督が登壇した。

「そして、バトンは渡された」で2019年本屋大賞を受賞した瀬尾まいこの原作小説を、『ケイコ 目を澄ませて』が第72回ベルリン国際映画祭ほか20以上の映画祭に出品され、第77回毎日映画コンクールで日本映画大賞・監督賞他5部門を受賞するなど国内外で絶賛を浴びた三宅唱監督が映画化。NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を演じた松村北斗と上白石萌音が映画初共演&W主演を務め、今回は同僚役で最高の理解者となる特別な関係性を演じる『夜明けのすべて』。三宅監督作品として、2019年の『きみの鳥はうたえる』(フォーラム部門)、一昨年の『ケイコ 目を澄ませて』(エンカウンターズ部門)以来3回目のベルリン国際映画祭への選出で世界中から注目を集めている。

松村「どんどん救われていく人が増えていったらいいなと思います」

この日の様子は全国124館に同時生中継。キャスト&監督は全国に向けて手を振りながら、昨日からの念願の公開を喜んだ。パニック障害を抱えたことで人生が一変する山添くんを演じた松村は「沢山笑えたり、救われたりする映画になってると思います。昨日を皮切りにどんどん救われていく人が増えていったらいいなと思います。この輪を皆さんで広げていけたら嬉しいです」と感慨無量で挨拶。

画像: 松村北斗

松村北斗

画像: 上白石萌音

上白石萌音

PMSによって月に一度イライラが抑えられず、怒りを爆発させてしまう藤沢さんを演じた上白石も「映画に携わった一員としても、皆さんよりもいち早く映画を観た一人としても、早く公開されないかなと思っていました。今とても嬉しい気持ちです」と喜びを口にしていた。

撮影中の裏話を聞かれた松村は、山添くんが洗車するシーンを挙げて「リハーサルで車を拭いているときに、本番以上に擦れてキュ~!と鳴って藤沢さんからギロッと睨まれた」と思い出し笑い。これに上白石は「藤沢さん的にもかなり嫌な音だったので睨ませていただきました。でも懐かしい」と微笑。

画像: りょう

りょう

その上白石は、藤沢さんの母親・倫子を演じたりょうが「コートを傘みたいにして雨の中に入っていくところ。雨降らしのシーンは寒かったりするけれど、あのシーンはなんとも言えない幸せな雨降らしでした」と回想すると、「今までで一番温かい雨降らしでしたね。あの瞬間に二人で姉妹のようにキャッキャしていました。面白い関係性の親子でした」と気に入っていた。

画像: 光石研

光石研

一方、山添くんと藤沢さんが勤める栗田科学の社長・栗田和夫役の光石は「(松村と上白石)お二人の醸し出す空気感を邪魔したらいけないと思って、撮影中は目立たないようにしていました」と存在感を消していたというが、松村からは「光石さんがお昼の時間にみんなの会話を回していた」との証言が。

さらに上白石からも「光石さんはイタズラ好き。私の本番の瞬間に、休憩中の光石さんがペンライトで私の顔に光を当ててケラケラと笑って『可笑しい!可笑しい!』と…。あれは一体」とのエピソードが上がり、当の光石は赤面させて無言で謝罪。光石の無邪気すぎるイタズラに松村が「今のは2歳児とのエピソードですよね!?」と驚くと、光石は「62歳児です!」と苦笑いだった。

また本作の内容にちなんで「日ごろ心がけている思いやり」をお題にトーク。松村は大勢で移動する際に足元に段差があった際、「後ろの人が会話に熱中している場合は気づかないのではないかと思い、『段差だから気を付けて』とは言わず、自分でその段差を降りる際に躓いたのを装って『おお…』と言って気付かせる」と明かし「普段グループで活動していて、僕以外に5人もいますから。誰にもケガしてほしくないから」とその理由を説明していた。

PR活動を通して共に移動していた上白石だが、この松村の気遣いに「ごめんなさい。私は察知できていませんでした」と反省。これに松村は「僕の気遣いはシームレスですから。気づかない間に潜在の中に入っていきますから」と謎の解説をすると、上白石は「それって思いやりとして成功しているんですか…?」と素朴な疑問を口にしていた。

そんな上白石は、劇中でティッシュ配りを経験したことから「人に受け取ってもらえると嬉しくて、その一瞬でも優しさってもらえると思った」と実感し「誰かにとってのいいお客さんでいたいと思っています。コンビニのレジとかでも、ちょっとでもほっこりしてもらえるように飴ちゃんを配る様に、優しさを置いていける人になりたい」と話した。

三宅監督「白石さんと松村さんがどういう人かを一言で言うなら、お二人とも『本気な人』」

画像: 三宅唱監督

三宅唱監督

舞台挨拶後半にはサプライズで主演の二人に三宅監督からの感謝の手紙が読み上げられた。「上白石さんと松村さんがどういう人かを一言で言うなら、お二人とも『本気な人』。お二人のコンビネーションは最高でした。この映画の上白石萌音が素晴らしいのは相手が松村北斗だったからであり、この映画の松村北斗が素晴らしいのは相手が上白石萌音だったからです」などと評された二人。

これに松村は「三宅監督こそ本気な人。一番本気であって努力をされる方なのに、自分の努力を人の賞賛のためにあげてしまえる優しさがある。それは人として惚れている部分であり、人としてもらっていかなければいけない」と感動。上白石は「ずっとズルイ!」と照れながら「監督とお会いする前に実は卒論くらいの量の手紙をいただいて、その時から監督に心を掴まれっぱなし。私は監督がくださる言葉が好きで、素敵な言葉をお持ちということは心と器が素敵ということ。私たちはこの監督が大好きで、この監督のもと本気で映画を作ってきたんだと思います。三宅監督は、私たちが本気になりたいと思わせくれる監督です」と感謝していた。

画像: 三宅監督「白石さんと松村さんがどういう人かを一言で言うなら、お二人とも『本気な人』」

最後に主演の松村は「この映画を観て感じたこと、その思いと向き合ってみてほしいです。今後もこの映画とあなたの御縁を続けさせてもらえたら嬉しいです」とアピール。上白石は「どんなに苦しい時も何かに心を支えてもらえる瞬間というものがあって、この映画が誰かのそんな瞬間を担えたら嬉しいです。この映画に出会っていただき、ありがとうございます」と胸いっぱいの様子で感謝の気持ちを伝え、イベントの幕が閉じた。

『夜明けのすべて』大ヒット上映中

月に一度、PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢さんはある日、同僚・山添くんのとある小さな行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。だが、転職してきたばかりだというのに、やる気が無さそうに見えていた山添くんもまたパニック障害を抱えていて、様々なことをあきらめ、生きがいも気力も失っていたのだった。職場の人たちの理解に支えられながら、友達でも恋人でもないけれど、どこか同志のような特別な気持ちが芽生えていく二人。いつしか、自分の症状は改善されなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになる。

配給:バンダイナムコフィルムワークス=アスミック・エース
©瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

This article is a sponsored article by
''.