【1920年代】はじまりは二人の兄弟!100年の歴史はここから
今年創立から100周年を迎えた「コロンビア・ピクチャーズ」は、現在の「ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント」の礎となるスタジオだ。ニューヨーク出身で東欧系ユダヤ人のジャックとハリーのコーン兄弟とジョー・ブラントが、ユニバーサル・ピクチャーズから独立し、1918年に映画販売会社「コーン・ブラント・コーン(CBC)」を設立したことに端を発する。そのCBCが24年にコロンビア・ピクチャーズと改名し、映画製作に乗り出したのだが、しばらくの間は、低予算映画やシリアル(連続)物を作る質素な会社だった。
【1930年代】アカデミー賞作品賞初受賞!フランク・キャプラの時代
大恐慌下の30年代に入ると、社長となったハリー・コーンの下『一日だけの淑女』(33)などを監督したフランク・キャプラと脚本のロバート・リスキンの活躍で、ハリウッドのメジャー映画会社の一角に食い込み始める。
そして、専属のスターがほとんどいなかったコロンビアが、キャプラ監督の下、MGM専属のクラーク・ゲーブルとパラマウント所属のクローデット・コルベールを借り受けて製作したスクリューボールコメディー『或る夜の出来事』(34)は、アカデミー賞で、作品、監督、主演男優、主演女優、脚色の主要5部門を独占受賞した初めての映画となった。
キャプラは、続くゲイリー・クーパー、ジーン・アーサー共演の『オペラハット』(36)、ジェームズ・スチュワートとアーサー共演の『我が家の楽園』(38)でも監督賞を受賞した。彼の映画の多くは、アメリカの夢と理想、人間の善意や信頼を描いたもので、窮地に陥った主人公が救われる“ラストシーンの奇跡”も含めて、大恐慌にあえぐ人々に生きる勇気を与えた。その頂点が、スチュワートが新米議員を演じた『スミス都へ行く』(39)である。
『或る夜の出来事』デジタル配信中
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また、キャプラ作品のほかにも、レオ・マッケリー監督の『新婚道中記』(37)、ハワード・ホークス監督の『特急二十世紀』(34)、『コンドル』(39)、『ヒズ・ガール・フライデー』(40)、アレクサンダー・ホール監督の『幽霊紐育を歩く』(41)といった名作が、この時期のコロンビアから生まれている。
オープニングに登場する女性
“コロンビア・レディ”って何者?
1924年の設立以来、コロンビア・ピクチャーズ作品のオープニングには“謎の女性”が映る。彼女は自由の女神に似ているが、実は「コロンビア・レディ」と称される別人だ。「コロンビア」とは、アメリカ大陸を発見したコロンブスにちなんだアメリカの雅称なので、彼女はそれに合わせてアメリカを象徴するキャラクターとして創造されたと考えられている。何度かのデザインチェンジを経て、現在は92年に撮影されたものが使用されている。
【1940年代】リタ・ヘイワースの大活躍&戦争の時代を反映した映画たち
40年代は、戦争の時代を反映した『暁の勝利』(42)、『サハラ戦車隊』(43)などの戦争映画に加えて、妖艶で怪しげな雰囲気を漂わせ、戦時下のピンナップガールとして兵隊たちに親しまれたリタ・ヘイワースの活躍が目を引く。彼女の主な主演作は、チャールズ・ヴィダー監督、ジーン・ケリー共演のミュージカル『カバーガール』(44)、グレン・フォード共演のフィルムノワール『ギルダ』(46)、当時の夫でもあったオーソン・ウェルズ監督・共演のサスペンス『上海から来た女』(47)など、多岐にわたった。
戦後は、フォードとウィリアム・ホールデン共演で戦争後遺症を扱った異色西部劇『コロラド』( 48)や、野心家の地方政治家が権力のとりことなって自滅していくさまを描いてアカデミー賞で作品、主演男優(ブロデリック・クロフォード)、助演女優(マーセデス・マッケンブリッジ)の各賞を得た『オール・ザ・キングスメン』(49)といった問題作を製作したが、クロフォードは、監督のロバート・ロッセンから「この政治家役を演じるには(社長の)ハリー・コーンを思い浮かべてくれればいい」と助言されたというから皮肉な話だ。
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【1950年代】社会問題に目を向けた気骨のある作品を続々製作
50年代に入ると、フレッド・ジンネマン監督が、日本軍による真珠湾攻撃が迫るハワイを舞台に、米陸軍の組織的な腐敗や男女の愛と苦悩を描いた『地上より永遠に』(53)が、アカデミー賞で作品、監督、助演男優(フランク・シナトラ)、助演女優(ドナ・リード)ほかを受賞。続いて、エリア・カザン監督が、悪徳ボスに支配されたニューヨークの波止場の実態を描いた『波止場』(54)も、アカデミー賞で、作品、監督、主演男優(マーロン・ブランド)、助演女優(エヴァ・マリー・セイント)ほかを受賞した。
そのほか、軍隊の矛盾を描いたエドワード・ドミトリク監督の『ケイン号の叛乱』(54)、性暴力裁判や黒人問題といったタブーに挑んだオットー・プレミンジャー監督の『或る殺人』(59)、デルマー・デイヴィス監督の異色西部劇『決断の3時10分』(57)など、気骨のある問題作を数多く製作した。
また、この時期のコロンビアを代表する女優が、『ピクニック』(55)、『愛情物語』(56)、『夜の豹』(57)などに出演し、“ミステリアス”と称されたキム・ノヴァクである。
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