『落下の解剖学』2月23日(金・祝)より公開中
⼈⾥離れた雪⼭の⼭荘で、男が転落死した。はじめは事故と思われたが、次第にベストセラー作家である妻サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)に殺⼈容疑が向けられる。現場に居合わせたのは、視覚障がいのある11 歳の息⼦だけ。事件の真相を追っていく中で、夫婦の秘密や嘘が暴露され、登場⼈物の数だけ〈真実〉が現れるが――。仲睦まじい夫婦に⼀体何がおこったのか︖夫の⾃殺を主張する妻、妻の<知り合い>の男の弁護⼠、そして⼈間の思惑全てを⾒透かすような⽬線で登場する息⼦の介助⽝―。
男⼥の役割は本当に平等なのか︖お互いの主張をぶつけまくり、ヒートアップしていく夫婦の姿は、全カップルが⾒てみぬふりをしてきた︕︖現実を否応なしに突きつける。脚本を⼿掛けたのは実⽣活のパートナーでもある、ジュスティーヌ・トリエ監督とアルチュール・アラリの⼆⼈。あるインタビューでは、トリエ監督⾃⾝が「執筆中、死⼈が出なかったのは不思議ね(笑)」と笑えないジョークも⾶ばしている。
『落下の解剖学』
2月23日(金・祝) TOHOシネマズ シャンテ他全国順次ロードショー
配給:ギャガ
©2023 L.F.P. – Les Films Pelléas / Les Films de Pierre / France 2 Cinéma / Auvergne‐Rhône‐Alpes Cinéma
『ゴーン・ガール』(2014)
誰もが羨む結婚⽣活を送っていたニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)の⼆⼈。そんな、何不⾃由もなく過ごしていたはずの結婚⽣活5周年の⽇、忽然と妻エイミーが失踪するー。後に残されたのは争って荒らされた形跡の残る部屋と、エイミーの⼤量の⾎痕で染まったキッチン。警察は他殺と失踪、両⽅の可能性を探るがやがて夫のニックのアリバイに不審な点が浮上してくるー。
妻の賢さと、⽤意周到な計画に「こんなにもハードなのか」「⼈間はここまで変貌するのか」と、<結婚>に怯える⼈も続出︕︖⾒る⼈に夫婦⽣活へのリアルな恐怖も呼び起こす、⻤才デイビッド・フィンチャーによる⼼理サスペンス。
『ブルーバレンタイン』(2010)
病院で忙しく働く妻シンディ(ミシェル・ウィリアムズ)は、夫ディーン(ライアン・ゴズリング)、娘とともに3⼈で暮らしていた。正義感にあふれるが同時に幼稚な夫ディーンは、無気⼒で、まともな仕事に就こうとしない。もっと⾃分を⾼める仕事をしてほしいとシンディはディーンに思っていたが<今の⽣活が崩れる>ことに怯え、本当の気持ちをうまく伝えることができなかったー。
夫婦がお互いに抱える不平不満を抱え続けたらどうなるのか︖黙っていることは誰のための優しさなのか︖多くの⼈が逃れられない<現実世界の夫婦関係の⼼の変化>が描き出されたある夫婦のリアルな姿を、出会った時のときめきや希望に溢れていた時代を織り交ぜながら描いた、思わず我が⾝を振り返る、切ないラブストーリー。
『フレンチアルプスで起きたこと』(2015)
フランスの⾼級リゾートに、スキーバカンスにやってきた、スマートなビジネスマンの夫トマスと、美しい妻エバ、そして愛らしく聡明な⼦供たち家族5⼈。普段忙しい夫トマスは、頼れる夫、パパとして張り切って家族サービスに勤しんでいた。そんなバカンスの2⽇⽬、屋外の絶景テラスで家族全員がランチをとっている最中、スキー場が安全確保のために定期的に起こす雪崩が発⽣︕最初は⾯⽩がって動画や写真を撮っていたが、予想に反して雪崩が勢いを増し、テラス⽬掛けて襲ってきた︕だが、その時夫は、全くもって<残念な⾏動>をとってしまうー。
第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にて審査員賞を受賞。監督は本作の後『ザ・スクエア 思いやりの聖域』『逆転のトライアングル』で2作連続でパルム・ドールを受賞することになるリューベン・オストルンド。これは果たして裏切りなのか︖⼀度失った家族の信頼はどうやって取り戻すのか︖夫婦間にある⾒えない<何か>を改めて可視化してしまうような、オストルンド流ブラックコメディ&ヒューマンドラマがさく裂している一本。