「歌手として歩み始めた私に母が言ったんです。向かいの劇場に行けばきっとなにかあるはず、と。」
『サイドウェイ』(04)と『ファミリー・ツリー』(11)でアカデミー賞脚色賞を2度獲得しているアレクサンダー・ペインが監督を務める本作は、1970年のニューイングランドにあるバートン校を舞台に、それぞれの事情で寮に残り、クリスマスと新年を過ごす孤独な3人の物語。誰もいない学校での自由気ままな生活の中で、ちょっとした冒険や災難を通じて、3人の間に小さな繋がりが生まれていく様を描く。
助演女優賞を受賞したダヴァイン・ジョイ・ランドルフは、初めてのオスカーノミネートで見事受賞。ランドルフが演じるのは、バートン校で長年働いている料理長メアリー・ラム。ひとり息子のカーティスをベトナム戦争で亡くし、人生のどん底にあるという役どころだ。本作でゴールデングローブ賞助演女優賞をはじめ単独で58賞受賞(3月5日時点)を果たしており、これまでの圧倒的な評価通りの結果となった。
「ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ」の名前が呼びあげられると、喜びのハグをした主演のポール・ジアマッティにエスコートされて壇上へ。受賞スピーチでは、「このような(俳優としての)キャリアを歩むとは思ってもいませんでした。歌手として歩み始めた私に母が言ったんです。向かいの劇場に行けばきっとなにかあるはず、と。そう言ってくれた母に感謝します。今までの私の人生に関わり、私を支え、導いてくれた人々、この場にいる素晴らしい皆さんに感謝します」とこれまで支えてくれた人たちへ感謝を伝えた。
続けて、「長い間、私は人と違う存在になりたいと思っていました。でも今では、ただ自分らしくあればいいんだと気づきました」と涙ながらにコメント。また、演劇のクラスで唯一の黒人だったランドルフに対し、「大丈夫。自分で道を切り拓けばいい」と言ってくれた恩師への感謝を述べると、続けて、「みんなよくこの場で感謝を口にするけど、パブリシストには言及しないですよね。でも、私のパブリシストは唯一無二。ずっと私のそばにいてくれてありがとう!」と冗談交じりにパブリシストへの感謝を述べると会場からは笑いが起こった。
最後に「これからも、このようなことが何度もできるよう、神に祈ります。祝福された夜を過ごせたことに感謝します。本当にありがとうございました」と締めくくった。客席にいたポール・ジアマッティをはじめスタッフ陣も、ランドルフの感動的なスピーチに目を潤ませていた。
『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
6/21(金) TOHO シネマズ シャンテほか全国ロードショー
配給:ビターズ・エンド ユニバーサル映画
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