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王道ジャンルでも良作ぞろい!
笑ったり、泣いたり! ヒューマンドラマ&コメディ
(文・斉藤博昭/デジタル編集・スクリーン編集部)
人間ドラマやコメディという映画の王道ジャンルも、サーチライトの手にかかると強烈なインパクトを残すケースが多い。
寄宿舎で育った若者たちを主人公にした『わたしを離さないで』は、青春人間ドラマが、ある秘密が明らかになってから驚愕の展開へなだれ込む。センセーショナルな衝撃と優しい後味の不思議なケミストリーは唯一無二。
逆にヒネリを期待して観たら、意外なほどストレートな感動を誘うヒューマンドラマだった『クレイジー・ハート』のように、ジャンルに忠実な作品もあるから侮れない。
人間ドラマとコメディのあまりに美しいブレンドは『ファミリー・ツリー』。妻が事故で昏睡となるシリアスな設定なのに、夫と娘たちの関係にはユーモアをたっぷり投入。ジャンルのボーダーレス感がサーチライトらしい。
コメディに振り切った作品では『ナポレオン・ダイナマイト』。イケてない高校生や周囲の変人キャラのユルすぎる日常がひたすら愛おしい。最初に付けられた邦題『バス男』の反響も記憶される。
そして最近のコメディ系では『シアター・キャンプ』。モキュメンタリーのスタイルや、散りばめられたミュージカルネタで偏愛したくなる逸品。サーチライトの買付センスに個人的に大満足!
印象に残るビジュアルばかり!
目に焼き付くようなオシャレなサーチライト作品
(文・清藤秀人/デジタル編集・スクリーン編集部)
オシャレをファッションで切り取ると、まずジャクリーン・ケネディのシグネチャールックだったツイードのスーツをシャネル協力の下、復刻した『ジャッキー/ファーストレディ最後の使命』や、ヒロインに何気ないサマードレスを着せて映画を単なるファッションファンタジーにしなかった『(500)日のサマー』が思い浮かぶ。
ウェス・アンダーソンの色彩へのこだわりが最も強烈だった『グランド・プダペスト・ホテル』では、4つの異なるタイムラインが異なるカラーパレットで表現されていた。中でも、コンセルジュ、グスタヴ・Hのパーツを彩る赤→紫→ピンクのグラデーションは完璧過ぎて目がクラクラする。
同じアンダーソン監督作『ダージリン急行』のためにマーク・ジェイコブスがデザインした、茶色のカーフスキンに象やシマウマがプリントされたルイ・ヴィトンの旅行バッグは脇役にしては目立ち過ぎ。
いつもロケーションがオシャレなルカ・グァダニーノ作品だが、シチリア島とチュニジアの間にある火山島パンテッレリーア島が舞台の『胸騒ぎのシチリア』の洗練度は別格。水を用いてない乾式壁の高級コテージや山肌を切り拓いて作った野外レストランが今も目に焼き付いて離れない。
ホラー映画ファンも必見!
アーティスティックでコワいサーチライト作品
(文・杉山すぴ豊/デジタル編集・スクリーン編集部)
サーチライト・ピクチャーズはホラー映画ファンにとっても魅力的な作品をリリースしています。
まずは『オッペンハイマー』でアカデミー主演男優賞に輝いたキリアン・マーフィー出演の『28日後...』。人間を狂暴化させるウィルスがパンデミックを起こした英国が舞台。ゾンビ映画のバリエーションでその続編『28週後...』も作られました。
残虐ホラーのカルト作『サランドラ』をリメイクした『ヒルズ・ハブ・アイズ』では旅行中の家族を世にも恐ろしい食人一家が襲う。18禁も納得の過激な設定・描写のオンパレードで視聴注意です。
ギレルモ・デル・トロのアカデミー賞作『シェイプ・オブ・ウォーター』はモンスター映画『大アマゾンの半魚人』へのオマージュですからホラーの一種と言えます。そのデル・トロが製作にまわった『アントラーズ』には鹿とエイリアンを足したような魔物が登場。サーチライト・ピクチャーズ版『死霊のはらわた』ですが児童虐待等のテーマも盛り込んでいます。
デル・トロが監督した犯罪スリラー『ナイトメア・アリー』に漂う不気味さはホラー映画のそれ。サーチライト・ピクチャーズのホラーは怖く・グロいですがどこかアーティスティックな味わいがあります。
ファンも観逃がしているかも?
おうちで楽しみたい劇場未公開サーチライト作品
(文・タナカシノブ/デジタル編集・スクリーン編集部)
『モーガン夫人の秘密』は主演キーラ・ナイトレイ演じる人妻がアレクサンダー・スカルスガルド演じる“敵国”の男と禁断の不倫関係に陥るメロドラマで、製作総指揮をリドリー・スコットが務めたスリルと官能に溢れるドラマティックな一作となっている。
ナタリー・ポートマン主演『ルーシー・イン・ザ・スカイ』は、NASAの宇宙飛行士リサ・ノワックの実話をもとに、地球に帰還した主人公が精神を病み、取り返しのつかない罪を犯してしまう姿を描く衝撃作。リース・ウィザースプーンが製作に名を連ねる本作は、ナタリーの熱演が光る。
1970年代から80年代にアメリカで大きな成功を収めたテレビ伝道師タミー・フェイとジム・ベイカー夫妻の波乱万丈の人生を、タミーの視点から描いた実録ドラマ『タミー・フェイの瞳』。妻のタミーを演じたジェシカ・チャステインのなりきり演技は圧巻。第94回アカデミー賞主演女優賞とメインアップ&ヘアスタイリングの2部門受賞の話題作だ。
第96回アカデミー短編ドキュメンタリー賞受賞作『ラスト・リペア・ショップ』もおすすめ。ロサンゼルスにある楽器の修理工場で働く4名の修理工のエピソードを追う感動の1本!