ジョナサン・グレイザー監督の尋常じゃないこだわりが明らかに!
『関心領域』はジョナサン・グレイザー監督が原作と出合ってから実に10年もの歳月をかけて作り上げた。構想を練っている段階で、実在したアウシュビッツ収容所の所長である主人公ルドルフ・ヘスの暮らしを綿密にリサーチしていた監督は、家の様子をリアルに再現している。
さらに環境や演技にもリアルを追求し、通常の映画撮影では必須である照明を使用せず、そして演者にカメラを意識させないようカメラマンを排除し、別室でモニターを確認しながらの撮影スタイルとなった。
妻のヘートヴィヒ役を演じたザンドラ・ヒュラーは「過去の出来事と一人で向き合ってる感覚だった。あの家には言葉では表せない何かがあった」と独特な撮影方法が与えた感覚を振り返る。ジョナサン・グレイザー監督はそこまで突き詰めてリアルを求めた理由を「この話を現在進行形で伝えるためには、できる限り真実に近づくことが大切だった。観客には、彼らに自分の姿を重ねて見てもらいたい。彼らが望むものは私たちと変わらない。彼らに自分を投影することがこの作品の狙いでもあった」と明かしている。
“アウシュビッツの隣で暮らす家族の物語”という設定、そしてアカデミー賞にノミネートされた音響が注目を集める本作だが、静かな予告映像に惹かれたという声も多い。ジャミロクワイ「Virtual Insanity」のミュージックビデオをはじめ、印象的な映像で世間の注目を集めてきた稀代の映像作家ジョナサン・グレイザー監督が、並々ならぬこだわりを持って撮影を敢行したことがうかがえる。
オルタナティブポスターは2つ
新たに完成したポスターは2点が。1点は、花が咲く庭園で優雅に過ごしているような人間のシルエットを描いたもの。塗りつぶされた背景の奥にはうっすらと壁が見え、壁の向こうにはまるで何もないかのように暮らす劇中の家族たちを思わせる。
もう1点は花のイラストを描いたもの。ヘスの妻ヘートヴィヒはガーデニングに熱心で、劇中にはアウシュビッツ収容所の隣にある屋敷に咲く花が多数登場する。
『関心領域』
5月24日(金) 新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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