メインビジュアルも解禁、トークイベントも決定
ジャン=リュック・ゴダールやフランソワ・トリュフォーらと並んでヌーヴェル・ヴァーグの中心的人物であり、その魅惑的な映像マジックによって、長年にわたり映画ファンを夢中にさせてきたフランスの巨匠、ジャック・リヴェット。東京では4/19よりヒューマントラストシネマ渋谷にて開催された【ジャック・リヴェット傑作選2024】が、装いも新たに【もうひとつのジャック・リヴェット傑作選2024】と題し、7/10(水)より東京日仏学院にて開催。【ジャック・リヴェット傑作選2024】でラインナップされた『地に堕ちた愛 完全版』『彼女たちの舞台』『パリでかくれんぼ 完全版』『セリーヌとジュリーは舟でゆく』の4本に加え、この度、長らく日本未公開だった『シークレット・ディフェンス』の公開が決定!
主人公は研究所に勤める女性、シルヴィ。ある日、弟のポールから「父の死は事故が原因ではなく、右腕だった男による殺人だった」という衝撃の事実を聞かされる。すぐにでも復讐しようとするポールの代わりに、シルヴィは独自の調査に乗り出すのだが…。<父を殺された姉と弟の復讐譚>から出発しながら、謎が謎をよび、思わぬ事態に展開していく、リヴェット監督ならではの迷宮的魅力が満載。ヒロインのシルヴィをクールに好演するのは『冬の旅』(85)や『仕立て屋の恋』(89)『あのこと』(2021)などに出演、監督としても活躍する女優サンドリーヌ・ボネール。シルヴィの父殺しの疑いをかけられるキーパーソンの男、ヴァルサー役にはゴダール『パッション』(82)で知られるポーランドの名優、イエジー・ラジヴィオヴィッチ。また、エリック・ロメール『モード家の一夜』(69)のフランソワーズ・ファビアンも、短い出演時間ながら曲者っぷりを発揮する。
シルヴィが歩き回るパリ、郊外の古い屋敷のロケーションはもちろんのこと、本作を映画史に残る名<鉄道映画>たらしめていると言っても過言ではない、電車を追った驚異のシークエンスは必見だ。ヌーヴェル・ヴァーグ随一の魔術師、ジャック・リヴェットの真骨頂を目撃せよ!
【もうひとつのジャック・リヴェット傑作選2024】東京日仏学院にてトークイベント開催!
・7/13(土) 14:00『シークレット・ディフェンス』上映後
登壇者:筒井武文(映画監督 / 東京藝大大学院教授)
・7/15(月・祝) 15:00『パリでかくれんぼ』上映後
登壇者:廣瀬純(哲学・映画批評 / 龍谷大学教員)
・7/20(土)14:00『彼女たちの舞台』上映後
登壇者:坂本安美(アンスティチュ・フランセ東京 映画プログラム主任)
『シークレット・ディフェンス』
Secret défense
1998年 / フランス / カラー / 173分
脚本:パスカル・ボニゼール、エマニュエル・クオー、ジャック・リヴェット 撮影:ウィリアム・リュプチャンスキー
出演:サンドリーヌ・ボネール、イエジー・ラジヴィオヴィッチ、グレゴワール・コラン、フランソワーズ・ファビアン
研究所に勤めるシルヴィのもとにある日弟のポールが訪ねてくる。彼は、ふたりの父の死は実は事故が原因ではなく、右腕だった男ヴァルサーに殺されたのだという。すぐにでも復讐しようとするポールの代わりにシルヴィは独自の調査に乗り出すが、思いがけない事態に展開してゆく。復讐譚として出発する物語に次々と立ち現れる、まるで亡霊のような人物たち、謎と愛憎が絡み合う先に待ち受ける<シークレット・ディフェンス>の果てとは──?
© 1997 PIERRE GRISE PRODUCTIONS/LA SEPT CINÉMA, T&C FILM AG © 2019 Les Films du Veilleur
【もうひとつのジャック・リヴェット傑作選2024】ほか上映作品
『地に堕ちた愛 完全版』 L'Amour par terre
1984年 / フランス / カラー / 176分
© 1983 LA CECILIA © 2018 Les Films du Veilleur
出演:ジェラルディン・チャップリン、ジェーン・バーキン、アンドレ・デュソリエ、ジャン=ピエール・カルフォン、イザベル・リナーツ、サボー・ラースロー
ある戯曲を改作して上演していた女優のシャルロットとエミリーは、その戯曲の作者クレマンに呼ばれ、彼の邸宅で新作を演じることを提案される。しかしラストは決まっておらず、女性の役はひとつしかない。訳の分からぬまま1週間後の本番に向けて稽古を始めるふたりだったが、屋敷のいわくありげな住人たちと生活を共にするうち、演目と現実がリンクしていることに気づき始める・・・。いくつもの謎が散りばめられ、役割やパートナーは絶えず入れ替わり、リアルと虚構は曖昧になる。リヴェットの遊び心と実験精神満載の愛憎劇。
『彼女たちの舞台』La Bande des quatre
1988年 / フランス・スイス / カラー / 162分
© 1988 PIERRE GRISE PRODUCTIONS © 2017 Les Films du Veilleur
出演:ビュル・オジェ、ローランス・コート、フェイリア・ドゥリバ、ベルナデット・ジロー、イネス・ディ・マデイロス=ダルメイダ、ナタリー・リシャール
女の子だけの演劇学校に通うアンナ、クロード、ジョイス、ルシアの四人組は、パリ郊外の屋敷で共同生活をおくっている。ある日、同じ演劇学校の学生で、わけありの恋人がいるというセシルが不可解な犯罪に巻き込まれたとの噂が。同じころ、四人の彼女たちに謎めいた男がつきまとうようになって──。名キャメラマン、カロリーヌ・シャンプティエがとらえる官能的な色彩のコントラストに加え、等身大でキュートな彼女たちの衣装にインテリアと、さまざまなディティールも楽しく心踊る一作。演劇学校の先生役に、リヴェット作品に欠かせない名優ビュル・オジェ。
『パリでかくれんぼ』Haut, bas, fragile
1995年 / フランス / カラー / 169分
出演:ナタリー・リシャール、マリアンヌ・ドニクール、ロランス・コート、アンナ・カリーナ、アンドレ・マルコン、エンゾ・エンゾ
© Pierre Grise Productions, 1995. © 2019 Les Films du Veilleur
荷物に貼られる「こわれもの注意」の原題をもつ本作は、三人のヒロインが図書館へ、公園へ、クラブへ動きまわって、ある時はローラースケートで滑り、歌い、生き生きと舞うミュージカル!パワフルな不良少女ニノン、五年間の昏睡状態から目覚めたルイーズ、「本当の母親」を探しているイダ。そして、彼女らを結びつけるひとりの男…。音楽も主役のひとりである本作には、クラブ歌手役でシャンソン歌手エンゾ・エンゾ、そして『修道女』以来30年ぶりのリヴェット映画への出演となる、ヌーヴェル・ヴァーグの女神アンナ・カリーナも特別出演。
『セリーヌとジュリーは舟でゆく』Céline et Julie vont en bateau
1974年 / フランス /カラー / 193分
©︎1974 Les Films du Losange
出演:ジュリエット・ベルト、ドミニク・ ラブリエ、マリー=フランス・ピジエ、バーベット・シュローダー
公園のベンチで魔術の本を読んでいた司書のジュリーが魔術師セリーヌと出会ったことからはじまる奇妙な冒険、そしてある殺人事件のにおい。「不思議の国のアリス」的迷宮を思わせる冒頭から始まる本作はセリーヌ役のジュリエット・ベルトとジュリー役のドミニク・ラブリエが書き始めた台本から出発し構成された。幻想と現実の境界線を軽やかに飛び越えて自由に入れ替わる主人公たちのユーモラスなやりとりや70年代を象徴するサイケデリックな衣装も楽しく、遊び心に溢れたファンタジーの傑作にしてリヴェットの人気作。
提供:マーメイドフィルム、Respond 配給:コピアポア・フィルム