映画『おいハンサム!!』を一足先に完成披露試写で見た人たちが「何回声を出して笑ったか数えきれない」「ぜひ家族ともう一度来たい」などと口々に語り、面白くても声を出してまで笑う人はいないのが通常であるマスコミ向けの試写会までも試写場が笑いに包まれた。自ら企画を立ち上げ脚本も書いた山口雅俊監督に作品の持つ力の秘密を聞いた。

友だちや家族や誰とでも見れる映画 しかも大画面で見るべき映画


──本作は漫画家・伊藤理佐さんの複数の漫画を混ぜて再構築するという前代未聞の試みが企画の骨子となっています。

伊藤さんの時代を超えた複数の原作を混ぜ合わせて見たこともないような新しくハイブリッドな映像作品を作ってみたかったのです。

お電話して「ぶっちゃけ実写化の話って来てますか?」と伺ったら、「私のところには今のところ来てません」とおっしゃるので、「では、正式な契約という形でなくていいのですが、いつの日か伊藤理佐さんの世界が全部入ったような全く新しい見たことのないホームコメディを作れるかもしれないから、伊藤さんの漫画(の実写化の権利)を全部仮押さえさせてください」とざっくりお願いしたら、僕の印象では即決であっさりOKしていただいたんですよ。

でも実はその「あっさりOK」には理由があって伊藤先生は僕をたぶん詐欺師かなんかの愉快犯だと思ってらして、実はそもそもまともに取り合っておられなかったのです(笑)

でも実は伊藤さんは山田孝之くんの『闇金ウシジマくん』の大ファンで、それからさらに時間が経ってから僕がその監督だと知ってやっと信用してもらえたのです(笑)

――『おいハンサム‼』は企画の斬新さももちろんですがキャスティングも見事でした。

本作と同じく脚本・監督を担当したドラマ『新しい王様』の打ち上げという名目で藤原竜也くんと飲んだとき、藤原くんの紹介で吉田鋼太郎さんと出会いました。シェイクスピアの史劇「ヘンリー4世」なんかの話題で盛り上がって、それが後日、主人公・ちょっとウザいけど強いパパ・伊藤源太郎のキャスティングにつながったのです。

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――妻であり三姉妹の母・千鶴も三姉妹もそれぞれキャラクターが立ってて、全員が当たり役という印象です。

伊藤千鶴役にはMEGUMIさんに企画の最初から声をかけていました。MEGUMIさんとはまさしくその藤原竜也くん主演のドラマ『新しい王様』などでもご一緒していてとても頼りにしている女優さんです。長女・由香役には映画『闇金ウシジマくん Part2』にも出演してもらっていた木南晴夏さんに迷いなくお願いしました。とにかくここはこの二人にお任せすれば大丈夫だという確信がありました。

三女・美香役には同じく『新しい王様』のヒロイン・エイリ役だった武田玲奈さん。これも即決でした。武田玲奈さんと何回もお仕事してきてコメディエンヌとして着実に実力をつけてきているという実感がありました。

そして次女・里香役にはまったく木南さんや武田さんと違うタイプの佐久間由衣さんが来てくれたらいいなと。当時、佐久間さんのスケジュールがない中、最初は結婚して大阪にいるという設定でスケジュール上、あんまり出演シーンがないように撮るからと佐久間さんのマネージャーを説得したんです。

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──映画の中で母親の千鶴が生活には切れ目がないという話をするのが印象的でした。

「おいハンサム‼」Season1にも「冷蔵庫のネギは使い切ることができない」というなんだか哲学的な話があります。

ネギを切って使っても必ず残ってしまい、その冷蔵庫に入れた数センチ残ったネギというものは。後日見つけられなかったりしなびてしまったりできっちり使い切るということは本当に難しい。

それと同じように、人生の営みというものは一日ごとにきっちり終わるものではない。必ず繰り越しがある。それをどこかで区切ろうとすると無理があるし、区切ろうとすることによるストレスもある。

掃除だって一緒です。ゴミの収集日、捨てるゴミ袋の中についついギリギリまで新しいゴミを入れようとする。でも、またすぐゴミは出る。いくらまとめて捨てようとしても、すべてのゴミを出し終わり、すべてのゴミ箱が空になっている、そんな状態は続かない。それを気にしたり、ましてや、「今、ゴミを全部、捨てたばったりだから、新しいゴミを出すな」というのはナンセンス。きっとそんなことは気にしなくていいんです。生活も人生もまだまだずっと続くのですから。

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──映画から参加した宮世琉弥くん扮するたかおが語った人生の制約についてのセリフにも納得感がありました。

宮世琉弥くんとも高橋メアリージュンさん主演の「闇金サイハラさん」で一緒に仕事していて、非常に説得力のある役者だと思いました。そういうセリフを安心して任せられるのです。

たかおが言うように人生において制約があることは邪魔なことだったり、不幸なことだったりするわけではない。制約の中で選択したり、より良く生きたいと工夫することの中にこそ幸せがあり、そういう営為によって人は制約を楽しみ、また、制約を打ち破ることができるのではないでしょうか。

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──映画「おいハンサム‼」観せていただいて確かに「大画面で観てよかった」と思いました。一方でドラマのときから 変わらないゆるい面白さも健在でした。ただ、その理由を言語化したり説明するのは難しいのです。「おいハンサム‼」の面白さとは監督から見て、ズバリ、なんなのでしょう。

映画「おいハンサム‼」風のセリフで言うと、一言ではムリ‼……と軽口はさておき、それをきちんと説明しようとすると、竹内結子さんのことをどうしても語らなければなりません。

フジテレビでプロデュースした『ランチの女王』は、竹内結子さん主演、家族と恋愛と食を題材にしたドラマ、洋食屋を営む男所帯の鍋島家に竹内結子さん演じる麦田なつみがたまたま同居することになって、登場人物が人生を見直し成長していくというストーリーです。『ランチの女王』の後、すぐに『不機嫌なジーン』でも再び竹内さんと連続ドラマでご一緒して、彼女の若いある時期、とてもいい時期にとてもいい仕事ができた。しかしその後、竹内結子さんとはまたいい形で一緒に仕事をしたい、しかるべきタイミングでしかるべき企画や役が固まったらまた声をかけよう、などと思っているうちに年月が過ぎてしまった。そして2020年に竹内結子さんが亡くなった。「こういう役ではちょっとどうかな。事務所に断られそうだ」などと考えずに竹内結子さんにはもっと声をかけコミュニケーションを取り続けるべきだったと後悔したけれどもう遅い。苦しんだ末、『ランチの女王』以来、自分の中で封印していた家族ドラマというジャンルともう一度格闘してみようと思うに至ったのです。それが「おいハンサム‼」なのです。それがSeason1の吉田鋼太郎さん演じる伊藤源太郎の

「あれこれ遠慮するな。あれこれ考えるな。電話をしろ。手紙を書け。会いに行け。あとで後悔しないように」

というセリフや作品全体に込めた思い、祈りなのです。

たぶん「おいハンサム‼」に「笑い過ぎて泣く」といった魅力があるのだとすると、それはその根底に普段通り続いていく人生に対する愛着や感謝、一方で去っていくもの、失われていくものを惜しみ悲しむ気持ちが作品の根幹に流れているからではないでしょうか。

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<PROFILE>
脚本・監督:山口雅俊
ドラマ「ランチの女王」、映画・ドラマ「闇金ウシジマくん」シリーズ、ドラマ「新しい王様」シリーズ、ドラマ「闇金サイハラさん」ほか

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『おいハンサム!!』2024年6月21日(金曜日)全国劇場にてロードショー

画像: 映画『おいハンサム!!』予告 6月21日(金)全国ロードショー youtu.be

映画『おいハンサム!!』予告 6月21日(金)全国ロードショー

youtu.be

<STORY>
伊藤源太郎(吉田鋼太郎)は、家族の幸せを願う、ちょっとウザいけど強いパパである。
長女・由香(木南晴夏)は、仕事は絶好調、恋愛は絶不調、ダイエット中でお腹もペコペコ。
次女・里香(佐久間由衣)は、浮気されて離婚したのに「好きになってはいけない」原さん(藤原竜也)を「たぶん好き」になってしまう。
三女・美香(武田玲奈)は、婚約者と「たぶんダメな感じ」。
ある日、妻・千鶴(MEGUMI)からショッキングな告白をされた源太郎は、テレビに出演して不規則発言を連発。由香は知らない男からの間違い留守電メッセージを心待ちにするほどロンリーで、「男はやはり見た目」という理由で別れたはずの大森(浜野謙太)を思い出してしまう始末。
里香は、原さんからの逃亡を決めた「恋愛疎開」先の京都で、幼なじみのたかお(宮世琉弥)と再会。
美香は、声をかけてきたノリのいいイサオ(野村周平)やスグル(内藤秀一郎)の猛烈なアプローチを断れず悩む。
波乱に満ちた伊藤家の明日はどっちだ!?

<STAFF&CAST>
原作:伊藤理佐『おいピータン‼』『おいおいピータン‼』(講談社「Kiss」連載)
Special Thanks:
『渡る世間はオヤジばかり』(講談社KissKC所載)、『チューネン娘。』(祥伝社FEEL COMICS)、『あさって朝子さん』(マガジンハウス)、『ミックスリサ』(講談社漫画文庫)、『結婚泥棒』(集英社クイーンズコミックス)
脚本・監督:山口雅俊
出演:吉田鋼太郎 木南晴夏 佐久間由衣 武田玲奈 MEGUMI
宮世琉弥 野村周平 内藤秀一郎 須藤蓮 浅川梨奈 光宗薫 藤原竜也(友情出演)
六角精児 松下由樹 藤田朋子 ふせえり 中尾明慶 野波麻帆 太田莉菜 浜野謙太
配給:東宝
(C)2024映画「おいハンサム!!」製作委員会

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