本作は日本在住のアイルランド人作家、コリン・オサリバンの小説「ダーク・マニュアル」を原作に第89回アカデミー賞作品賞に輝いた『ムーンライト』のほか『レディ・バード』『ミッドサマー』などエッジーな作品を世に放ってきた新進気鋭の製作・配給スタジオA24がApple TV+のために制作。
製作総指揮も務めるラシダ・ジョーンズが演じる京都在住のアメリカ人女性スージーは、謎の飛行機事故で夫と息子の消息がわからなくなり人生が一変。悲しみに暮れる中、ある日お見舞いとして夫が勤めていた電子機器メーカーが製造したというサニーという名の新型ロボットが届く。夫がプログラミングしたというスージーの情報をもとにスージーを慰めようとするサニーに最初こそ腹を立てていたスージーだったが、やがてサニーとの間に奇妙な友情が生まれていく。そして、スージーはサニーとともに家族に何が起きていたのかを探っていくうちに恐ろしい世界に足を踏み入れることになる。
登壇者コメント概要
ラシダ・ジョーンズ/スージー役
主人公スージーを演じたのはラシダ・ジョーンズ。企画を聞いた際には、ビジュアルや脚本、そして使用される音楽のプレイリストなどが用意されており、世界観が既に出来上がっていたという。その世界観、そしてスージーというキャラクターに惹かれ「是非やりたいと思いました。早く撮影が始まらないかなと心が躍りました」と高揚感を持って作品に参加したことを説明。日本で作品を作ることは夢だったそうで、「人々や文化、伝統そして歴史とのつながり、食全てのものが好きなんです」と日本への愛を語った。
夏の京都で撮影が行われた本作。日本を代表するキャスト陣との共演については「伝説と言える方々に参加していただき、そんな方々にお時間を割いていただいたわけですよね。大変な経験値や名声を持っていらっしゃるのに、そんなことを一切感じさせない謙虚で本当に素晴らしい方々です」と振り返った。
西島秀俊/マサ役
ジョーンズ演じるスージーの夫マサ役西島秀俊は本作でハリウッドデビュー。撮影前にオンラインミーティングで行われた本読みの時点でジョーンズとは気持ちが通じ合ったという。2人で吹き出しながらセリフを読んだという当時を振り返りながら、「演技をする前に気持ちが通じ合ったというか、とても素晴らしい環境を築けていたというのは本当に幸運なデビューだったと思っています」と語った。
また、現場ではギリギリまでより良いものにしようとする努力を惜しまないことが印象的だったという。脚本もどんどんバージョンが変わっていったとのことで「(マサは)いい夫でいい父で素敵な役なんだなと思っていたら、台本が来るごとに『あれ?マサってどんな人なんだろう?』っていういろんなマサの面が現れてきて。それはきっと(脚本の)ケイティが僕の中に邪悪な部分とか何か悪い部分をもしかしたら見たのかもしれないんですけど。冗談ですよ(笑)。キャラクターもそうですし、ストーリーもそうですし、関係性もそうですし、常にこうより良いものにしていこうという力がものすごくある。そこを強く感じた現場でした」と撮影を振り返った。
國村隼/タナカ・ユウキ役
海外映画に多数出演している國村だが、ショーランナーシステムのドラマシリーズへは本作が初めての出演。西島同様に脚本がどんどん変化していく様への新鮮さを感じたとともに、ラシダ・ジョーンズのナチュラルな演技を絶賛し、「スージーに引っ張り込まれていく。キャラクターが自然と僕の中から出ていくみたいな。今までにない経験をさせてもらった現場ではありました」と得るものが多い現場であったことを明かした。
ジュディ・オング/ノリコ役
西島演じるマサの母、またジョーンズ演じるスージーの義母役ノリコを演じたのはジュディ・オング。息子ができたような気持ちでいつも演じていたというオングも、息子の妻役であるジョーンズの演技に感動した様子。「彼女の息をもらって、またそれを返していくというか、。私の中の新しい部分をこの『サニー』の中では発見ができたなぁと思っています」とキャスト陣との共演を振り返った。また、本作が初のテレビシリーズへの出演。「Apple TV+で初めてデビューでございます。京都の人でございます」と京都弁で語り場内を沸かせた。
ジョアンナ・ソトムラ/サニー日本語吹き替え役
本作のキーパーソンとなるロボットのサニーの声を演じたのはジョアンナ・ソトムラ。撮影では、ソトムラ本人の表情がサニーの表情にリアルタイムに反映される最新テクノロジーが用いられた。「口元も目元もそのままサニーの顔になるんです。目のすごく大きなロボットなので、瞬きすると目立つんです。なので、なるべく瞬きしないように気を付けていました」とSF作品ならではの舞台裏を明かした。
annie the clumsy/ミクシ―役
スージーを友人として手助けするミクシ―役はシンガーソングライターのannie the clumsyが演じた。本作が俳優デビューとなったAnnie。スタッフやキャスト陣のサポート、また沢山の学びを得た撮影になったそうで、本作が俳優デビューとなったことについて「自分を誇りに思います」としみじみコメントした。
最後の挨拶
最後にジョーンズが「とにかく楽しんでいただきたい作品です。ダーク・コメディでもあり、スリラーでもありミステリーでもあり、そして非常に深遠な大きなテーマもたくさん掘り下げている作品です。また、近未来の日本を非常に美しく描いています。登場するキャラクターはとても面白いですが、同時に大きな短所を持っていたりもします。彼らも含めて楽しんでいただけたら嬉しいです」
西島が「僕は日本の俳優でたくさん日本でロケーションしてますけども、本当に初めて京都のど真ん中で撮影しました。本当に驚くべきことで、これからも恐らくないだろうと思います。日本の本当の京都の古い文化も映っていますし、今の日本も映っていますし、近い未来の日本の文化や新しい世界みたいなものもミックスされた世界が映っています。それはとても僕ら日本人にとっても新鮮な体験になると思います。物語は人とロボットとの繋がりだったり、そこでどうやって生きていくかの話なんですけども、その先を突き詰めていくと、やっぱり人と人とのつながりであったり、人とは何か、魂と何かという本当に根源的なテーマにつながっていく素晴らしいストーリーです。スタートから本当に楽しいので、毎週楽しみに見ていただければとても嬉しいです」
と挨拶をし舞台挨拶は終了した。
Apple TV+「サニー」
Apple TV+にて7月10日(水)全世界同時配信開始
画像提供 Apple TV+