誰もが知る不朽の名作や、密かに人気を博す隠れた傑作を、東京テアトルのセレクションで贈るスペシャル・プログラム「テアトル・クラシックス」の第四弾として『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版が8月2日(金)より全国順次ロードショーとなる。デヴィッド・リンチが手掛けた本作。今回は、魅力あふれる特徴的なクリーチャーたちについて関係者たちのコメントともに紹介しよう。

今なお色褪せないカルロ・ランバルディがデザインしたクリーチャーたち

『キングコング』(76)などを手掛けた大物プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスがデヴィッド・リンチ監督を抜擢し、多額の製作費を投じて、映像化不可能と言われたフランク・ハーバートによるSF大河小説の映画化に挑んだ本作『デューン/砂の惑星』。

画像: 今なお色褪せないカルロ・ランバルディがデザインしたクリーチャーたち

砂虫(サンドワーム)など、『E.T.』(82)のカルロ・ランバルディが手掛けた不気味なクリーチャー造形やハルコネン男爵ら登場人物の醜悪な容姿など、映画ファンのあいだでは、長年カルトムービーとして崇拝されてきた。サンドワームやギルド・ナビゲーターなど不気味な生物や、ハルコネン男爵の醜悪な見た目など、強烈なインパクトを残すクリーチャーたちの造形は今なお高く評価されている。

『デューン/砂の惑星』にはいくつかの特別な生き物が登場するが、本作の生物デザインは、『キングコング』や『エイリアン』、『E.T.』など"クリーチャーの創造主"として有名なカルロ・ランバルディが担当している。

サンドワーム

画像: サンドワーム

巨大な口で全てを飲み込み、人々を恐怖に陥れる「サンドワーム」のデザインには丸1年を費やし、ランバルディは“未知の領域”と呼べるものを追求したといい、「ミミズのような動きは、これまで一度も試みられたことがなかった。通常の動物の身体では、どのような動きが可能かは、骨や関節によって形成される特定のポイントによって決まる。しかし、ミミズには骨も関節もなく、ほとんど無限の流動性がある。リアルな動きが私たちの問題でした。サンドワームの準備には7カ月を要し、16匹のサンドワームと1匹のサンドワームヘッドが作られました。サンドワーム1体を動かすには最低6人での操作が必要でした」と振り返っている。

全長400メートル以上もあるサンドワームの実物大モデルを作るのは困難なため、ミニチュアと実物大の頭などの部分を組み合わせて撮影が行われた。

ギルド・ナビゲーター

画像: ギルド・ナビゲーター

さらに、大量のメランジを摂取したために巨大化・奇形化した「ギルド・ナビゲーター」の制作には、15人が3ヶ月間かけて取り組み、最終的に40もの可動ポイントが作られた。ギルド・ナビゲーターを動かすには、サンドワームよりもさらに多い22人のオペレーターが必要だったという。女性器の形に似た口を持つ巨大な幼虫のような見た目は、まさに“リンチの悪夢”として強烈なインパクトを残す。

ハルコネン男爵

画像: ハルコネン男爵

そして、顔が膿だらけで巨大な体を宙に浮かせる異様なキャラクター「ハルコネン男爵」はケネス・マクミランが演じている。ハルコネン男爵の巨大な胴回りはシリコンでつくられており、衣装デザイナーのボブ・リングウッドいわく、「初めのうちはケネスを車椅子に乗せてセットまで連れて行かなければならなかった。その後、彼はやっと歩けるようになったけれど、それでも支えがなければ階段は歩けませんでした」と語るほどの重さだったという。

さらに、撮影地のメキシコは熱帯気候で、衣装の重さとそれに伴う暑さでマクミランが失神することを懸念して、NASAがパイロット用に作ったような水冷式のアンダースーツが用意されるなど、過酷な撮影環境だったという。宙に浮くハルコネン男爵は、特殊技術効果のキット・ウェストにとっても挑戦だったといい「地面から18インチ浮きながら、同時に動き、話すので、すべてをスムーズに調整する必要がありました。ボディハーネスを使用してワイヤーで吊り下げ、6人のスタッフによって制御する頭上の追跡システムによって誘導しています。カメラのためには可能な限り細いワイヤーを使用したかったのですが、安全のためには、彼の体重を確実に支えなければなりませんでした」と語っている。撮影監督のフレディ・フランシスは「ワイヤーを見せずにハルコネン男爵を飛ばすには、前景からの光と背景からの光を、ワイヤーが背景に溶け込むまでバランスをとらなければならず、とても難しかった」と撮影時の苦労を明かした。

作品情報

テアトル・クラシックス ACT.4 『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版
[1984年製作|137分|アメリカ|原題:Dune]
©1984 DINO DE LAURENTIIS CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.

画像: 「テアトル・クラシックス ACT.4 『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版」【2024年8月2日公開】 www.youtube.com

「テアトル・クラシックス ACT.4 『デューン/砂の惑星』4Kリマスター版」【2024年8月2日公開】

www.youtube.com

監督・脚本:デヴィッド・リンチ
原作:フランク・ハーバート
製作:ラファエラ・デ・ラウレンティス
製作総指揮:ディノ・デ・ラウレンティス
撮影:フレディ・フランシス
編集:アントニー・ギブス
音楽:ブライアン・イーノ、TOTO
出演:カイル・マクラクラン、ユルゲン・プロホノフ、フランチェスカ・アニス、マックス・フォン・シドー、ショーン・ヤング、スティング

時は10191年。宇宙は皇帝シャダム4世によって支配されていた。この時代に最も貴重な資源は、メランジと呼ばれるスパイス。このスパイスを採取できるのは、砂に覆われ巨大な虫が支配する“デューン”と呼ばれる砂漠の惑星アラキスのみ。皇帝シャッダム4世は、自分の地位を脅かしそうな“救世主”の出現を恐れており、それがアラキスに住む皇帝のいとこアトレイデス公爵の息子ポールであると判明したため、公爵の敵であるハルコネン男爵と手を組んでアトレイデス侯爵の失脚を図る。結果、公爵は死亡し、ポールと母親ジェシカは砂漠に逃れ、アラキスの原住民であるフレーメンの集団に合流、一大軍団を組織する。巨大なサンドワーム(砂虫)を操り、ポールはハルコネン男爵の軍を次々と壊滅してゆく。やがてフレーメンに伝わる“命の水"を飲んで超人化したポールは、皇帝に最後の闘いを挑む。

公式サイトURL:www.theatres-classics.com
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