ベルリン国際映画祭エキュメニカル審査員賞受賞、アカデミー賞国際長編映画賞®ショートリストに選出され、東京国際映画祭でも上映されたリラ・アビレス監督長編第2作『夏の終わりに願うこと』(原題: Tótem)が8月9日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開。この度、リラ・アビレス監督のインタビュー&メッセージ動画が解禁!そして、インタビューの中でもリラ監督が語った、家族の日常を描くための、印象的な「ことば」を応酬するシーンの一部も公開となった。
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画像1: “メキシコ映画界の新たなパイオニア”と各方面から絶賛!『夏の終わりに願うこと』リラ・アビレス監督のインタビュー到着
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リラ・アビレス監督オフィシャルインタビュー

―『夏の終わりに願うこと』はどんな作品ですか?

本作にはいろいろな要素が含まれています。でも一番は「人生」について描きたかった、ただそれだけです。私はコミュニケーション、人間関係の美徳、自然との交わりについての映画を作りたいと思っていました。7歳でもすでに成熟しており、自分のまなざしで世界を創造しようとする少女を描きたかったのです。
今、私たちは外側にあるものに没頭するあまり、内側にある本質に目を向けることを忘れがちです。私たちは社会のなかで、協力し合わなければ成り立たないのに、動物や自然、家族、友人、そして自分自身に対する敬意を持たなければならないことを理解していないのです。
この映画は、“家”や“家庭”という感覚に対する、私の探究心に応えるものとして生まれました。つながりを保ち続けるために、私たちには何ができるのか?近くで見れば見るほど、ルーツに近づけば近づくほど、つながりを保つことはたやすくなります。ひとつの家族の中に、常に多様な行動や視点があり、ひとつの小宇宙を成しているからです。
イギリスの詩人ウィリアム・ブレイクはこう言っています。「一粒の砂に世界を見、一輪の野の花に天国を見る。手のひらに無限をつかみ、一瞬のうちに永遠をとらえる」。このような始まりから、私はただ書き始め、登場人物達を型に流し込み、『夏の終わりに願うこと』という形に焼き上げたのです。

― 本作はどのようにして生まれたのですか?

タイトルは私たちが生まれながら持つ名前と同じで、“鍵”なのです。別の名前から始めて、それが変化していくことも時にはありますが、タイトルを変えることはできないと確信できたとき、それはとても貴重な経験になります。
「Tótem」は、私が母親になったばかりのときに思いついたので、娘への贈り物のようなものだと思っています。いわばこの映画は愛と、「母娘」の関係を祝福するものです。

― 本作に通底するテーマは何だと考えますか?

本作では(1つでなく)いろいろなことを異なるレイヤーで語っています。例えば、自分の家族や友人が、自分自身の物語と共鳴する何かを持ち帰ってくれることは、私にとってとても感動的なことです。それこそが芸術の美徳であり、あらゆる障壁を越えて、私たちの生活の内側に他者を迎え入れることになります。
もちろん映画には絵画と同じように陰影があり、光を理解するためには、影を理解する必要があります。時に、影は人生を困難にしますが、同時に最も力強いものでもあります。影は人生を旅のように豊かにし、生き生きとさせる神秘のように思えるのです。

― 大家族を中心に物語を描こうと思ったのは何故でしょうか?

ラテンアメリカの家族は巨大だからです。いとこやおじさん、動物たち...いつもパーティーのようで、そういう世界を描きたかったからでもあります。
私は「ことば」が好きです。家族が関わっていくなかで、同じ言語であっても、一族ならではの特異な意味を持つスラングやコードがあるかもしれない。それは家族が日々経験する儀式のようなもので、誰もが違うということを理解し、そのことに良心的に対処する必要があります。

― プロではない幼い俳優たちと、どのように仕事をしたのですか?

脚本を書いているときから、特定の俳優のアンサンブルを見つけることができれば、この映画は私が夢見たとおりのものになるだろうと思っており、それが目標でした。前作「The Chambermaid」のメインキャラクターを務めたガブリエラ・カルトルをキャスティングに誘い、彼女と一緒に私たちの「女王バチ(主人公)」=ソルを探しました。私はプロではない俳優と仕事をするのが好きなので、キャスティングにはいつも一苦労です。
人に会うと、直感的に「この人だ!」と思うことがありますが、ソル役のナイマに会ったとき、私は彼女の近くにいる感覚がすごく気に入りました。何時間でもいろいろなことを話せて、完全に打ち解けることができたし、エステル(従妹)役のサオリ・グルサとはいつも笑い合っていました。私は彼女たちに、喜びや遊び心を感じてほしかった。監督として、ほとんど母親のようになり、耳を傾け、感じ、常識を映し出し、押し付けることなく、ただ導き、自信と知識を与え、強力な何かを築き上げる必要がありました。私はあの元気な少女たちが大好きで、私たちは本当にいい友達になることができました。ナイマとサオリは2つの宝石のように私の近くで輝いていました。

―文学的才能のあるマテオ・ガルシア・エリソンドさんの起用理由や、彼から受けた影響がありましたら教えてください。

キャスティングする際に色んな人の写真を壁に貼り、どういう人を選ぶか考えるんですが、トナ役の人に関してはずっと候補がいなかったんです。何回探しても見つからず、撮影の日だけがどんどん近づいてくる、でも決まらない…。そんな時に奇妙なことが起こったんです。
ある時、とある詩集を読んでいて、インターネットでその本について調べている時に偶然マテオの写真が出てきたんです。その顔を見た時に「この人、いけるんじゃないか?」と思いました。彼が作家だと知り、著作を買おうと調べていたら連絡先を見つけたので、彼の本を読んだ後にキャスティングのオファーをしました。連絡した時には「執筆の依頼じゃなくて俳優の仕事?!」と驚いていましたね(笑) 最初に見た写真がすごく瘦せてたので、役にぴったりだと思ったんです。でも実際にはもっと痩せてもらわないといけなかったので、栄養士をつけて更に減量してもらいました。

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リラ監督がインタビューの中でも語っている、ラテンアメリカの大家族の日常を切り取った、「ことば」の応酬が印象的な本編映像も併せて公開。家族の間だけがわかる隠語を使い、病床の父について大人たちが話し合うシーンとなっている。映像では療養中のトナの誕生日パーティーの準備が進む中、叔母のヌリアが「そろそろKGZ(抗がん剤)も考えたほうがいい」と切り出すシーンから始まり、彼女に反論する親戚たちが、「もうKMT(決めた)ことでしょ」「すでにNZK(何千回)と話したよね」と反論する姿が描かれている。子供たちに悟られないように隠語を使って口論するが、ソルは状況を察しているのか、大人たちの重い空気を和ませようと無邪気に振る舞う……。大家族が集まるときによく見受けられる儀式のような、“日常”の一幕がリアルに描写されている。

『夏の終わりに願うこと』
8月9日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
© 2023- LIMERENCIAFILMS S.A.P.I. DE C.V., LATERNA FILM, PALOMA PRODUCTIONS, ALPHAVIOLET PRODUCTION
配給:ビターズ・エンド

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