大島依堤亜によるオルタナティブデザイン4種も同時発表
今回の上映に際して、ジェーン・バーキンと親交のあった盟友たちからメッセージが届いた。今回メッセージを寄せたのは、ジェーン晩年のコンサートに音楽監督として帯同し、公私に渡って多くの時間をともにして来た音楽家の中島ノブユキ、ジェーン・ファミリーとの家族ぐるみの交友で知られ、『ジェーン・バーキンと娘たち』を著したばかりの文筆家 村上香住子、22年に亘り彼女をマネージメントして来た、彼女に最も近しい人の一人とされ、葬儀の際も甲斐甲斐しく弔問客の対応に追われていたオリヴィエ・グルーズマン、今回の上映作品で13歳の時に彼女と共演し、かつアニエス・ヴァルダとジャック・ドゥミの息子としても著名なマチュー・ドゥミ氏の4名。それぞれジェーンとある時間を共にした4人だからこそのメッセージとなっている。
ジェーン・バーキンと親交の深かった人たちから届いたメッセージ
オリヴィエ・グルーズマン(les Visiteurs du Soir 代表)
『アニエス V.によるジェーン B.』は、ジェーンのあらゆる側面を結集し、多くのキャラクターを解釈する彼女の才能の大きさを改めて示すもので、個性の多面性を集約した驚くべきギャラリーのような作品です。この映画は、ジェーンとアニエスという2人の女性を結びつけ、そのユーモア、独創性、無限のインスピレーションを分かち合うものなのです。
マチュー・ドゥミ(俳優・監督・プロデューサー)
『カンフーマスター!』は、おそらく日常では見られないものだと思うので、ぜひ楽しんでください。(日本語で)ありがとう(ございました)
中島ノブユキ(音楽家)
ジェーン、あなたの私邸で開かれるガーデンパーティにいつもニコニコしている可愛いお婆ちゃんがいると思ったら、ヴァルダでしたね。あなたがいつも大切に思っていた同士ヴァルダ…。
村上香住子(文筆家・翻訳家・ジャーナリスト)
ジェーン、あなたは本物の情熱を知っていた。生きること、愛すること、そしてまた愛すること。すべてに燃え尽きたあなたのいのちは、とても眩しいものでした。
また本企画のポスターデザインを手掛けている大島依堤亜が、特別にデザインしたオルタナティブバージョン4種も特別公開となった。
ヌーヴェルバーグ左岸派の母として、『幸福』『歌う女、歌わない女』『冬の旅』などの映画史に残る作品を残し、2019年に90歳で亡くなったアニエス・ヴァルダ。彼女がプライベートでも親交のあったジェーン・バーキンという女性を、自由な創造的アプローチで映像化したのが、今回上映する『アニエス V.によるジェーン B.』と『カンフーマスター!』。この二作品はバーキンのパリの私邸とロンドンの実家で撮影されており、出演しているのも彼女の家族や友人たち。『カンフーマスター!』ではヴァルダと夫ジャック・ドゥミ監督の実子であるマチュー・ドゥミが、撮影当時13歳にしてバーキンの相手役を演じるなど、非常にインティメイトな関係性の中で撮影され、ドキュメントとファンタジーが融合されたような、ヴァルダらしい世界観が展開される。
『アニエス V.によるジェーン B』.
Jane b. par agnes v.
デジタルレストア・日本語字幕新訳版
「ジェーン、いつもカメラのレンズを直視することを躊躇うのはなぜ?」
ジェーンが40歳の誕生日に自身の30歳の誕生日を回想する間、アニエス・ヴァルダの伝説の女性への尽きることのないイメージがヴィヴィッドに展開する。その空想は、犯罪映画の妖婦、サイレントシネマの凸凹コンビ、モンローのように男たちのファンタジーの対象、よくあるメロドラマの恋人たち、西部劇のカラミティ・ジェーン、ターザンとジェーン、裸のマハと着衣のマハ、そしてジャンヌ・ダルクへと、ジェーンのイメージを自由自在に拡張させていく。一方で綴られるジェーンの日常のスケッチ。そこにはセルジュ・ゲンズブールや娘たちとの時間も織り込まれる。そのどれもが、シャイで大胆で逞しくて危うくて儚くて美しい、ジェーン・バーキンの魅力が余す事なく詰まっている。
アニエス・ヴァルダ監督・脚本作品
ジェーン・バーキン / ジャン=ピエール・レオー ラウラ・ベティ フィリップ・レオタール アラン・スーション セルジュ・ゲンズブール シャルロット・ゲンズブール マチュー・ドゥミー フレッド・ショペル
[ 1988年 | フランス映画 | フランス語 | 99分 | 1.85:1 | 5.1ch | DCP & Blu-ray | 日本語字幕翻訳 : 横井和子 ]
『カンフーマスター!』
Kung-fu Master
デジタルレストア・日本語字幕新訳版
ジェーン・バーキンの発案にア二エス・ヴァルダが応じる形で映画化が実現した作品。この作品の制作を挟む形で、『アニエスV.によるジェーンB.』が撮影されている。その期間は一年半に及んだ。娘ルシー(シャルロット・ゲンズブール)が自宅の庭で開いたパーティーで、泥酔した同級生の少年ジュリアン(マチュ・ドゥミ)を介抱したマリー・ジェーン(ジェーン・バーキン)は、あろうことか15歳の少年に不思議な感情を抱く。ジュリアンもまた、40歳のマリー・ジェーンに恋愛感情を抱くようになる。微妙な力関係の中、人目を盗んで密会を重ねる二人。そんなある日、二人がキスを交わしているところを、ルシーに目撃されてしまう。パリとロンドンのジェーンの自宅と実家で撮影。シャルロットの他、ルー・ドワイヨン、アンドリュー・バーキン、ジェーンの実の両親などファミリーが総出演している。タイトルはジュリアンが夢中になっているゲーム“スポルタンX”の欧米向けの名前が由来。
アニエス・ヴァルダ監督・脚本作品
ジェーン・バーキン マチュー・ドゥミ / シャルロット・ゲンズブール ルー・ドワイヨン デヴィッド・バーキン ジュディ・キャンプベル アンドリュー・バーキン
[ 1988年 | フランス映画 | フランス語 | 88分 | 1.85:1 | 5.1ch | DCP & Blu-ray | 日本語字幕翻訳 : 橋本裕充]