アクション映画の中でもカーアクションは、スカッとできる人気ジャンル。一度は乗りたい名車も続々登場し、普段ならありえないようなスリリングな体験ができること請け合い。おなじみの大ヒット・シリーズから、伝説的な名作まで車好きなら絶対見ておきたい必見カーアクション映画を揃えてみました。(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)
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「ワイルド・スピード」シリーズ
大ヒット・カーアクション・シリーズの最高峰
現代カーアクション・シリーズの代名詞的存在、通称“ワイスピ”。毎回想像を絶するようなカースタントで度胆を抜くアクションを見せてくれる。第1作『ワイルド・スピード』の頃は違法なストリートレースの世界で、実は長距離トラックを狙う強盗団のボスである凄腕ドライバー、ドミニクと、実はロス警察の潜入捜査官ブライアンの友情を描いていたが、4作目『…MAX』の頃から強盗団を解散したドミニクとFBIになったブライアンによるファミリーが世界を股にかける任務遂行を描くスーパー・カーアクションに移行していく。第1作では輸送トラックを改造車集団が襲うシーンやドミニクとブライアンのストリートレースが展開。カーマニアの間で必見のフランチャイズに成長していく。
「トランスポーター」シリーズ
ジェイソン・ステイサムの痛快アクション
フランスのリュック・ベッソンが「TAXi」シリーズに次いで仕掛けたジェイソン・ステイサム主演のカーアクションで、こちらも3作目まで製作され、リブート版も作られた。ステイサム演じるフランクはなんでも運ぶプロの“運び屋”。そんな彼が信条とする「依頼品は開けない」のルールを犯して開けた積み荷は“生身の女性”だった。ステイサムの体を張ったアクションと共に愛車BMWを駆って迫力のカーチェイスが一緒に堪能できる。
『ベイビー・ドライバー』
映像と音楽のシンクロが心地よさを誘う
天才的なドライビングテクを持つベイビー(アンセル・エルゴート)は、銀行強盗などを確実に逃す“逃がし屋”として裏社会のボスに雇われていたが、恋人デボラ(リリー・ジェームズ)のためにも闇社会から足を洗おうとしていた…。エドガー・ライト監督のセンスも生かされた、爆走シーン映像と音楽のシンクロが心地よい。スバル・インプレッサはじめダッジ・チャレンジャー、ベンツ、シボレーなど登場する名車も見どころ。
『ミニミニ大作戦』
金塊奪回作戦を遂行するミニ・クーパー集団
金塊強盗のプロ集団が仲間の裏切りにあってチーム消滅となるが、奪われた金塊を奪回する作戦に出る。69年の同名映画のリメイクで主演はマーク・ウォールバーグ、シャーリーズ・セロンらだが、もう一人の主人公と言われるのはチームが使用するミニ・クーパー。小回りが利くので、地下鉄道にまで乗り込んでいくクーパーの活躍が大きな見せ場に。ハラハラするシーンも多いが、CGを極力使わず俳優たちが実際に運転したという。
「TAXi」シリーズ
タクシー運転手と刑事コンビが大活躍!
リュック・ベッソンが製作&脚本を担当する仏製カーアクション・コメディ。4作目まで製作された後、米国リメイク『TAXi NY』、キャスト一新の第5弾も作られるほどの人気シリーズ。スピード狂のピザ配達員ダニエルが念願のタクシー運転手になり、愛車プジョー406を改造して、ボタン一つでレーシングカー仕様になる特製タクシーで客を目的地に運ぶが、超スピード違反で捕まった刑事エミリアンの担当事件に協力する羽目に……。
『60セカンズ』
時間厳守で高級車50台を盗む!
かつて高級車窃盗団のリーダーだったメンフィス(ニコラス・ケイジ)はピットクルーに転身していたが、弟キップたちが組織と問題を起こし、彼の命を救うため組織のボスから命じられた「指定時間までに50台の超高級車を盗む」仕事を、昔の仲間たちと行うことになる。74年の『バニシングin 60’’』のリメイクだが、アストン・マーティン、キャデラック、シボレー、ポルシェなど名車がズラリ登場。アンジェリーナ・ジョリーも共演。
「キャノンボール」シリーズ
オールスター出演の大陸横断レースもの
様々なタイプの参加者が自慢の愛車で優勝を目指すカーレース映画も花形のジャンル。その人気作の一つで米大陸横断レースをオールスターキャストで描いた『キャノンボール』(81)では、バート・レイノルズ(愛車ダッジ)、ロジャー・ムーア(アストン・マーティン)、ジャッキー・チェン(スバル)など人気スターと名車が多数登場して、数々のコミカルなカーアクションの連続であらゆる層のファンを楽しませ、第3作まで製作された。
『ブルース・ブラザース』
クライマックスのカーチェイスが壮大!
ミュージカル・コメディ的な印象が強いが、クライマックスのカーチェイスは壮絶。ブルース・モービル(中古パトカー)に乗って、ある目的のためシカゴに向かうブルース兄弟を、数百名のシカゴ警察が追撃。イリノイ州警察、SWATまで出動し、さらにネオナチまで追いかけてくる様は、ジョン・ランディス監督ならではの一大スラップスティック・コメディ。何十台ものパトカーがクラッシュし、ネオナチの追跡車は遥か上空から墜落する!
『コンボイ』
トラック軍団と警察が激突!
コンボイとは元々「護送船団」の意味で、ここでは大型トラック等が集団で走行する様子を表わしている。独特のバイオレンス描写でファンの多いサム・ペキンパー監督作品で、本作は権力に対する民衆の反抗精神をトラック軍団の走行で描いてはいるが、アメリカならではのどかな風景もあり、重厚というよりどこか軽快。トラックVS軍隊のクライマックス後に来るラストは、米国全土を走り回るトラック野郎たちの生き様を称賛するかのよう。
『バニシング・ポイント』
ニューシネマ時代に生まれた伝説の名作
アメリカン・ニューシネマの時代に誕生した伝説のカーアクション映画。新車の陸送を生業とするコワルスキーは、1970年型白のダッジ・チャレンジャーを15時間でデンバーからサンフランシスコまで送り届けるという賭けに乗る。途中、警察を振り切ったことから大騒動になり、ラジオ局のDJが彼の動向を中継すると、聴衆の声援を集め英雄扱いされるほどに。警察の検問をものともせず、ひたすら疾走を続けるコワルスキーの終着点とは?
CHECK 「007」シリーズを彩ったボンドカー
スパイ・アクション・シリーズの最高峰「007」シリーズで毎回のように描かれるカーアクション・シーンで登場する“ボンドカー”。ボンドカーと言えば、まず思い浮かぶのが『ゴールドフィンガー』で初登場以来、最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』まで何度も起用されてきたアストンマーティン。作品ごとに改造され、次々新機能を備えて来た。ショーン・コネリー主演『ゴールドフィンガー』では空中噴出シート、オイル散布ノズル、無線電話などなどを備え、観客を魅了した。ロジャー・ムーア版ボンドで印象的だったのは『私を愛したスパイ』の劇中、水中で潜水艇に変形するロータス・エスプリ。他にピアース・ブロスナン版ボンドの『ゴールデンアイ』ではBMWが登場するなど、フォード、ベンツなども作品中に使用されたことがある。ボンドのカーアクションでは彼が何に乗っているかも注意して見ると、シリーズの楽しみ方が増えるはずだ。