カバー画像:『大脱出』©Motion Picture Artwork ©2013 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. U-NEXTにて配信中
アクションスターと聞いて、シルヴェスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーの名を思い出す人は少なくないだろう。1980~90年代の彼らの活躍は、とにかく目立っていた。何より、岩石のような胸板や膨れ上がった上腕二頭筋から繰り出されるアクションの凄みといったら! ライバルとして張り合い、高め合い、一時代を築いた、そんな彼らの軌跡を、ここに振り返ってみたい。
スタローンは1946年、シュワは1947年生まれで一歳違い。映画俳優としてのキャリアを築き始めたのは、ともに1970年代初頭からだが、両者ともに下積みを余儀なくされる。先に成功を手にしたのはスタローンで、‘ 76年に脚本と主演を兼任した『ロッキー』がヒットし、アカデミー賞をも射止めたことで一気にハリウッドの最前線に躍り出る。その頃、シュワはボディビルダーという別分野で世界の頂点を極めていた。
その強靭な肉体美は俳優業でも大きな武器となり、‘ 82年の『コナン・ザ・グレート』で成功の第一歩を踏み出す。同じ年、スタローンは『ランボー』をヒット作に導き、こちらもシリーズ化され、アクションヒーローの地位を強固なものに。シュワは‘84年の『ターミネーター』でスターダムに上り詰め、スタローンと張り合う存在となっていった。
互いに対抗心を持っていた人気絶頂期の2人
人気絶頂期の彼らはたがいに対抗心を持っており、会見時にはおたがいに攻撃し合うこともあったとか。シュワによれば、主演作では劇中で何人の敵を倒し、どれだけ大きなナイフを武器にしていたかなど、興行成績だけでなく映画のディテールに関しても競り合っていたという。とはいえ、仲が悪いというわけではなく、ハリウッド映画をテーマにしたレストランで、日本にも一時出店していたことがあるハリウッド・プラネットに共同出資者として名を連ねていたこともある。
そもそも、彼らは俳優としての個性がまったく異なる。人間味を表現するのが上手いスタローンは『ロッキー』のような市井の人間を演じるとハマる。『ランボー』にしても1作目ではPTSDを患った帰還兵で、その哀感がシリアスに表現されていた。一方のシュワは表情の変化を求められない役を得意としている。『ターミネーター』の殺人マシン、『コマンドー』の特殊部隊員など、クールなヒーローになれきれる。一方では『ツインズ』『キンダガートン・コップ』などでコミカルな味を出し、観客の支持を得た。スタローンにコメディの成功作がないのとは対照的だ。
21世紀に入り、シュワは‘03年にカリフォルニア州知事に当選したことから俳優業を停止し、2期7年を勤め上げた。しかし、その後期にはスタローン監督・主演の『エクスペンダブルズ』にカメオ出演をしている。同作は以後シリーズ化されたが、2、3作目にもしっかり顔を出した。また、‘13年には『大脱出』でスタローンとシュワの、初のダブル主演が実現。これはファンを大いに喜ばせた。昨日の敵は今日の友。彼らは現在も、親友の絆を育んでいる。
シュワルツェネッガーのオススメ筋肉映画はコレだ!
『コナン・ザ・グレート』
シュワの出世作である本作は1982年に製作されたが、前年まで彼はボディビルの世界大会に出場しては栄冠をさらっていた。本作では“世界で最も筋肉が発達した男”と称された頃のシュワの肉体を見ることができる。あまりに鍛え抜かれていたため、その姿に似たスタントマンが見つからず、シュワはほぼすべての格闘をみずから演じた。
スタローンのオススメ筋肉映画はコレだ!
『ロッキー3』
スタローンがもっとも過酷な肉体改造を行なったのが、この作品。週6日の筋肉トレーニングに加え、ダイエットを敢行して体脂肪率を2.9%にまで落としたというから驚きだ。本作ではロッキーはヘビー級王者になっているので、それにふさわしい肉体を作り上げたということか。ともかく、前2作と比べても体格の違いは明らか。