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未知の惑星で待っていた悪夢との戦い
『エイリアン』は地球に航行中のノストロモ号が不審な電波をキャッチしたことから予定外の航路に変更し、未知の惑星で恐るべきエイリアンに出会うという物語だったが、この後、未知の惑星には人類の想像が及ばない危険な生物がいてもおかしくない、というSF映画は次々生まれることに。しかしそれ以前から『禁断の惑星』のように異星での冒険映画は存在し、フィリップ・K・ディックやロバート・A・ハインラインのような作家がすでに小説の世界でこうしたジャンルを切り拓いていた。それらの映画化作品も是非触れておきたいものだ。
『禁断の惑星』(56)
人間の潜在意識が生み出した謎の怪物の猛威が迫りくる!
50年代に製作された名作SFの一つで、後の同ジャンル映画に大きな影響を与えたことで知られるフレッド・M・ウィルコックス監督作。アダムス機長が率いる宇宙巡査船が、20年前に移住した後、連絡を絶った移民団捜索のためアルタイル第4惑星に着くと、そこにはモービアス博士とその娘、ロボットのロビーだけが残っていた。移民団は謎の怪物に襲われ死んだというが、その怪物は博士の潜在意識(自我)が生み出した「イドの怪物」だとわかっていく。シェイクスピアの「テンペスト」との類似性も指摘されている。
『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)
地球軍VS巨大昆虫型宇宙生物の過激なバトル
ロバート・A・ハインラインのヒューゴー賞受賞小説「宇宙の戦士」の映画化でポール・ヴァーホーヴェン監督によるSFバトル・アクション。恋人を追って地球連邦軍に入隊したジョニー・リコは、やがて起動歩兵隊の一員となり、知的な昆虫型宇宙生物アラクニド・バグズと戦うためバグズの主星クレンタスに侵攻する。ヴァーホーヴェンらしい過激な暴力描写と皮肉を込めたパロディ描写で人類とエイリアンの壮大な銀河間戦争を描く。
『スクリーマーズ』(96)
人間の造形をした殺人兵器との果てなき戦い
『ブレードランナー』などの原作者フィリップ・K・ディックの短編「変種第二号」を映画化したクリスチャン・デュゲイ監督作。2078年、惑星シリウス6Bを舞台に、人類が防御用に開発した殺人兵器が人間の形にまで進化した「スクリーマー」を抱える惑星企業開発新経済ブロック(NEB)社と科学者・労働者が結成した連合軍が、代替えエネルギーをめぐって泥沼の戦いを展開する。脚色を担当したのは『エイリアン』のダン・オバノン。
『ピッチブラック』(00)
闇の中から襲ってくる夜行性の凶暴生物を倒せ
ヴィン・ディーゼルの当たり役リディックの初登場作。殺人犯リディックと彼を護送する刑事ジョーンズを乗せた定期宇宙船が未知の惑星に不時着。太陽が三つある昼間だけのその惑星では、ちょうど22年に1度の皆既日食であたり一面が暗黒になった途端、闇の中から夜行性の凶暴生物が群れを成して生存者に襲いかかって来た。殺人犯ながら善か悪かわからないリディックの活躍が見どころの一つに。監督はデヴィッド・トゥーヒー。
『DOOM』(05)
火星に送り込まれた特殊部隊が怪物たちと激闘
人気ゲームを基にしたアンジェイ・バートコウィアク監督のSFホラー・アクション。近未来。火星にある研究所から救護要請が入る。カリフォルニア海兵隊特殊作戦本部RRTSは、サージ(ドウェイン・ジョンソン)ら精鋭メンバー8名を火星に送り込み、現場の状況把握と安全確保を命じたが、彼らが現地に到着すると、そこでは研究所が生み出した謎の怪物が襲いかかって来た。共演はカール・アーバン、ロザムンド・パイクら。
『ゴースト・オブ・マーズ』(01)
火星の遺跡から放たれた亡霊軍に警察&囚人が挑む
『遊星からの物体X』のジョン・カーペンター監督によるSFホラー。人類が火星を植民地化している2176年。学者が誤って火星の先住民族の霊を閉じ込めていた古代遺跡から、亡霊たちを甦らせてしまう。眠りから覚めた亡霊は肉体を求めて人間に憑依し、邪悪な怪物となる。火星警察のメラニー警部補と生き残った犯罪者たちは協力して、ゴーストたちとの死闘を展開する。ナスターシャ・ヘンストリッジ、ジェイソン・ステイサムらが共演。