(文・児玉美月 イラスト/うえむらのぶこ)
“遠距離”よりももどかしい!洗練されたキアヌの存在感が光る
『イルマーレ』The Lake House(06)
韓国映画『イルマーレ』のハリウッドリメイク版として、『スピード』で共演したキアヌとサンドラ・ブロックが再び集結した。2006年、医師として日々忙しく働くケイトは住んでいた湖畔の家を引っ越さなくてはいけなくなり、次の住民に手紙を残そうとした郵便受けで2年前からの手紙を手にする。その差出人は建築家アレックスで、2004年を生きているという。そこからふたりの時空を超えた文通がはじまってゆく……。文学的な詩情を讃えた世界観のなかに生きる洗練されたキアヌの存在感が画面を彩る。
胸キュンキアヌPoint♡
二人が初めて現実の世界ですれ違うシーン。駅のホームにケイトが置き忘れたジェーン・オースティンの小説「説得」を手に取り、列車で過ぎ去ろうとする彼女を追うアレックスが切ない。
鑑賞後の形容しがたい余韻…! 愛に燃えるキアヌがロマンチック
『スウィート・ノベンバー』Sweet November(01)
広告代理店に勤めるネルソンはある日、免許更新で訪れた運転試験場でサラと名乗る女性と出逢う。サラはネルソンに一ヶ月限定の恋人になることを提案し、彼は最初こそ拒絶していたがやがて惹かれ合ってゆく。キアヌが演じるネルソンは仕事にすべてを捧げて生きており、どこか冷酷な人間だったものの、サラの大胆さに引っ張られて次第に心を開く。サラがなぜ期間限定でしか恋愛しようとしないのか、その秘密が明かされてからはむしろネルソンが彼女を追う。鑑賞後の形容しがたい余韻と、その関係性の変化も見どころ。
胸キュンキアヌPoint♡
ある感謝祭の日、サンタクロースに扮したキアヌがサラにたくさんのプレゼントを抱えてやってくる。その贈り物の一つ一つに意味があり、サラへの愛に溢れている。
非現実なまでに理想的!嫌味を感じさせないスマートさにキュン♡
『恋愛適齢期』Something's Gotta Give(03)
54歳で劇作家として活躍するエリカは、若い娘が恋人として連れてきた63歳のハリーと出逢う。心臓発作を起こしたハリーはかかった病院でキアヌ演じる医師のマーサーの治療を受け、そこからエリカ、ハリー、マーサーの三角関係が展開される。ハリウッドで定番である年上男性と年下女性というカップルの構図を反転させ、マーサーは自分よりも上の世代であるエリカの本質的な魅力を理解して距離を縮めてゆく。キアヌの出演する恋愛映画のなかでも、マーサーは非現実的なまでに最も女性にとって理想的な男性を体現している。
胸キュンキアヌPoint♡
爽やかなブルーのシャツを纏ったマーサーが初めてエリカをデートに誘う場面。医者であり端正な顔立ちでありながらも、まったく嫌味を感じさせないスマートさに惚れ惚れ。
ひたむきにヒロインを愛する真面目で心優しいキアヌを堪能!
『雲の中で散歩』A Walk in the Clouds(95)
第二次世界大戦後、故郷に戻ったポールはチョコレートを売り歩くために汽車に乗り込む。そこで出逢ったビクトリアは妊娠中の身でありながら相手に捨てられてしまったため、ポールは夫のフリをして彼女の家族に会いに行くことにする。故郷に妻を置いてきたポールは葛藤するものの、ビクトリアと共に生きたいと願うように。二人の女性との関係に挟まれ、ビクトリアの頑なな父親に揉まれながらも、ひたむきにビクトリアを愛そうとする真面目で心優しい青年のキアヌの顔を心置きなく堪能できるロマンティックな一作。
胸キュンキアヌPoint♡
霜警報が下りて葡萄園の作物が危機に見舞われた夜。実が死んでしまわぬよう羽根を模した道具で木たちに蝶のような動作で熱風を送るポールとビクトリアの姿が幻想的で美しい。
キアヌ史上最も偏屈で変わり者!会話劇だけで織りなすラブコメディ
『おとなの恋は、まわり道』Destination Wedding(18)
空港で出逢ったフランクとリンジーはわずか数席しかない飛行機の中で隣同士になり、お互いに面倒くさそうな性格だとすぐに気づいて歪み合いはじめるが、同じ結婚式に向かっていることが発覚してしまう。キアヌが演じるフランクは、キアヌ史上最も偏屈で曲者。しかしキアヌと4度目のタッグを組んだウィノナ・ライダー演じるリンジーも、なかなかに舌鋒鋭い批判屋。なんと彼ら以外の登場人物の台詞が一切なく、ほとんど二人だけの会話劇が繰り広げられていくところがほかの王道ラブコメ作品と一線を画している。
胸キュンキアヌPoint♡
結婚式が開かれるリゾート地の草原で野獣にばったり出くわした二人。フランクが威嚇して追い払うなんともコミカルな場面だが、実はここから二人の関係性が急展開へ。