『シビル・ウォー アメリカ最後の⽇』(2024年10⽉4⽇公開)
「お前は、どの種類のアメリカ⼈だ︖」―映画の舞台は、連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“⻄部勢⼒”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武⼒衝突が繰り広げられていた。
「国⺠の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている̶̶」。就任 “3期⽬”に突⼊した権威主義的な⼤統領はテレビ演説で⼒強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は⽬前に迫っている。そこで、ニューヨークに滞在していた4⼈のジャーナリストは、14ヶ⽉⼀度も取材を受けていないという⼤統領に単独インタビューを⾏うため、ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を⾏く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていく――。
世界がどんどん不穏な空気に包まれていく中、アメリカ⼤統領選を控えた同年に<平等な報道>の意義をも問うガーランド監督の最新作。銃声、爆弾の閃光など軍事アドバイザーとともに作り上げた<戦争の混沌の真っ只中>にいるような⽴体的な感覚は劇場体験が必須︕
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』
10月4日(金)TOHO シネマズ 日比谷ほか全国公開
配給︓ハピネットファントム・スタジオ
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『MEN 同じ顔の男たち』(2022年)
夫の死を⽬の前で⽬撃してしまったハーパー(ジェシー・バックリー)は、⼼の傷を癒すため、イギリスの⽥舎街にある豪華なカントリーハウスに滞在することに。そこにいたのは管理⼈のジェフリー。だが、ハーパーが街へ出かけると少年、牧師、そして警察官など出会う男たちが皆なぜか<ジェフリー>と全く同じ顔だった。
森を散策している中、廃トンネルからついてくる謎の影、⽊から落ちてくる⼤量のりんご、そしてフラッシュバックする夫の死。不穏な出来事と不可解な⼈との出会いが続発する中、やがて “得体の知れない恐怖”が徐々に正体を現し始める――。
不気味な出来事がリンクするように移しだされる圧倒的な映像美も魅惑的︕「世の中でまかり通る普通」を疑い続けるガーランド監督が、彼独⾃の異世界のクリエイションを通して⽣み出したジェンダー・ホラーでもある。
『アナイアレイション 全滅領域』
⽣物学者で元兵⼠のレナ(ナタリー・ポートマン)は、⾏⽅不明になった⾃⾝の夫の⾝に起きた真相を解明するため、その原因と思われる<エリアX>の調査隊に⼊隊する。⼊ったものは2度と出てこられないと⾔われるエリアX。そこでは突然変異を遂げて⽣まれた景⾊と⽣物が存在する異世界があり、やがて彼⼥らの⽣命と精神を脅かしていくことになる――。
オーロラのような異様な光に包まれる光と森、⽿から離れない奇妙な⾳。熱にうなされたときに⾒るよう夢の世界を、純度の⾼いSF を圧倒的な映像美で表現。「⾃分は誰なのか︖」「本当に<⾃分>なのか︖」「その根拠は︖」―⾒る⼈全てに突きつけるような異⾊作です。
『エクス・マキナ』(2014年)
世界最⼤のインターネット会社でプログラマーとして働くケイレブ。巨万の富を築きながらも普段は滅多に姿を現さない“ハイテク億万⻑者“社⻑のネイサンが所有する⼭間の別荘に1週間滞在するチャンスを得る。
しかし、⼈⾥離れたその地に到着した彼を待っていたのは、美しい⼥性型ロボット“エヴァ”に搭載された世界初の実⽤レベルとなる⼈⼯知能(AI)テストに協⼒するという、興味深くも不可思議な実験だったー。⼈は、AIとどのように向き合うのか︖AIは感情を抱くようになるのか︖
世界は、その影響をどう考えているのかについて警鐘を鳴らすガーランドの初監督作。本作が発表されてから10年。AIがより⾝近なものとなり、⽇常に⽋かせないものとなった今、改めてその問いに向き合うために必要な⼀作でもある。