うさぎたちの視点でリアルに描いた現実世界
原作は、イギリスの作家リチャード・アダムスの名作児童文学。1973年に英国カーネギー賞とガーディアン賞をW受賞している。1978年にイギリスで初めてアニメーションとして映画化され、日本では1980年7月に夏休み映画として公開された。当時は畑正憲(ムツゴロウ)による日本語監修で吹替え版のみ(主題歌は井上陽水)の上映だったが、今回は日本初となる待望のオリジナル音声+日本語字幕での上映となる。
本作は、児童文学を原作にしたアニメーション映画でありながら、決して子供だけに向けた内容ではなく、可愛らしい野うさぎたちに待ち受ける苦難と残酷な現実、人間たちによる乱開発により滅びゆく野生動物、外敵との血生臭い闘いなどが容赦なく描かれており、世界中で今もなおカルト的な人気を誇っている。
今回解禁されたメイン縦の画像は、まだ見ぬ理想郷を求めて空を見上げるウサギがシルエットで浮かぶ1枚。メイン横は二羽のウサギを正面からとらえたもの。その他にも、毛の一本一本まで丁寧に描かれた少しタッチのちがう芸術的な画像や、怒りの形相で血を流している恐ろしい画像など、どんな作品なのか楽しみになる場面画像となっている。
なお、同じ原作を元に1998年には本作の監督マーティン・ローゼンがプロデュースし、イギリスとカナダの共同製作でテレビアニメ化(全39話/3シーズン)。日本でも2000年代にNHKのBSとカートゥーンネットワークなどで放送された。そして、2018年には、ジェームズ・マカヴォイやニコラス・ホルトなど人気俳優が声を務め、NetflixとBBCの共同製作でアニメーションミニシリーズ(全4話)が配信されている。
【STORY】
英国ハンプシャー州に、サンドルフォード繁殖地というウサギたちの巣穴があった。ある日、そこに棲むウサギで予知能力をそなえたファイバーがこの地に災害が迫っていることを予言。彼の兄であり、彼の“能力”を認めているヘイズルは村の長に避難を提案したもののとりあってもらえず、上士(幹部)頭ビグウィグの助けも借りながら何羽かのウサギたちと村を脱出する――。
人間たちによる「喰われるためだけ」の養兎場、将軍による「軍国主義的な統制」を敷く繁殖地・・・、理想郷を探す彼らの旅の前に立ちふさがるのは予想もしない世界だった。
『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち HDリマスター版』
11月30日(土)より、シネ・リーブル池袋、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
声の出演:ジョン・ハート、リチャード・ブライアーズ、マイケル・グレアム・コックス、ジョン・ベネット、ラルフ・リチャードソン、サイモン・カデル、テレンス・リグビー、ロイ・キニア、リチャード・オキャラハン、デンホルム・エリオット、ゼロ・モステル、ハリー・アンドリュース、ナイジェル・ホーソーン、ハンナ・ゴードン、クリフトン・ジョーンズ、マイケル・ホーダーン、ジョス・アクランド、メアリー・マドックス
監督・脚色・製作:マーティン・ローゼン
歌:アート・ガーファンクル「Bright Eyes」
1978年/イギリス/英語/カラー/DCP/93分/ステレオ2.0ch/1.85:1(アメリカンビスタ)/原題:Watership Down/日本語字幕:大石盛寛
配給:アーク・フィルムズ
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