「第25回東京フィルメックス」が2024年11月23日(土)~12月1日(日)に開催されることが決定した。本映画祭は、アジアを中心に世界から新進気鋭の監督たちの作品を集め、どこよりも早く、ここでしか観られない注目作品がラインナップされる国際映画祭。本日10 月9日(水)に発表された作品ラインナップをご紹介する。

第25回東京フィルメックスプレイベント上映
【今だけ、スクリーンで!東京フィルメックス25年の軌跡】

A Cinematic Journey on the Silver Screen: 25 years of TOKYO FILMeX (全6作品)

「小規模でも個性的な、大規模映画祭とは異なる利点・視点を持つオルタナティブな映画祭をもう一つ東京に作ろう」との想いから「作家主義」を掲げる映画祭として2000年に発足した東京フィルメックス。映画祭とはその本当の価値が見えるまでに長い期間が必要ですが、本映画祭は今年で25回目の開催を迎えます。本プレイベントでは、映画祭本会期に先行して、四半世紀という長い期間を改めて見つめ直すトークイベントも実施すると共に、これまでに紹介された500以上の作品の中から厳選した映画を上映します。

<TOKYO FILMeX 2004 特集上映作品>
『世界で一番悲しい音楽』

画像: <TOKYO FILMeX 2004 特集上映作品> 『世界で一番悲しい音楽』

The Saddest Music in the World / カナダ/ 2003 / 99分/
監督:ガイ・マディン(Guy MADDIN)

1933年。ブロードウェイで失敗し、一文無しになって恋人のナルシッサとともに故郷のウィニぺグに戻ってきた興行師チェスターは、地元のビール会社が「世界で一番悲しい音楽」を競うコンテストを開こうとしていることを知る。コンテストを主宰するレディ・ヘレン・ポート=ハントリーは、昔チェスターと抜き差しならない関係にあった女性だ。かつての恋人に再会したチェスターは、巨額の賞金目当てにアメリカ代表としてコンテストに参加する。かくして、スコットランド、メキシコ、アフリカなど、世界各国の代表によるコンテストが始まる。そこにはセルビアのチェリストとして参加したチェスターの兄、ロデリックの姿があった……。カズオ・イシグロのオリジナル脚本を90年代のロンドンから大恐慌時代のウィニぺグに置き換えて映画化した本作は、ヴェネチアを始めとする多くの映画祭で熱狂的に迎えられ、マディンの代表作の一つとなった。イザベラ・ロッセリーニの怪演が圧倒的。

<TOKYO FILMeX 2008 特別招待作品>
『スリ』(上映時タイトル:『文雀』)

画像: <TOKYO FILMeX 2008 特別招待作品> 『スリ』(上映時タイトル:『文雀』)

Sparrow / 香港/ 2008 / 87分/
監督:ジョニー・トー( Johnnie TO )

3人の仲間とともに香港の街で活動するスリのケイは、ミステリアスな美女チュンレイに出会い恋に落ちる。だが、チュンレイの虜になったのはケイだけではなく、3人の仲間たちもそれぞれ彼女に出会って魅せられていた。チュンレイが何かトラブルを抱えていることを知った4人は、そのトラブルを解決するため、彼女にとって重要な意味を持つ鍵を盗もうとする。だが、このために彼らは暗黒街の大物と対決する羽目になる……。ジョニー・トーが数年をかけて撮りあげた最新作は、クラシックな趣をもった人情コメディとも言うべき快作だ。サイモン・ヤム演じるケイが古いカメラで香港の街を撮るシーンは極めてノスタルジックで、また雨の路上で4人が暗黒街の大物と"対決"するシーンではハリウッド・ミュージカルを思わせる演出が大きな効果をあげている。題名の「文雀」とは、香港で「スリ」を意味するスラングであるという。2008年のベルリン映画祭コンペティションで上映された。

<TOKYO FILMeX 2007 特別招待作品>
『無用』

画像: <TOKYO FILMeX 2007 特別招待作品> 『無用』

Useless / 中国/ 2007 / 81分/
監督:ジャ・ジャンクー( JIA Zhang-ke )

ジャ·ジャンクーの最新作『無用』は中国のファッションをテーマとするドキュメンタリーである。映画は3つのバートに分けられ、衣服が製造される広東省の工場から始まる。カメラは製造され出荷される衣服のみならず、そこで働く労働者たちの表情を生き生きととらえる。第2部の中心となるのは、中国ファッション業界をリードする気鋭の女性デザイナー馬可(マー・クー)。パリで開かれ、大きな話題を呼んだ馬可のファッション·ショーのドキュメントと、馬可が自分のブランド「無用」のコンセプトを語るインタビューとで構成される。第3部はジャ・ジャンクーの故郷である山西省·汾陽(フェンヤン)に舞台を移し、鉱山労働者の家族が出入りする裁縫店などを取材しつつ、庶民と衣類の関係を考察する。ファッション、あるいは衣類を切り口に中国の現状を多面的に捉えた本作は、2008年のヴェネチア映画祭オリゾンティ部門で上映され、最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。

<TOKYO FILMeX 2007 審査員特別賞受賞作品>
『天使の眼、野獣の街』(上映時タイトル:『アイ・イン・ザ・スカイ』)

画像: <TOKYO FILMeX 2007 審査員特別賞受賞作品> 『天使の眼、野獣の街』(上映時タイトル:『アイ・イン・ザ・スカイ』)

Eye in the Sky / 香港/ 2007 / 90分/
監督:ヤウ・ナイホイ( YAU Nai-Hoi )

多くのジョニー・トー作品の脚本を担当してきたヤウ・ナイホイの監督デビュー作『天使の眼、野獣の街』は、容疑者の尾行を専門とする香港警察のユニットを扱った作品だ。映画はこのユニットに新しく加わった女性捜査官ボーの視点を中心に展開される。ターゲットは連続宝石強盗団。ボーはベテラン捜査官ウォンの指導を受け、失敗を繰り返しながらも仲間とともに任務を遂行する。だが、追われるものが追うものに牙をむいた時、事態は急転する……。レオン・カーファイ、サイモン・ヤムといったスター俳優が当たり前のように人混みに紛れている様は80年代香港ニューウェーブの警察ものを彷彿とさせる。また、本部からの指令を受け、最新機器と人間の持つ機知を駆使しつつ、捜査官たちが容疑者を追い込んでいくプロセスは実にリアルだ。脚本の巧みさは言うまでもなく、これだけの設定を構築する演出力は非凡である。

<TOKYO FILMeX 2014 コンペティション部門上映作品>
『私の少女』(上映時タイトル:『扉の少女』)

画像: © 2014 MovieCOLLAGE and PINEHOUSE FILM, ALL RIGHTS RESERVED

© 2014 MovieCOLLAGE and PINEHOUSE FILM, ALL RIGHTS RESERVED

A Girl at My Door / 韓国/ 2014 / 119分/監督:チョン・ジュリ( JUNG July )
協力:JAIHO

主人公はソウルから港町ヨスに派遣されてきた女性警察官ヨンナム。地方都市の習慣になじめずに孤独な日々を送っていたヨンナムは、近所に住む少女ドヒと知り合う。母親が蒸発し、義父と祖母に暴力をふるわれているドヒを救おうとするヨンナム。だが、ある日、ヨンナム自身の過去が人々に明らかになり、ヨンナムは窮地に陥る……。DV(家庭内暴力)、セクシャルマイノリティに対する偏見、外国人の不法就労問題など、韓国社会に内在する様々な社会問題を絡めつつ、社会から阻害された二人の女性の力強いドラマを作り上げたのはこれが長編デビューとなったチョン・ジュリ。名匠イ・チャンドンがプロデュースを担当した。カンヌ映画祭「ある視点」部門で上映された。

<TOKYO FILMeX 2018 特別招待・観客賞受賞作品>
『コンプリシティ/優しい共犯』(上映時タイトル:『コンプリシティ』)

画像: (C)2018 CREATPS / MYSTIGRI PICTURES

(C)2018 CREATPS / MYSTIGRI PICTURES

Complicity / 日本、中国/ 2018 / 116分/ 監督:近浦啓( CHIKA-URA Kei )
製作:クレイテプス

中国河南省から技能実習生として日本に働きに来たチェン・リャンは、研修先企業から失踪し、不法滞在の身となる。故郷の母には研修を続けていると偽りながら斡旋される窃盗に手を染めていたチェン・リャンは、ひょんなことから他人になりすまし、山形の小さな蕎麦屋に住み込みで働き始める……。数々の国際映画祭で評価された短編映画を監督してきた近浦啓の長編デビュー作品は、一つの社会問題にもなった海外からの技能実習生を扱った作品だ。主役のチェン・リャンを演じるのは、グー・チャンウェイ監督作品『孔雀我が家の風景』(03)で鮮烈なデビューを飾ったルー・ユーライ。厳格な蕎麦屋の店主を藤竜也が好演している。トロント国際映画祭でワールド・プレミア上映された。

「第25回東京フィルメックス」は、11月23日(土)から12月1日(日)まで開催する。プレイベントのチケットは11月7日(木)16時から、映画祭の各上映作品のチケットは11月2日(土)正午から発売予定。詳細は映画祭HPにて。

第25回東京フィルメックス https://filmex.jp
日程表記:11月23日(土)~ 12月1日(日)
会場表記:「丸の内TOEI、ヒューマントラストシネマ有楽町」

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