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主要キャスト3人がMCUの出演者
『デッドプール&ウルヴァリン』現時点ではアメリカの興行収入は『アベンジャーズ』超え、全世界でも『アナ雪』超え、日本でも(アニメを除いて)洋画No1ヒットになりました!
やはりX-MEN映画を見続けてきたものとしてこの快挙は嬉しい。そして快挙といえばエミー賞をとった「SHOGUN 将軍」!改めて全関係者の皆様にこの場を借りて敬意を表します。それでアメコミ好きとして感慨深いのは出演俳優のうち3人がマーベル・シネマティック・ユニバース/MCUに出ていること。
真田広之さんは『アベンジャーズ/エンドゲーム』でジェレミー・レナ—演じる闇落ちしたバートンと日本刀でやりあっていたし、また『ウルヴァリン:SAMURAI』ではヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンと戦いました(『デッドプール&ウルヴァリン』によってかつてのウルヴァリン映画もマルチバース上ではMCUの中の一つの世界ですね)。
浅野忠信さんは「マイティ・ソー」シリーズでソーの盟友ホーガン(かつ2019年の東京コミコンのアンバサダー)。平岳大さんは来年公開の『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』で日本の政治家役で登場します。MCUではないですがアンナ・サワイさんはハリウッド・ゴジラの世界=モンスターバースのドラマ「モナーク: レガシー・オブ・モンスターズ」に出演されています。こういう方々がエミー賞で光輝いていたのは嬉しいなあ。
なお僕にとって真田さんとの出会いはホラー時代劇『魔界転生』(1981年版)。ここでは若い忍者役でした。なお『魔界転生』では沢田研二さんが魔人天草四郎を演じています。僕は日本映画における最高のヴィランは?と聞かれたら、沢田さんの天草四郎をあげます。「SHOGUN 将軍」の追い風の中、『魔界転生』もまたリメイクすれば世界を狙える時代劇になるのでは?
ブラムハウスの鉄板!家族×ホラー新作『イマジナリー』
さてホラーといえばブラムハウスの『イマジナリー』が公開。これはホラーというよりは「世にも奇妙な物語」系のダーク・ファンタジーという印象ですが、本作も含めここ最近のブラムハウスは家族物×ホラーの組み合わせが多い。過激AI人形『M3GAN ミーガン』、アトラクション・マスコットの暴走『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』、邪悪な水の精『ナイトスイム』で事件にあうのは家族、それもちょっと訳あり家族です。最新作の『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』もまさに問題を抱えた家族が、問題行動の家族に蹂躙される話です。先ごろ予告編が解禁になった『ウルフマン』(その名の通り狼男物)も、どうやらお父さんがモンスターに変身してしまうらしい。
これについてブラムハウスをひきいるジェイソン・ブラム氏にインタビューしたことがあるんですが、やはり家族ドラマという身近な入口からスーパーナチュラルな事象を描くことで、恐怖をよりリアルに感じることができるのだと。なのでジェイソン・ブラム氏は『ゴジラ-1.0』も大好きだそうです。あの映画はまさにゴジラ映画×家族物だから。
あの体験と重なる? まだある注目ホラー
ブラムハウス以外のホラー映画では『悪魔と夜ふかし』『スパイダー/増殖』がおすすめ。前者は“70年代のテレビの深夜トーク番組でオカルト・ネタをやったら本当に悪魔が現れた、その時の秘蔵テープが見つかった”という設定で物語が進んでいきます。子どものころTVのオカルト番組を視た際、画面を通して本当にこっちが呪われたらどうしようみたいにおびえていたので(けれどしっかり番組はみていた)、この怖さが非常によくわかる(笑)。悪魔が暴れるクライマックスも迫力があって高評価なのもうなずけます。
『スパイダー/増殖』はフランスのパニック物で、ひょんなことからあるアパートに恐ろしい蜘蛛が大量発生します。こういう動物物は昔からあって決して珍しくはないんですが、この蜘蛛パニックはコロナ禍の比喩ではないかと思うんです。そういう視点でみるとこの映画で本当に恐ろしいのは蜘蛛ではないのです。改めてコロナのあの体験が今後のホラー映画に影響を与えていくのでしょうね。